海部陽介のレビュー一覧
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日本人起源論の書だが、いくつか注目点がある。
まず、日本列島に到達するまでの人類史をダイナミックに捉えていることだ。隣国や東アジアのことただけではなく、世界規模で考えられている。
日本列島へのルートは朝鮮半島、琉球、そして地続きだったこともあるサハリンと北海道から、津軽海峡を越える3つがあった。何も渡海が条件となるというのが特徴だ。
三方向から来た原日本人は、どれかが他を打倒するのではなく、緩やかに混血していき、それぞれの遺伝子が受け継がれている。さらに農耕文化を持った弥生人と呼ばれる人が長い年月をかけて日本列島に渡来し、原住民と混血したことで日本人の原型ができたという。
あとがきで -
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川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。
文句なしの星5つ。
序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。
そして怒涛の後半、第四の原人や、デニソワ人についての新たな提案。
この時、整理された理解の生じる快感、そこが面白い。
分からないことは、何が分かってないからなのか。
どこまでなら、コンセンサスがある話なのか。
この整理が、理科や歴史でざっくり
「アウストラロピテクス」とか「北京原人」なら知ってた
レベルの一般人にも伝わってくる。
小難し -
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「人類はどうやって海を渡って日本にやってきたか?」という問題に対して、人類史学者の海部氏は当時の環境や技術を考慮して実験的に解き明かそうというプロジェクトを立ち上げた。本書は6年に渡る壮大なプロジェクトを書き記したドキュメンタリーである。幾多のトラブルや失敗を繰り返しながらも、多数の支援者を巻き込んで、人力での黒潮横断に挑戦し、ついに水平線の向こうにある島に辿り着く…そんなドラマに惹きこまれ、読み進めるうちに自分も一支援者のようになっていく。
現代の技術をもってすれば島から島への移動はたやすいが、古代の人類はリスクを冒してまでなぜ海を目指したのか?実際に人類の挑戦を目の当たりにした著者の見解が -
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すごくおもしろかった。
アジアの原人の最新研究が、生き生きと読みやすく展開されていく。
アジアには多様な種族が存在していたことがわかるが、タイトルの意味は、それなのになぜ今はホモ・サピエンスだけなのか。
読書メモ:
人類 700万年 五段階 初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人
300-200万年前 原人 ホモ・ハビリス
100-60万年前 旧人現る ネアンデルタール人
新人=ホモ・サピエンス アフリカ単一起源説
ジャワ原人 ピテカントロプス・エレクトス →その後ホモ・エレクトスに デュボア @トリニール
ソロ川流域 サンギラン、サンブンマチャン
玉ねぎ地層
ジャワ原人
停滞していたと思われ -
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数年前,「生命大躍進」という大変興味深い展示会を観ました。
そのとき,私が学校で学んだときから,かなり人類の進化に対する研究が非常に進んだことを知り,かなり驚きました。
本書は,その最新の知見について分かりやすく説明したもので,大変面白く読みました。
アジアには同時代に多様な人類の種類が存在した可能性があり,また旧人と我々人類は交雑したこともあるにもかかわらず,なぜ我々は我々だけなのか,この問いに対する答えが出るには気の遠くなるような研究の積み重ねが必要ですが,これほど興味の尽きないテーマもありません。
同じテーマを取り扱った本も読んでみようと思います。 -
Posted by ブクログ
アジアの人類としての古代史が、こんなにも興奮に溢れる場だとは知らなかった!
ジャワ原人、フローレス原人、北京原人、名前は知ってるけど、はるか昔の曾祖父くらいのイメージしかなかった。
しかし実際は生物種としての適応と繁栄と消滅といったダイナミズムをもつ存在だった。
そして現在では我々は我々の種しかいないけど、それは昔からそうではなかった。多様な種が、祖先から綿々と旅をし、環境に適応し、進化し、そして(多分静かに)消えて行った、という壮大な物語の一端を味わえて大満足。
これからの研究の進展にも期待したい。
それにしても我々しかいないのは、拡散の速度が速すぎて均一化してしまった、というのは、宇 -
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初期の猿人から猿人、原人、旧人、そして現生人類へ。
昔々、学校でも、アウストラロピテクスが現れ、その後ジャワ原人、北京原人が現れ、ネアンデルタール人が出てきた、なんて勉強したような。
しかし、なかなかそれに興味を持つというところまではいかなかった。
それが、近年、大きな発見があったりして、ずいぶんと分かってきたことがあるらしい。
新聞報道などもあり、特に人類学に興味がなくても聞こえてくる、ホットな分野であるようだ。
そして、監修者である海部陽介さんも、テレビで何度も見る機会もあった。
本書は、しかし、海部さんが書いているのではない。
サイエンスライターで作家の川端さんが、海部さんを取材して -
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オーディブルにて 再読(以前は本で)
実はこのスギメの航海の話はすごく好きでオーディブルでタイトルを見つけて再読してしまいました。
以前、海部先生がこの内容について講演された時にもオンラインででしたが参加したことがありました。
すごくロマンを感じるしワクワクする。
こうやって実際に再現したしてみることで、机上でイメージするだけではふんわりしていることが、実感として具体的になるのが面白い。実際にやってみると、これはあり得ないんだなとか、こういう気持ちになるよねということが追体験できて、旧石器人はどうだったんだろうって改めてイマジネーションが広がる。