あらすじ
私たちの祖先は、なぜ日本を目指したのか?――命がけの航海から見えてきた「新しい人類史」!
「最初の日本列島人は、当時陸続きだった大陸から歩いてやってきた」――これは今や間違ったイメージだ。我々の祖先は、何らかの手段で海を越え、日本列島へたどり着いた。
しかし、その事実には不可解な点がある。
水平線の先にある見えない島の存在を、彼らは知っていたのか。
世界最大級の海流、黒潮を、どうやって越えたのか。
そして、それほどの難関に立ち向かってまで、なぜ海の向こうを目指したのか。
――謎に挑むため、私たち現代人がおこなった命がけの実験航海実験。そこから見えてきた日本人誕生の物語と、「祖先たちの本当の姿」とは。
〈この太古の航海は決して、選ばれし屈強な男たちが主役の冒険物語ではない。
これは後期旧石器時代を生きた、ふつうの男女たちの物語なのである。 ――本書より〉
クラウドファンディングで計6000万円もの支援を受けて達成された「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の成果がここに!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なぜラスコー洞窟に見られるようなものが東アジアに見られないのかは私も疑問に思っていたので起点として共感できた。
また会議でアイデアをもらい、検討して、試行してみるというのをプロセスを追って聞くのは挑戦を追っているようでとても楽しかった。
挑戦の際のそれぞれの判断の記載も、過去にあったであろう挑戦への理解を助けるようだった。
Posted by ブクログ
三万年前の我々のご先祖様が安全な台湾からそれでも与那国島を目指したのは"日出る島"としての与那国島に何かを感じ取ったから。
我々は一見無駄に見える事もするし、表現活動もする。生命維持以外の視点だと何とも無駄な活動だが、それが全世界に我々が繁殖した理由。
学説でもなんでも無く勇気を与えてくれる事だと思う。
Posted by ブクログ
海部先生たちのこのプロジェクトは存在は知っていたけど詳しくはこの本で初めて知った。素晴らしいプロジェクトですね。
行けたのかどうか、どう行ったのかということ自体よりもそれらを体験的に探ることによって「なぜ行ったのか?」というwhyを追求しようというロマンふれるプロジェクトでした。草筏、竹筏、そして丸木舟を作り海に出てみること、そもそも島を見つけること、海の上での様々な実際の出来事、どの過程も興味深かったです。
日本への上陸だけでなくオセアニアの各島への進出にも想いを馳せたくなりますね。
Posted by ブクログ
「人類はどうやって海を渡って日本にやってきたか?」という問題に対して、人類史学者の海部氏は当時の環境や技術を考慮して実験的に解き明かそうというプロジェクトを立ち上げた。本書は6年に渡る壮大なプロジェクトを書き記したドキュメンタリーである。幾多のトラブルや失敗を繰り返しながらも、多数の支援者を巻き込んで、人力での黒潮横断に挑戦し、ついに水平線の向こうにある島に辿り着く…そんなドラマに惹きこまれ、読み進めるうちに自分も一支援者のようになっていく。
現代の技術をもってすれば島から島への移動はたやすいが、古代の人類はリスクを冒してまでなぜ海を目指したのか?実際に人類の挑戦を目の当たりにした著者の見解が興味深い。
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オーディブルにて 再読(以前は本で)
実はこのスギメの航海の話はすごく好きでオーディブルでタイトルを見つけて再読してしまいました。
以前、海部先生がこの内容について講演された時にもオンラインででしたが参加したことがありました。
すごくロマンを感じるしワクワクする。
こうやって実際に再現したしてみることで、机上でイメージするだけではふんわりしていることが、実感として具体的になるのが面白い。実際にやってみると、これはあり得ないんだなとか、こういう気持ちになるよねということが追体験できて、旧石器人はどうだったんだろうって改めてイマジネーションが広がる。
Posted by ブクログ
【AIにはできない】
約3万年前にホモサピエンスは大陸から日本へ渡ってきたと言われています。
最も近い台湾から与那国島でも台湾から与那国島は見えません。
当時も台湾は自然が豊富で山には木の実、果物があり、海では魚が十分に取れ、食べ物には困っていなかったと思います。
わざわざ見えない、何があるかわからないその先を見に行こうとする行動に合理性はありません。
しかし、その意味不明なことをできるのが人だと思います。
AIにはこの意味のないチャレンジができないのです。
Posted by ブクログ
日本人のルーツの一つに、南方系のルートがあると考えられていますが、そのルートが成り立ち得るのかどうか、実際にやってみよう、というプロジェクトの全体を紹介した本です。
とはいえ、南方系のヒトが初めて日本に渡ってきたのは3万年以上前のことなので、想像するしかない部分は多々ありますし、3万年前と今では、海の状態も陸の状態も違うので、完全再現は難しいですが、それでも、人力だけで南方系のルートは可能と考えて差し支えないレベルの成果が得られたことは、非常に意味があると思います。
それにしても、このプロジェクトに関わった皆さんの情熱には、圧倒されます。
南方系のヒトが日本に渡ったときにも、きっと同じような、あるいは、この本に出てくる皆さん以上の情熱があったのでしょうね。
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良書。と言うか、素晴らしい取り組み。
3万8000年前、日本に人類が船でやって来たと推論し、実際、体験、証明しようとする。面白く無い訳が無い。
Posted by ブクログ
3万年前の大航海について、実際に3万年前につくったであろう船をつくり航海した話。
現代だからこそ起こった問題も面白おかしく語られていて、読み物としても面白い。
航海して終わり、ではなく、そこからさらに考察を深めていくのも良い。
台湾から日本に3万年前、人類はどうして命がけだとわかって航海したのか、決意をしたとき、海を渡っているとき、何を思ったのか、そんなことに思いをはせる。
Posted by ブクログ
私たちの先祖はどこからやってきたのでしょう。壮大なロマンを感じる謎です。それを実際実験してみようという人たちがいたとは。草や竹、木の船で海を渡る実験をしていることはニュースで知っていましたが、本を読んでみてこんなに大変なことだったのは!その熱意にただただ脱帽です。読み進めるたびに引き込まれて、私も実験に立ちあったひとりのような気持になりました。「いらぬことをやる挑戦者」という言葉が最後とても心にしみて、はるか昔のご先祖さまたちに思いを馳せることができる楽しい読み物です。