堀井拓馬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011年第18回日本ホラー小説大賞長編受賞作
悪で激臭を放つ生き物ヌメリヒトモドキは人間の記憶や感情を学習する。その生態を研究する「私」は、死んだ最愛の妻を蘇らせようとヌメリヒトモドキの飼育に熱中していく。
KADOKAWAのストーリー紹介です。
霊的な怪異よりも、人の精神が静かに崩れていく過程にこそ恐怖と思う私にとって、『なまづま』は非常に相性のよいホラーです。
作中に登場するヌメリヒトモドキという未知の生物は、臭く、滑り、なまなましく、しかも痛まず消えない。その存在自体が生理的嫌悪を呼び起こすが、怪異としての怖さ以上に印象に残るのは、その生態に魅せられていく人間の変化ですね。
最愛の妻を失った研究者が、研究と飼育へとのめり込んでいく過程は、理解できるがゆえに痛ましく、止まるところがない。粘度の高い文章もまた、読者をじわじわと絡め取る。
生き物としての嫌悪が前面に出たホラーでありながら、読後に残る恐怖は、未知の存在ではなく、それに魅せられていく人間の精神が静かに崩れていく過程です。
なまづまって 生妻?で良いのかな
タイトルについては ちょっと謎。
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Posted by ブクログ
角川ホラー文庫の新刊案内を見て、面白そうだったのでとりあえず買って積んでおいた一冊。ようやく崩すことに。(1年経ってないからいい方!)
「大きな肉塊と呼べる巨体、ぬめぬめとした肌、長い髪から覗く眼窩から生えた両腕」、その目撃情報がSNS上を賑わす怪異―――"蛞蝓女"。それは、大学生・宮間芽衣の視界に度々現れ、長年彼女を苦しめる"アレ"と酷似していた。ある日、"アレ"に追われ命を落としかけた芽衣は、恋人の恭一の説得もあり、"呪いを殺す方法"を探るため、自身の故郷である沢母児町へと向かうことに。そこで明かされる「呪い」と"アレ"の真相とは―――。
因習&伝奇ホラー。テキストは読み易いし、シナリオ展開に違和感もなく、決して悪い作品ではなかったのだが、記憶に刻まれるような作品でもなかった。後になって「あれも一応伏線だったのか」と思い返すことが出来る部分もあったのだが、「あっ」と驚かされるようなものでもなく。大筋の真相も概ね予想の範囲内だったので、良い刺激を得ることが出来なかった。
唯一感心したのは、読み終えた後、タイトルの意味に気付いた時かな。最後にちゃんと、「わたしを呪った"アレ"」を殺していたな、と。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分だけに見えていたはずの怪物、蛞蝓女。
その怪物がSNSで話題になっているのを知った大学生の芽衣は、現実と向き合うため恋人の恭一とともに呪いが生まれた故郷の沢母児に向かう。
先輩で研究者の千璃も加わり、呪いを殺す方法を探っていくが……。
蛞蝓女に呪われた女子大生が、「呪いを殺す方法」を探すホラー小説。
呪いに化物、因習村、伝承の調査にどんでん返しという全部盛り。若干盛り込みすぎ? な雰囲気はあれど、意外な展開もありつつまとまっていて面白いです。
表紙の情緒や、蛞蝓女のどろっとした粘度と湿度の高い擬音や描写も不気味で好き。
主人公がちょっと依存的というか、序盤ずっとうじうじしているので好みは分かれそうですが、その分ラストの「豹変」が映える。シスターフッド味、あるいは百合味のあるエンディングで、個人的にはかなり好き……なんですが、依存対象が変わっただけな気も………。
この後彼女がどうなるのかも気になります。
タイトル回収も良かったです。
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Posted by ブクログ
第18回日本ホラー大賞
大賞 該当作無し
長編賞 「なまづま」 堀井拓馬
短編賞 「穴らしきものに入る」 国広正人
上記のごとく、本編は長編賞を受賞している。
ヌメリヒトモドキという、はじめはドロドロのスライムのようであるが、だんだん人間に進化して行く未知の生物で、地球にはびこる。
これを研究する国の機関で働く研究員の主人公は妻を亡くして無気力に成っていた。
出来の悪い人型のねちゃねちゃした物体であり、異臭を放つヌメリヒトモドキは誰からも嫌われていた。
主人公も例外ではなく、嫌っていた。
このヌメリヒトモドキが人間の髪や爪を食べて、人間に変貌していく様を見て、主人公は、生前に保管していた妻の髪をヌメリヒトモドキに食べさせ、妻を蘇生させることを試みる。
プロット的には、フランケンシュタインの人造人間のごとく、ありきたりではある。
主人公の行動、考えが哲学的に長々と語られていたりするところは少々飽きて、何度も読むのを辞めたが、その後が妙に気になり、また読み始める。
結局、何度も中座しながら最後まで読んでしまった。
長編賞を受賞するだけの力量が、この作者にはあるのだろう。
主人公とヌメリヒトモドキの生活が長々と綴られている。
最後に何かどんでん返しがあるのだろうと期待しつつ、読み進めた。
どんでん返し、らしきものは在った。
しかし、どうもその結末に納得がいかない。無理やりどんでん返しを作った感がある。
もう少し、物語にひねりが在れば、良かったのにと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【2025年29冊目】
ぬるぬると粘液を滴らせ、「アレ」がやってくる――。それは芽衣にだけ見える異形のはずだった。だが、それは芽衣を追いかけるように大学にまで姿を現し始める。写真や動画には映らず、人々の目にだけ捉えられる「アレ」。正体を知るため、芽衣は恋人の恭一と共に生まれ故郷にある沢母児を訪ねるが…。
ぬるぬるずるずるべたべた、と言えば堀井拓馬さんの代名詞と言えそうだなと確信を得た本作。なんだろう、粘液に心を捉えられすぎでは?
それはさておき、ホラーよりもどちらかというとミステリー色の強い今作。設定が結構複雑なので、登場人物同士の関係性も含め、さらっと読める割にはごちゃごちゃしている感じでした。
真相が明かされた時も、「まあ、最初っから怪しいとは思ってたんで…」という感じでしたので、そこまでの驚きもなかったりして。
続編が出そうな終わりっぷりでしたが、どう続けるのかしら、そして彼女は本当に実在していたのか?でも恭一にも見えていたので実在はしてたんでしょうね。そこらへん、今後の活かしたかがちょっと気になります。
蛞蝓女のビジュを見たいなと思いました(イラストで) -
Posted by ブクログ
140文字で描く怪談。ほとんど歌詞のような意味不明な内容のものからオチまでちゃんと着いた物語になってるものまで作家それぞれ個性が出ていて面白かった。
もちろん私の好みは短くとも物語になっているものだ。下手の横好きではあるが物を書いたこともあるので僅かな字数で書くことの難しさはわかる。でもこの短編集はおそらく一般ウケは狙ってないように思う。ああ、でもWebで人気の意味怖に近いものがあるかもしれない。短すぎるだけに文章の裏を読む想像力は必要だ。
澤村伊智のは短いながらもやはりキレがあった。あとは一田和樹、岩城裕明の作品が個人的には好みだった。