なまづま

なまづま

小説・文芸
616円 (税込)

3pt

激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって……。選考委員絶賛、若き鬼才の誕生!

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なまづま のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    日本ホラー小説大賞は、たまにこういったものが出てくるから侮れない。個人的には角川ホラー文庫の装丁ヤメればいいのに、と、思う。もっと差別化した装丁にすればいいのに。そのほうがこの「なまづま」の良さと心地悪さが際立つだろうに。


    例えば読書がスキで、あたしみたいにグロへの耐性がかなりある知人がいたとしたらあたしはこの本、迷わず勧める。その時の確認事項としては例えば、日本ホラー小説大賞に沿っていけばおそらく、こうだ。

    以下、A群とB群でB群の方がスキ、あるいは最低限B群が「読める」。
    A群例:「黒い家」「ジュリエット」「パラサイト・イヴ」「嘘神」
    B群例:「姉飼」「夜市」「鼻」「粘膜人間」

    上記B群いずれか、特に粘膜人間と鼻を読んだことがあるあなた、きっとあたしのいいたいことがわかりましたね?そうなんですよこの作品、そのレベルのすごさです。しかもすごいのは、架空の生命体のぐろぐろ加減に比べて、地の部分の主人公の独白が、かなり美しい絶望と愛で織りなされていること。ここは4作品とは大きく違ってむしろ、ちょっとした恋愛小説と大差ないほどだ。巻末に選考委員のコメントとして愛のドロドロが書かれていないとあったがそうだろうか?十分切なくもどろどろだったように思うけれど個人的には。

    おっとすっかり忘れていた、どんな話かというと:

    激臭を放つ粘液に覆われた醜悪なばけもの、ヌメリヒトモドキが住み着き、増殖していく東京で、その研究をする私。その汚臭に精神を病みつつもあるとき、ヌメリヒトモドキが人間の抜け落ちた髪や爪を食べて母体に吸収・排出される過程で成長し、その人間の感情や記憶を学習することを知る。3年近く前に死んだ妻の髪を大事に保存していた私が考えたのは、ヌメリヒトモドキを飼育して、妻に模したそれを完成させようとする、が。


    最後のエンディングが、単に絶望感に彩られた予定調和ではないのがいい。あたしは何度か書いているけど完全にハッピーエンド信奉者ではある。けれどそもそも絶望と不快を下敷きにしたこの作品はすでに破綻の音がしていた訳で、その中でこうひねったのであればすごいなーと思ったし。

    気色悪いし生理的におえってなるシーンもたくさんある。でもそれでも、技巧的で巧みな独白部分と、最後の絶望的ででも非常に計算高いこの作品は、読んでよかったと思う。



    <引用>
    「ねっとりとした慢性的な疲労をとびきり深いため息に代えてでろでろと排出すると、私はうなだれるようにして足下を見下ろした。」

    「浮薄さを装っているせいで自分は人に好かれないということに山崎さんも気づいてはいるだろう。だがそれでも彼は演じることをやめない。演じ続けることでいつしか本当に、喪われた過去を顧みず、ただ来るべき未来のためにだけ生きられるようになると夢見ている。しかしその願いどおり、もし彼がもう少し愚かしい人間だったなら、奥さんを亡くした後、彼はもっと幸福な人生を送ってきたはずだ。話を聞く限り、奥さんを失った後の彼の人生は幸福とは言い難い。彼はまだ、聡明なままなのだろう。」

    「彼女の中で、私にはまだたくさんの空白があったに違いない。彼女にとっての私の中に存在している未知な部分は ー 私が多くの言葉を持たないせいで彼女の目には空白に映っていた私の心の一部は、彼女の陰鬱な精神状態を反映してあらぬ色合いを帯びていた。私が自分の多くを語らず、彼女が私の多くを知り得なかったせいで、彼女の中の私は好き勝手姿形を変えて、現実の私の態度とは関係なく、彼女を責め立て、彼女を罵っていたのだろう。」
    <引用終わり>

    0
    2012年10月06日

    Posted by ブクログ

    私も角川ホラー文庫読もうかな?
    とりあえず、手元にあるの読も!!!

    しかし、ヌメリヒトモドキって、名前通り気持ち悪っ!
    なんか『魔界水滸伝』にあったインスマス人を思い出してしまった!
    魚臭く悪臭を放つ人ら…((*ノଳoଳ)ノオエー
    あんまり知性は、高くない。

    この作品やと、そんなのもいるけど、人の髪の毛とか食べさせるとその人に近づくと…悪臭放って、ドロドロの粘液はそのまま。
    でも、妻を失った主人公は、妻を復活させるために…
    ゲロゲロやけど、分からなくはない…
    段々とのめり込んで、段々と精神が崩れていく…((*ノଳoଳ)ノオエー

    でも、完全に復活した妻は…
    やっぱり、神さんの真似したらあかんし、ええ結果にはならんのかな…
    でも、自分の大切な人が亡くなって、生き返らせるような手段があればね…
    自分の思うようになる訳ないけど…
    でも、やってしまいそう…

    まだまだ、こんな事はないんやろうけど、再生医療とかが、進化して、細胞があれば全てを再生できれば、出来るのか?
    倫理面は別にして。

    その倫理に反することをやる事で、人の心は壊れるんやろな…
    怖い!怖い!

    ((*ノଳoଳ)ノオエー

    *****【映画鑑賞】ಠ_ಠじー*****

    前作も観たし

    「プラダを着た悪魔2」

    観て来た!
    ロケットスタートみたいやな。人いっぱいやし。今年の興行収入上位を狙う勢い!
    前のメンバーは、総結集やし、ガガ出るし、話題も豊富。
    基本はお仕事映画なんやけど、ファッション誌なだけに、場面変わるたびに、綺麗な服になるんやけど…
    …ブランドが分からん_| ̄|○
    知ってる人なら、尚、楽しめる!
    しかし、どこの業界も、合理化!合理化!で、人要らんとかツラい現状…
    ファッションとか感性なんやから、AIも不向きやと思うんやけど…

    0
    2026年05月04日

    Posted by ブクログ

    ヌメリヒトモドキという、人間が粘液になったような生物がいる世界。町外れには「女王」と呼ばれる巨大なヌメリヒトモドキがいて、ヌメリヒトモドキはそこから生まれ、また女王に返って融合し、また生まれるサイクルを繰り返す。主人公はヌメリヒトモドキの研究者。ある時ヌメリヒトモドキの人間近似個体の研究から、主人公は亡くなった妻をヌメリヒトモドキで作ることを思いつくー。

    もう、「どうやったらそんな話思いつくん?」という感想。粘液の描写が最高に気持ち悪くて良かったです。異常な世界観の中で細かく描写されていく主人公の心情とだんだんシンクロしていくから不思議。ただ亡くなった妻以外の人との関係性についての描写がちょっと薄いというか…カンナミ研究員ともう一悶着あっても良かったかな?という感じ。
    ラストはめちゃくちゃ好きなタイプの絶望でした。

    0
    2020年09月17日

    Posted by ブクログ

    第18回日本ホラー小説大賞受賞作を読みました。


    それは、腐敗臭を放つ粘液に覆われた、まるでナマコのような生物、

    「ヌメリヒトモドキ」が蔓延している時代。


    ある男が、それを研究し、

    それが、人間の記憶や感情を記憶し、人間のように進化していくことを知り、

    亡くなった最愛の妻をよみがえらせるため、

    ヌメリヒトモドキの飼育を始めるのだった。



    ヌメリヒトモドキとは、

    青白く、何とか人の様相をしているが、

    生臭く、ねばねばしたもので覆われ、目や口もはっきりせず、

    ズルズルと引きずるように街中を歩き回っているおぞましい生き物らしい。。。


    こんなものが、街中をうろうろしているというのを想像しただけで寒気が。。。


    おまけに、本から異臭まで漂ってきそうな。。。

    ちょっと異質のホラーですが、

    どうなっていくのか、ドキドキしながら読めました。

    ただ、涼しくなるような恐怖はありませんでしたけどね。

    0
    2018年08月31日

    Posted by ブクログ

    確か、”読むのが怖い”からだったかな。あとはホラー大賞受賞作ってこともあって。モドキのあまりの醜悪さに、読みながら顔をしかめたり気持ち悪くなったりすることしきり。『こんなけったくそ悪いモノ!』って思ったけど、それってまさに作者の意中なんですよね。まんまとやられたし、何やかや続きが気になって最後まで楽しませてはもらったんで、作品としての評価は意外に高いです。

    0
    2018年05月16日

    Posted by ブクログ

    言葉選びが好み。
    表紙がとても不気味だけど読み終わる頃には可愛とさえ思ってしまう。
    不器用すぎる男の物語り
    死んでもあんな愛され方されたら幸せだ

    0
    2019年05月02日

    Posted by ブクログ

    淡々とした語りがしだいに、「あ、なんかヤバそう」と恐怖を募らせていくつくりは江戸川乱歩っぽく感じた。発想も面白いし、コンパクトなのが良い。次の作品も読みたい。

    0
    2015年01月19日

    Posted by ブクログ

    永遠は怖い

    不死だから病気にならない
    病気にならないということは
    脳の病気にもならない
    だから精神が狂うこともない
    という設定が面白かったです
    そこまで踏み込んだ作品はめずらしいです

    0
    2014年06月20日

    Posted by ブクログ

    読んでいて、『狂愛』という言葉がしっくりくる作品だと感じました。


    ***

    『ヌメリヒトモドキ』というスライム状の生物がそこらじゅうに生息しているのが当たり前、という世界で繰り広げられる物語。

    主人公は、数年前に妻を亡くしてから、毎日を無為に過ごすヌメリヒトモドキ研究者。研究の過程で、そのヒトモドキが人間の髪の毛や体液から容姿と記憶を学習する習性を持つと知り、最愛の妻を再現する為にヒトモドキを家の浴室で密かに飼育し始める。。。というストーリー。


    この、『ヌメリヒトモドキ』というよくわからない生物が、まるで実在の生物かのごとく生々しく感じられる描写はすごいです。読んでいて激臭やヌメリ感を肌に感じます。

    そして、喪失を取り戻そうと妻の再現に執着する研究者の執念は、一貫して手記風に描かれた文章にも現れているのではないでしょうか。人物のセリフが長いのも特徴で、恐らくそれが解説・批評で言われている「文章がねちっこい」と感じる原因の一つなのではと考えます。

    それゆえ、意外な結末を迎えた読後の余韻も、ぬめってまとわりつくような感覚を覚えました。


    堀井さんの他の作品もぜひ読んでみたいのですが、書店には他の作品があまり置かれていないのが残念。。。

    0
    2012年12月26日

    Posted by ブクログ

    第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。ホラーの皮をかぶった純愛小説だね。異形の存在・ヌメリヒトモドキの描写に、内省的な主人公の自分語りが相俟ってネットリ具合が倍増。ひたすらに粘着質な、”妻”への愛が凄まじい。キスシーンなんて鳥肌モノだよw。ただ、個人的にはもう少し鬼畜度が欲しかった気も……。

    0
    2012年03月06日

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