あらすじ
幼少の頃から、自分だけに見える幻覚「蛞蝓女」に悩み続けてきた女子大学生・芽衣。
ある日、「蛞蝓女」がネット上で都市伝説化していることを知る。芽衣の通う大学で、不気味な怪物の目撃情報が多発していたのだ。
怪我人までもが発生し、芽衣はついに彼氏の恭一と共に、「蛞蝓女」の呪いが生まれた故郷・沢母児町へ向かうことを決意する。
一方で、怪奇現象の研究者であり、芽衣の中学時代の先輩である雪丸千璃もまた、この呪いの正体を追い、沢母児を訪れていた。
沢母児に伝わる超能力者・沾水ネンの伝承、「メノテメ様」の祟りの噂、どこか不気味な村の人々。3人は、奇妙な町の秘密を探っていくが……
呪いを「殺す」方法は存在するのか? すべての謎が解き明かされるとき、物語は想像を絶する結末へと動き出す。
日本ホラー小説大賞出身の鬼才による、異形蠢く戦慄の復讐譚!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公が自分にだけ見える筈の怪異『蛞蝓女』がSNSで話題になっていることを知り、決着をつけるために恋人と先輩と共に「呪いを殺す方法」を探っていくホラーミステリーで、『蛞蝓女』のおどろおどろしさ、村に伝わる不気味な因習、そして秘匿された町の禁忌とどれもが恐ろしく最初と最後でガラッと変わる物語は「異形蠢く戦慄の復讐譚」を象徴するラストだった。
Posted by ブクログ
自分だけに見えていたはずの怪物、蛞蝓女。
その怪物がSNSで話題になっているのを知った大学生の芽衣は、現実と向き合うため恋人の恭一とともに呪いが生まれた故郷の沢母児に向かう。
先輩で研究者の千璃も加わり、呪いを殺す方法を探っていくが……。
蛞蝓女に呪われた女子大生が、「呪いを殺す方法」を探すホラー小説。
呪いに化物、因習村、伝承の調査にどんでん返しという全部盛り。若干盛り込みすぎ? な雰囲気はあれど、意外な展開もありつつまとまっていて面白いです。
表紙の情緒や、蛞蝓女のどろっとした粘度と湿度の高い擬音や描写も不気味で好き。
主人公がちょっと依存的というか、序盤ずっとうじうじしているので好みは分かれそうですが、その分ラストの「豹変」が映える。シスターフッド味、あるいは百合味のあるエンディングで、個人的にはかなり好き……なんですが、依存対象が変わっただけな気も………。
この後彼女がどうなるのかも気になります。
タイトル回収も良かったです。
Posted by ブクログ
途中からは読むのが止まらない面白さだったが、忌み継ぎだからか、主要人物2人の人格は少し嫌悪する。
ホラーとイヤミスが、重なったような作品。 後味はあまり良くない。
Posted by ブクログ
やはり怪しいと思ってた通りだったけど展開が予想以上だった。蛞蝓女の描写を想像しただけで気持ち悪くおぞましい。アレって結局アレなのか?!千璃が救世主になるのかな?
Posted by ブクログ
全部読み終わってからタイトルに戻ると「ああ『そういうこと』か」と妙に納得した。
途中までは「アレ」の正体に迫る謎解きを楽しんできたはずが、終盤の展開から様相が変わるというか、もうただただ恐ろしくなってくるというか。
現実と虚実が分からなくなる不安感がどんどん増すというか。
スプラッタ系で怖いという訳ではなく(パニックものな場面はあったかな?)異形のもの自体が怖いという訳でもなく(怖いには怖いが)もっと根本から違う怖さ、異次元の怖さ、異質な怖さがあった。
上手く表現できないのがもどかしいが……不思議な作品だった。
Posted by ブクログ
【2025年29冊目】
ぬるぬると粘液を滴らせ、「アレ」がやってくる――。それは芽衣にだけ見える異形のはずだった。だが、それは芽衣を追いかけるように大学にまで姿を現し始める。写真や動画には映らず、人々の目にだけ捉えられる「アレ」。正体を知るため、芽衣は恋人の恭一と共に生まれ故郷にある沢母児を訪ねるが…。
ぬるぬるずるずるべたべた、と言えば堀井拓馬さんの代名詞と言えそうだなと確信を得た本作。なんだろう、粘液に心を捉えられすぎでは?
それはさておき、ホラーよりもどちらかというとミステリー色の強い今作。設定が結構複雑なので、登場人物同士の関係性も含め、さらっと読める割にはごちゃごちゃしている感じでした。
真相が明かされた時も、「まあ、最初っから怪しいとは思ってたんで…」という感じでしたので、そこまでの驚きもなかったりして。
続編が出そうな終わりっぷりでしたが、どう続けるのかしら、そして彼女は本当に実在していたのか?でも恭一にも見えていたので実在はしてたんでしょうね。そこらへん、今後の活かしたかがちょっと気になります。
蛞蝓女のビジュを見たいなと思いました(イラストで)