繁田信一のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
古くから説話や伝説に彩られてきた陰陽師。
近年では小説や映画にも登場し、呪術により凄まじい力を発揮する。
世界を滅ぼしかねない超人として描かれることも少なくない。
では実在の陰陽師たちはいかなる活動に従事していたのか。
安倍晴明らが絶大な名声を博したのはなぜか。
藤原道長ら同時代の王朝貴族が残した日記を手がかりに、知られざる実像に迫る。
さらには、陰陽師を必要とした平安時代の人々の心性をも明らかにする。
[ 目次 ]
第1章 官人陰陽師と法師陰陽師
第2章 怪異を読む
第3章 禁忌を告げる
第4章 災厄を除く
第5章 生命を狙う
第6章 安倍晴明と蘆屋道満
[ POP ]
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Posted by ブクログ
伝承ではない陰陽師の成り立ちと、その衰退に興味があり手に取った本だったが、内容は著者があとがきに記しているように「平安時代の陰陽師に関する入門書」だった。陰陽師が全盛の頃のその地位、仕事について、貴族の残した日記を元に書かれてある。意外だったのが「式を伏す」という記述。「式を打つ」とは別の行為なのか、それとも同じことなのか不明だが、ここでは平安貴族にとっては、式神=呪物、伏す=潜ませる、「呪詛の標的の身辺に呪物を埋める事が式神を潜ませることと同じ」だったとある。なるほど、ものをこっそり隠し忍ばせるくらいなら、伝承のような超人陰陽師でなくても、出来そうだと妙に納得した。
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Posted by ブクログ
源氏物語と実際の朝廷の人間関係を比較しつつ、当時の文化と物語のモデルらしき人々の実際を解説。女性のもとに通う形の婚姻で、一夫一婦制でもなく、結婚の届けを出して「正妻」を決めるわけでもない時代に、身分や出身地、政治的な陰謀などに翻弄されながら、それぞれの性格がよく分かる、緩くてある意味狭い人間関係を生きた貴族階級の様子が分かりやすく説明されている。
火事や疫病、強盗などがあまり描かれない源氏物語は、当時のリアルとはちょっとかけ離れているとしつつも、当時の読者なら想像できるモデルがいて、読み物として非常に面白かったというのはよく分かる。
古典はやはり、現代語訳で物語そのものを読むのはもちろん、周囲