酒井隆史のレビュー一覧
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人類文化とは、狩猟採集文化を経て農耕技術を発達させ、定住し都市を築いた。そこから権力者が生まれ強大な力で支配し、抑圧された都市住民の抵抗として民主主義が生まれ現代に至った——という文化進化論的ストーリーを根本から否定する。
狩猟採集時代から平等で遊びの文化も発達していたし、強大な権力者が支配する都市の周縁には平等な社会が同時に存在した。都市もまた支配者なく民主的に運営されていた可能性があり、支配者のいた都市でも長い年月の間に民主的な時代があった。一度農耕を発達させた文化が、その非効率さゆえに狩猟採集生活に戻った例もある。さらにはアメリカ先住民の民主的部族運営がヨーロッパ啓蒙思想に影響を与えた -
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グレーバーの「ブルシット・ジョブ」の翻訳者による解説本のような、大学の講義のような一冊。
本体がちょっと冗長でわかりにくかったところを、整理して、日本的な実例交えながら説明されているので、より分かりやすい。
主には「仕事とは」ということになるんだろうけど、そこに関連して経済とは、生産するとは、人間とは、いろいろな要素が混ざり合って一言では言い表せない哲学、思想にたどり着く。
これを読んでから、または読みながら、本体をひらいた方が好いかも。
講義を受けているように、理解が深まります。
さらにいうと、これより先に、ほぼ日の「ブルシット・ジョブについて学ぼう」を検索して読んでおくと入りやすいと思い -
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下巻は、とにかく訴訟を起こして権力に立てついたアナキスト(大杉栄と交流があった)について、それから、みんな大好き飛田について。『㊙色情めす市場』という、あまりにあまりなタイトルの映画を、釜ヶ崎から飛田の景色とともに論じている。ただの猥褻ではなくて、その裏の悲しみがわたしを惹きつけてやまない。観光地化している新世界で串カツを食べて、大阪を知った気になるなかれ。
ただ、あとがきに書かれているように大阪らしいディープな風景はどんどん消えていく。何年かぶりに訪れた天王寺に、てんしばなるものができていたのを知った時には、おどろくのとともに、残念な気持ちにもなった。「JR天王寺駅をおりたときから、この町 -
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明治から大正、昭和にかけて、通天閣を中心とした天王寺~今宮界隈の町の変遷について、詩人、侠客、棋士、ジャーナリスト、などなどを通して描かれる。日雇い労働者の釜ヶ崎、遊郭の飛田に代表される、猥雑な「ディープサウス」だけども、始まりは外国の人を呼んだ博覧会の開催にあわせて、貧困層を排除したクリーンな街をつくろうとした、そのしわ寄せが周辺に広がったもよう。じゃりン子チエが好きなので手に取ったが、阪田三吉という棋士(『王将』の人とのことだが、初めて知った)も、よかった。細かいとこは飛ばし読みしてしまった(なにしろこの厚さだし、学術書だし)が、それでもおもしろかった。
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Audible版。デヴィッド・グレーバーの原著『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』の再生時間が18時間40分と長いので、訳者によるこの要約本を聴いた。評価を見る限り、「面白い」のは原著だけど、日本人目線が入ったこちらの方がたぶん「わかりやすい」んだと思う。
この世の仕事はほぼ2種類。ブルシット・ジョブとシット・ジョブ。
ブルシット・ジョブは「仕事の内容がクソ」。組織内の儀式や権力維持、「労働=苦労」という価値観、そして生きるための給料を得るために、「こんな仕事なくなっても世の中の誰も困らないな」と思いながら、自分の貴重な時間をドブに捨てて忙しいふりをしなければならない仕事。「 -
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『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』酒井隆史著
前々から介護や教育など、人を支えるエッセンシャルワーカーの給料が低く、ITなどホワイトカラーが高いことに違和感はあった。管理職など、無駄な仕事を生む仕事。自分の精神を殺しながらの仕事。その裏には醸成された仕事には価値がある、教育やケアはやりがいがあるという思想が生み出されている。正直この思想に動かされて、働くのは合わないのに働いて精神を病んだとも言えると感じている。相互にケアし健康で豊かで、不安や恐怖・ストレスから解放される未来は来るのだろうか。その一助をグレバーから学ぶことができる。 -
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自分の仕事がブルシットジョブで向こう20年を耐えるのはムリだから転職する、という人生の節目で、じゃあブルシットジョブという言葉を作った人の本を読んでみようと手に取った。
語感だけで使ってた単語だが、著者の定義を見てその通りで驚いた。被雇用者本人でさえ存在を正当化しがたいほど完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態で、とはいえその雇用条件の一環として本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている、と。そしてこれはシットジョブとは違うんである。
ブルシットジョブの種類や、市場が生み出した仕事になぜそんな非効率なものがあるのか、なぜブルシットジョブが増えているのかという問 -
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第1章
ホモ・サピエンスは唯一の現生人類ではなく、ネアンデルタール人やデニソワ人をはじめとする複数の人類種が共存し、交雑していた事実を示している。
これにより、人類の起源は単純な直線的進化ではなく、多様で複雑なネットワーク型進化モデルで説明されるべきである。
さらに、アフリカを起源とする「単一起源説」も修正が必要である。最新の化石発見と古代DNA解析により、人類はアフリカ以外の地域でも独自の進化を遂げ、遺伝的交流を重ねてきたことが明確に証明された。
古代DNAの解析技術の進展は、人類の移動経路と交配の詳細なパターンを解明し、過去に存在した多様な人類集団が互いに影響を与え合っていたことを -
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この本は語られること多くして、実際にはあまり読まれていないのではないか。
実際読んでみると、グレーバーはここで、現代の資本主義の根源的な問題を抉り出しており、その最も本質的な批判になり得ていると思う。
この書物の結論のひとつは、この社会においては、労働が他者の助けとなり他者に便益を提供するものであればあるほど、そしてつくり出される社会的価値が高ければ高いほど、それに与えられる報酬はより少なくなるということ。そして逆に報酬の高い労働とりわけFIREセクター(金融、保険、不動産)におけるそれは、社会的に徹底的に無意味であると本人に感じられるようなものであるということだ。
すなわちいわゆる「負け組」 -
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自分は、本書ではブルシット・ジョブとよばれるような仕事に就いている。普段の仕事自体は比較的ストレスなく進められているが、繁忙期で退勤時間が0時を回ったりする時に、「こんな時間までするほど価値があるような仕事ではないよな…」と思ってしまう。
ここでいう価値は「社会的な価値」と「自分にとっての価値」両方の意味を指す。自分の仕事はおもに調書作成で、上長に自分のした仕事を正しく伝えるために発生する仕事であり、それ自体に直接的な価値はない。
また、自分はお金を稼ぐために仕事をしているという意識が強くて、仕事それ自体にやりがいや価値はあまり感じられていない。
本書(というかグレーバーの著書)でのBSJ -
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ネタバレやっと読み終わった、という感じ。だが、それに見合う本だった。世界の見方を変えてくれる本というのはそうそうあるものではないが、本書は自分にとってまさにそういった本の一つとなった。多分、何度か読み返してそのたびに考察のヒントを与えてくれそうな予感がする。
一般に流布している人類史の見方として、1 人間集団はその規模を拡大するにつれて複雑化するため、やがて集団を制御するための非生産階層が必要となり、その階層が集団を支配するようになる。2 規模の拡大につれて支配層が分厚くなり、ヒエラルキーの度合いが増大する。3 農業などのテクノロジーにより、規模拡大が加速し、ヒエラルキー形成が加速する、といった -