ユーザーレビュー ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー / 酒井隆史 / 芳賀達彦 / 森田和樹 斎藤幸平の『人新世の資本論』でこの本を知り、手に取った。はじめはブルシット・ジョブとは誰の役にも立たない仕事や資本主義を成立させるために作られた(例えば広告代理店のような)仕事のことかと思っていたが、そうではない。役に立たないとわかっているのになぜかなくならない仕事のことだった。 私の周りではブラッ...続きを読むクな仕事の話を聞いてはいたが、その反対にこのような内容の伴わない仕事があるのかと暗然とした。 その対極としてあるのがケアワークである。教員の仕事がブラックであることは昨今知られていることであるが、このブラックさは政治によって作られたものであり、ケアワークをブルシット化することが政治的に進められた結果ではないかと思った。 労働に関して非常に示唆に富んだ本だと思う。 Posted by ブクログ ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー / 酒井隆史 / 芳賀達彦 / 森田和樹 この本以降「ブルシット・ジョブ」という言葉が流行語のように数々の著作で引用され、動画でも用いられてきた。この語感の意味をその定義以上の文化的な課題への警鐘を含め、しっかり前後の文脈まで把握する事が重要。二次的な浅い理解ではなく、原典を読めて良かった。本著は少し冗長で口説く感じるが、平易で分かりやすい...続きを読む表現。かつ、自らの頭で考えながら読む為には、あれこれ具体例を示しながら、ダラダラとした対談のような紙幅がちょうど良かったと、後から感じた。 興味のある切り口で頭の整理をしてみる。「価値のある仕事とは何か」「価値とは何か」「価値の無い仕事は何故生まれたか」「隣人と奥さん(旦那さん)を交換し、相互に有償で仕事を依頼するとどうなる」「本当は働かなくても良いのでは」、これら個人的な疑問に対し、本著を援用し、時に行間を自発的に思考し、読み進めた。本来、読書とはその所作なのかも知れない。 富裕国の37から40%の労働者が既に自分の仕事を無駄だと感じているらしい。無駄なら辞めれば良いが、お金が必要だ。また、何故無駄と感じるのか、無駄とは何か。コロナ禍にエッセンシャルワーカーという言葉が多用された。生活に必須な仕事以外は自粛。そう言われると、確かに、無用な仕事はありそうだ。更に、ここでは、職務に留まらず、同じ仕事における「拘束時間」を問題視する。 勤務時間中においては労働者の時間はそれを買った人間に所有されているという観念がある。そのため勤務時間中は生産性を上げて余裕の時間が生まれても、自分の好きなことをするわけにはいかない。監視の目があるから、余計な仕事をする。余計な仕事をしないと暇すぎて心が参ってしまうという問題もある。漫画でも読んで待機できれば良いが。この点、一足飛びに労働分配とベーシックインカムにより解決されずとも、コロナ禍のテレワークが社会実験となったように感じる。仕事の早い人間は、テレワーク中に手っ取り早く成果を出し、ブルシットの生まれる余白を自らの時間として手に入れたのだ。 労働者が実際に行っている事は、フェミニストがケアリング労働と呼ぶものにかなり近い、という本著の発言も響いた。ケアリング労働を有償で交換し合えば、労働者の納得感は増すが、最終的には税務署が喜ぶだけだ。金銭を対価にせずに、つまり、価値比較の無用化とそこから第三者に搾取されぬためには、我々は、信頼と愛をベースに、または単にネット上の承認欲求を満たす仕組みをモチベーションに労働交換比率を高めていくのが良いのだろう。その時、それはブルシットと対極になる。 思考は尽きない。もっと読みたい、考えたいと思わせる読書だった。 Posted by ブクログ ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー / 酒井隆史 / 芳賀達彦 / 森田和樹 やらなくても誰も困らない仕事(何も寄与しない仕事)って確かにあると思います。 労働自体が目的となっていないか❓ そんな事を考えさせられる一冊です。 Posted by ブクログ ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー / 酒井隆史 / 芳賀達彦 / 森田和樹 ブルシットジョブとは。 被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用形態である。しかし、その雇用条件の一環として本人は、そうではないと取り繕わなければならない。 高給であればあるほどブルシット化してしまう現状。その無意味さに本人が気付いているか...続きを読むらこそ、そうではないと自分が演技をしてしまうという記述には心当たりがありすぎて胸が痛かった。 さらに、その歴史的な背景を紐解いていく壮大さに夢中になった。 この本を読み終わったあと、端的にこの世界をかえりみて思うことは「狂っている」の一言である。 ベーシックインカムなどにやり、自由に人間らしさを取り戻した世界になることを切に願う。 Posted by ブクログ ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー / 酒井隆史 / 芳賀達彦 / 森田和樹 世界中どこにでも仲間がいる、クソ仕事が溢れ続けることそれ自体によって、資本主義が終わる未来が見える、そんな一冊。 Posted by ブクログ 森田和樹のレビューをもっと見る