森田和樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の仕事がブルシットジョブで向こう20年を耐えるのはムリだから転職する、という人生の節目で、じゃあブルシットジョブという言葉を作った人の本を読んでみようと手に取った。
語感だけで使ってた単語だが、著者の定義を見てその通りで驚いた。被雇用者本人でさえ存在を正当化しがたいほど完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態で、とはいえその雇用条件の一環として本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている、と。そしてこれはシットジョブとは違うんである。
ブルシットジョブの種類や、市場が生み出した仕事になぜそんな非効率なものがあるのか、なぜブルシットジョブが増えているのかという問 -
Posted by ブクログ
この本は語られること多くして、実際にはあまり読まれていないのではないか。
実際読んでみると、グレーバーはここで、現代の資本主義の根源的な問題を抉り出しており、その最も本質的な批判になり得ていると思う。
この書物の結論のひとつは、この社会においては、労働が他者の助けとなり他者に便益を提供するものであればあるほど、そしてつくり出される社会的価値が高ければ高いほど、それに与えられる報酬はより少なくなるということ。そして逆に報酬の高い労働とりわけFIREセクター(金融、保険、不動産)におけるそれは、社会的に徹底的に無意味であると本人に感じられるようなものであるということだ。
すなわちいわゆる「負け組」 -
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Posted by ブクログ
若干冗長に感じたところはあるけど、面白かった。特に最後の何章かがとても面白かった。
世の中のあり方に対する著者の姿勢に心を動かされた。
結局のところ、この本で一番私がグッと来たのは、意思の発露みたいなものだ。アナーキストっていうのはこういうことなのかなと。
本を読む楽しみというのはそういうことにある気がする。
ずっと、カタカナの何とかコンサルタントみたいな人がこんなに増えていて、しかも現場に対する意見が異常に抽象的で、人がわからないような英語が多く、ケアリングの場所においては何の役にも立っていないにも関わらずコンサルタントとして入ってきては結果を出せ結果をだせ(そして、ケアリングワークをして -
Posted by ブクログ
斎藤幸平の『人新世の資本論』でこの本を知り、手に取った。はじめはブルシット・ジョブとは誰の役にも立たない仕事や資本主義を成立させるために作られた(例えば広告代理店のような)仕事のことかと思っていたが、そうではない。役に立たないとわかっているのになぜかなくならない仕事のことだった。
私の周りではブラックな仕事の話を聞いてはいたが、その反対にこのような内容の伴わない仕事があるのかと暗然とした。
その対極としてあるのがケアワークである。教員の仕事がブラックであることは昨今知られていることであるが、このブラックさは政治によって作られたものであり、ケアワークをブルシット化することが政治的に進められた結果 -
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この本以降「ブルシット・ジョブ」という言葉が流行語のように数々の著作で引用され、動画でも用いられてきた。この語感の意味をその定義以上の文化的な課題への警鐘を含め、しっかり前後の文脈まで把握する事が重要。二次的な浅い理解ではなく、原典を読めて良かった。本著は少し冗長で口説く感じるが、平易で分かりやすい表現。かつ、自らの頭で考えながら読む為には、あれこれ具体例を示しながら、ダラダラとした対談のような紙幅がちょうど良かったと、後から感じた。
興味のある切り口で頭の整理をしてみる。「価値のある仕事とは何か」「価値とは何か」「価値の無い仕事は何故生まれたか」「隣人と奥さん(旦那さん)を交換し、相互に有 -
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Posted by ブクログ
他の人も書いている通り、とにかく冗長で読みづらい。が、筆者の言いたいことは納得できるし面白い。
本文の後に続いた訳者の文章は1番要約してあってわかりやすいのだが、だったら本文の訳もう少しわかりやすくしてよ…と言いたくなった。。
ケアリングの話は全くその通りで、簡単にロボットによる代替ができると思わないし、それを数量化しようとするからおかしなことになる、というのは実際にブルシットジョブをやっている人間として非常にわかる。
そして最後は少し違う観点からベーシックインカムの議論に。ここが非常に面白かった。
人間の本質はきっと労働そのものに価値を感じるはずであって、だったらそこに集中する環境を作る -
Posted by ブクログ
ネタバレ新年度にぴったりの本、かもしれない!
就職や就活を通して「社会人」になる洗礼を受ける私たち。
社会に貢献する、
組織の役に立つ、
どんな仕事も尊い、
そうやって社会に出たときに世界中の働く人が直面する矛盾や葛藤は、
きちんと説明されてこなかった。
だからこそ、多くの共感を読んだんだろうと思います。
本書が出版されたのは2018年、この日本語版も2020年7月、パンデミック発生後に出されています。
著者のブルシットジョブ論が世に広まったのは、2013年のウェブマガジンへの寄稿記事からだそうです。
その後のコロナがさらに彼の議論を現に裏付け、「グレーバー現象」がさらに広まっていったのも納 -
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アメリカのアナキストでもある文化人類学者デヴィッド・グレーバーが書いた世界のカラクリを解き明かす「解放の書」との触れこみで、前から気になっていたものをついに読んだ。
3名で訳しているのもあり、かなり読みにくい。訳も色々と迷ったようで、訳注も多い。原文も修飾語が多く一文が長いのだと思う。日本語もそのとおりに訳しているらしく、やたらと「~の~の~における~については~か?」みたいな冗長な表現が多く、章立ても行き当たりばったりで、全然頭間に入らなかったため、2回ほど通読するはめになった。
ブルシット・ジョブというのは「その仕事にあたる本人が、無意味であり、不必要であり、有害でもあると考える -
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Posted by ブクログ
ネタバレ読みづらくて大変だった。本書による定義では、ブルシットジョブとは、
「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態。とはいえ、雇用条件の一環として、本人は、そうでないと取り繕わなければならないように感じている。」とされている。既にしんどい。
その無意味な仕事に対して、なぜか結構なお金が支払われる状況があり、これが働く者の尊厳を傷つけて苦しめるような現象まで起きている。
・・そして、200ページほど事例の列挙と勿体ぶった考察が続く。大幅に端折ると、
・労働はそれ自体が価値という考えが古くからある(労働価値説)。
・そこに資本主義が入っ -
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Posted by ブクログ
★金銭に換算できないケアリングの価値★労働は苦行を伴うものであり、教師や看護師など誇りとやりがいを得られる職業は低賃金でも仕方ない――。「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に先立つ、労働を修養の一環とみなす英国の考え方まで立ち上り、無意味なのに意味があるように取り繕わなければならないブルシット・ジョブの存在に光を当てる。
労働はそもその金銭と換算するものではなく、時間の切り売りという概念を取り込んだから雇用者は働き手が暇そうにしているのを許せない。労働は生産にばかり焦点を当てていたからこそねじれが生じ、サービスという概念を取り込めていない、と主張する。最後に遠慮がち(?)ながらベー -
Posted by ブクログ
自分を含めて、おそらく多くの人間が感じていながらも口に出してこなかった問題について論じている。「世の中から消えても別に何の問題もなさそうな(むしろ無くなったほうが良いかもしれない)無駄な仕事」について。
例えば、わざと通さないように作られている補助金等の制度における書類作成や穴埋め作業、ファンドマネージャー、決定権のない中間管理職、コンサルタント、いなくても会社が回るCEOなど、権力者を権力者たらしめる為だけに存在する「貴族社会における従者」のような仕事のことを言うらしい。ブルシットジョブとは「誰から見ても不要だと分かっていて、本人でさえ自覚しているにも関わらず、表立って不要な仕事だと言えな