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Posted by ブクログ
若干冗長に感じたところはあるけど、面白かった。特に最後の何章かがとても面白かった。
世の中のあり方に対する著者の姿勢に心を動かされた。
結局のところ、この本で一番私がグッと来たのは、意思の発露みたいなものだ。アナーキストっていうのはこういうことなのかなと。
本を読む楽しみというのはそういうことにある気がする。
ずっと、カタカナの何とかコンサルタントみたいな人がこんなに増えていて、しかも現場に対する意見が異常に抽象的で、人がわからないような英語が多く、ケアリングの場所においては何の役にも立っていないにも関わらずコンサルタントとして入ってきては結果を出せ結果をだせ(そして、ケアリングワークをしている人たちは何も結果を出していない)、と叫んでいるのをあたかも役に立っているように扱わなければいけないのはなぜかと考えていたけど、ずいぶん腑に落ちた。
6,7章はいわゆる現代のブルシットジョブがどのように発生してきたか、対極(というか見えないところに配置されている)ケアリングワーク(エッセンシャルワーク)との関係を示していて、大変興味深い。
解決法としてUBIが挙げられている。
ただ、事例についてのところはちょっときつかった。
自分がブルシットではないと思っている仕事(人の役に立っていると思うもの)が、ブルシットというふうに感じる人もいるのだなと思うのは、ちょっとショックだった。
同様に、私がブルシットだと思っていても、当事者はそう思っていないかもしれないのかなと思うとちょっと切ない気持ちがした。
Posted by ブクログ
濃い。オーディオブックでなかったら完走できなかったかもしれないが、私はすごく好きだった。私ってアナキストの素質があるのかしら。好きなところ全部は書けないし、一部を選ぶのも難しい。
訳者の酒井隆史さんによる『ブルシット・ジョブの謎』を先に読んで(聞いて)いたから入りやすかったが、当然ながらグレーバーさんの原著のほうが分量も多いが密度もみちみちで、酒井さんの本で難しかったところや腑に落ちなかったところは、グレーバーさんの語りでだいぶ納得した。
中世ヨーロッパ北部のライフサイクル奉公からの、資本主義、プロテスタント、トマス・カーライル(漱石が博物館に行った話書いてた人だ!)、労働価値説から資本と消費価値説への転換、労働=生産という偏り(女の仕事は出産のみということになるらしい)……いろんなモヤモヤがすべてつながった。
普遍的ベーシックインカムが実現すると、被雇用者が「じゃあやめてやる」と言えるようになる。つまり対等になる。縦の関係から横の関係へ、ってこれはアドラーだ。そういう世界は探せばきっとある、よね? 想像することをやめなければ。グレーバーさんは若くして亡くなられたそうだ。このような大著を残されたことに敬意。
Posted by ブクログ
自分の仕事がブルシットジョブで向こう20年を耐えるのはムリだから転職する、という人生の節目で、じゃあブルシットジョブという言葉を作った人の本を読んでみようと手に取った。
語感だけで使ってた単語だが、著者の定義を見てその通りで驚いた。被雇用者本人でさえ存在を正当化しがたいほど完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態で、とはいえその雇用条件の一環として本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている、と。そしてこれはシットジョブとは違うんである。
ブルシットジョブの種類や、市場が生み出した仕事になぜそんな非効率なものがあるのか、なぜブルシットジョブが増えているのかという問いと答え、ブルシットジョブがサドマゾヒズム的状況を生み出す仕組み、そしてブルシットジョブをなくすための1つのアイディアとしてのベーシックインカム。
著者はアナキストの人類学者で、他の著作を読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
この本は語られること多くして、実際にはあまり読まれていないのではないか。
実際読んでみると、グレーバーはここで、現代の資本主義の根源的な問題を抉り出しており、その最も本質的な批判になり得ていると思う。
この書物の結論のひとつは、この社会においては、労働が他者の助けとなり他者に便益を提供するものであればあるほど、そしてつくり出される社会的価値が高ければ高いほど、それに与えられる報酬はより少なくなるということ。そして逆に報酬の高い労働とりわけFIREセクター(金融、保険、不動産)におけるそれは、社会的に徹底的に無意味であると本人に感じられるようなものであるということだ。
すなわちいわゆる「負け組」は貧に甘んじ、いわゆる「勝ち組」は無意味に耐えなければならないということ。どちらにせよ、浮かばれることはない。
いずれにせよ、この社会は、働くことの意味を根底的に転倒させ、そのことによって人が生きる意味をも喪失させた、ということなのである。
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