沢木冬吾のレビュー一覧

  • 愛こそすべて、と愚か者は言った
    人は存外不器用にしか生きられないのでしょう。

    たとえ器用に生きていると思われても
    その方法はイレギュラーだった挙句に
    最終的には存在概念を
    消し去ってしまった人もいるのです。

    その人にとって、
    人生はなんだったのでしょうね。
    優しく手を伸ばそうとした人はいたけど
    全部その人は払いのけました。

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  • 約束の森
    驚くことに10年積読年で家にありました。手に取ったら夢中になって読み終えてしまった。めちゃくちゃおもしろかった。マクナイトのこと忘れられないよ……犬のなんと愛しいことか……文体も文章の推進力もすごすぎる……構造がうますぎ……電撃に撃たれたかのようです、推したい……もっと早く読んでいたら良かった……沢...続きを読む
  • 天国の扉 ノッキング・オン・ヘヴンズ・ドア
    流石は沢木さんというスーパーハードボイルドな作品。
    現代において主人公が剣士だという設定なのにヒーローもののような浮ついたところが微塵もなく、いくら警察や犯人グループに追われようと地道に真相を追い続ける姿が痛々しい。
    多くの登場人物の善悪の区別が終盤まで分からない構成も見事で飽きさせない。
    かなりの...続きを読む
  • 約束の森
    出足の数ページで面白いことは確定したけれど、まさかここまでとは。
    日本でジェイソン ステイサムかトム クルーズを彷彿させる激しい銃撃戦を展開する不自然さなんて軽く吹き飛ぶほど登場人物も動物たちも魅力的で、かつスリリングな場面の描写も良い。
    こんなに厚い本なのに一気読みでした。
  • 天国の扉 ノッキング・オン・ヘヴンズ・ドア
    ボリュームたっぷりで読みごたえありました。
    今出ている沢木さんの作品で一番最後に読みました。
    どれもハズレなしでした。
  • ライオンの冬
    フィリピン大統領の隠匿したい過去、戦時中の秘密を巡って、日本東北地方の山奥で繰り広げられる壮絶な死闘…

    背景はそういう話なんだが、この本の核心部は旧日本軍兵士のじいちゃん達とクズチンピラたちの死闘シーンと、じいちゃんの孫の愛情物語である。

    後期高齢者の伊沢と猫田のカッコ良さ、伊沢の孫娘結の健気さ...続きを読む
  • 約束の森
    相対すべき”敵”なんて本当にいるんだか、いないんだか。
    自分たちは、何に囲まれてるのか。
    そもそも自分たちは本当に存在してるのか?
    稀にみるアンフェアな日々と風の行方。
    エピローグで1回読むの止めてみた。
    この物語に流れている時間と同じ時間を生きてみたかったから。
    幻のような彼らと同じ時を刻みたい。...続きを読む
  • 約束の森
    ハードボイルドが好きな自分にはたまらない。
    侑也、隼人、ふみの気持ちの寄り添い方も、物語が終盤になるほど近くなってきて、ほっこりする。
    そして、マクナイト。好き。
    再生という物語には引き込まれた。
    それぞれが、それぞれに抱える葛藤が、マクナイトを
    中心に変わっていく。
    続編が読みたい。
  • 約束の森
    戦闘シーンの迫力が凄くて、ページを捲る手が止まらなかった。勧善懲悪!マクナイトとの交流や、人も犬も信頼関係が出来ていくとこが、とっても良かった
  • 天国の扉 ノッキング・オン・ヘヴンズ・ドア
    裏切らないなぁ、沢木冬吾。この小説も沢木節全開。会話はミニマム、描写はしつこい(笑。書き込みする箇所のメリハリがいちいち俺の好みなんだなぁ。

    文庫みっちり700P、なぜか捕らわれの身の主人公が、子供時代に父と祖父から切りつけられるのを避けた追憶を、縛られたまま思い出すという異色のスタート。
    そっか...続きを読む
  • 約束の森
    初めての作家さんですが、まさに解説の書店員さんの言う通り、弛緩と緊張のバランスが絶妙な作品であり、最後のクライマックスに入ってから一気に読まなくてはならなかったです。
    ところどころの台詞にもめちゃくちゃ刺さりまして、ストーリーも登場人物もすごく魅力的で、最高に感動しました。
  • 愛こそすべて、と愚か者は言った
    「約束の森」が良かったので、沢木冬吾の過去作読んでみようと、まずはデビュー作を手に取ってみた。さすがに荒っぽい部分も目立つが、熱い小説である。ハードボイルドであり、冒険小説であり、家族小説。

    時に家族小説としての側面が興味深い。「約束の森」では疑似家族が大きなテーマとなるのだが、その兆候はこのデビ...続きを読む
  • 約束の森
    まったくノーマークだった作品であり、ノーマークだった作家。本屋大賞候補だったらしいがうかつやった。これは想定以上の大傑作!

    中年男の再生、家族小説、犬との親愛物語…俺の好物があちこちにちりばめられていて、その上で良質のハードボイルドであり、活劇アクションであるのだ。初期の高村薫、清水辰夫の良作のニ...続きを読む
  • 約束の森
    初☆作家さん。私の大好きな匂いがぷんぷんして、最後まで楽しめました♪ハードボイルドの侑也、可愛いフミ、生意気だけど仲間思いの隼人。ある任務で集められた偽家族。チョットずつ思いやる3人のやり取りがクスッと笑えてウルッとしちゃう。マクナイト(ドーベルマン)の成長ぶりもウルッと来るし、敵??だと思った...続きを読む
  • 償いの椅子
    「約束の森」が良かったので沢木さん2冊目。こちらの主人公、能見も又カッコよかった!計算高く冷酷な復讐。復讐の中にある哀しい姿。ハードボイルドの能見と姪や甥に見せる不器用な能見。物語りは少し登場人物が多くて事件そのものが分かりずらかったかな。半身不随で在りながら闘う姿は哀しみに満ちてた。ハードボイルド...続きを読む
  • 約束の森
    *警視庁公安部に属していた奥野侑也は、妻を殺人事件で亡くし、以降人知れず孤独に暮らしていたが、かつての上司から北の寂れた土地でモウテルの管理人を務めてほしいと依頼され、任地に向かう。そこで待っていたのは、見知らぬ若い男女と傷ついた一匹のド―ベルマンだった…*

    面白過ぎて、徹夜で一気読み!文句なし、...続きを読む
  • 約束の森
    閉ざしていた心が徐々に開かれ、やがて固い絆と変わり、深い信頼と熱い友情が彼らを導いていく。そんな物語。文句なしに面白いです。ただ、みんなかっこよすぎる。
  • 約束の森
    女子でも読めるハードボイルド。
    どんどん引き込まれて、感情移入して、
    ハッピーエンドで終わってほしい!て願う。
    どんでん返しもあります。
  • 償いの椅子
    凄く良かった。こんなに長くて登場人物多いのにちゃんと終わってるのが凄い。とにかく能見がかっこ良すぎる。最初から最後までかっこ良くて、それなのに人間臭さもちゃんと見せてくれる。俺も能見に興味があるだけで読んでたかもしれない。
  • ライオンの冬
    旧日本軍の老人と現在のフィリピン諜報組織が大戦中の問題を解決するために日本の山間部でゲリラ戦を行うといった、およそ現実にはあり得ないストーリーながら、そんなことは関係なく素晴らしい作品です。
    枯れた心境で生に固執することなく行動する老兵たちの格好よさは、現代の日本に僅かながら残っている職人魂のような...続きを読む