沢木冬吾のレビュー一覧
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ジャンルとしてはハードボイルドかな? オビは家族の絆推奨ですが、正直それ一押しという感じはしませんでした。でもでっかい意味ではみんな家族なのかな? 絆、は強くあります。
家族の絆ということなら主人公は行方不明の姉を探し続けている家族(の中の弟とお父さんがメイン)になりますが、全体を通しての中心人物は杜間さんではないかな。杜間さんは舞台になっているガードと呼ばれる繁華街の雇われ代表(笑)人生これ受け身、というふうですが、どっこい実は骨太です。
沢木作品にしては珍しく、この人が根暗ではない。なんとなく、ケセラセラ精神の持ち主という印象で、陰惨な話なのに読んだ後にきっとやり直せるような気にさせてくれ -
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疑心暗鬼という言葉がある。
人間、目隠しされたように情報が入ってこない状況に置かれると、不安から様々な疑いが募り、やがて心に鬼を産む。この小説は舞台設定、疑心暗鬼、クライマックスと進んでいくのだけど、自分としては中盤の疑心暗鬼のところが読みごたえがあった。能見は何故戻ってきたのか、車椅子になってもその牙はまだ残っているのか、秋葉は生きているのか、この秘密警察組織は何なのか・・・素っ気なく過ぎる序盤を抜け、登場人物も読者も少し光景がわかってくると、疑心暗鬼が始まる。その緊張感に突き動かされて、クライマックスまで一気に読むことができる。
クライマックスのところは、少し無理があるとは思うけどまぁ -
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ネタバレ本格ハードボイルド。脊髄に銃弾を受け、車椅子の身になった主人公が、組織に対し、いかにして復讐を遂げるか。
最初、事件の背景がよく分からないままに、登場人物が次から次へと出てきて、ちょっとこれは読み辛い本だなぁと思ってしまったが、それを抜ければグイグイ引き込まれる面白さだった。主人公の能見がただの復讐の鬼と化した話では終わらず、妹家族のゴタゴタに巻き込まれたり、かつての仲間の今後を思い遣ったり、人間味に溢れている面も垣間見え、能見という人間がとても格好良く感じられる。本命の敵にしても、悪者であるのは確かなのだが、憎み切れない部分もあって、好敵手的な感じで良かった。ラストはかなり超人的だったが、 -
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償いの椅子が素晴らしかったので早速こちらも読んでみました。でも、これの次がもうあれ? 間に10冊くらい書いてないの? というくらいこっちはまだ文章がヘタ…(笑)ヘタって言っても悪い意味ではなくて、書きたいことが多すぎてまとまらなかったんだねという感じ。やはり章立てが短く、ぶちぶち切れるのでページの変わるところにちょうど当たったりして小さく混乱することもしばしば。話はかなりまとまってないし主人公かっこよくないし(そこがかわいいけど)、でもなんでしょう? 作者のこのお話や人物たちへの愛情みたいなものがもうおなかいっぱい、というくらいあふれていてどうしても嫌いになれない。本当は3つかなと思いつつ第1