舛添要一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
佐藤勝さんと桝添要一さんの二人による対話集です。
テーマは「21世紀の独裁」です。
世界は、「独裁」的な国家が大きな力を持つ状態が進行している。これを主軸にして、佐藤氏はロシアを桝添氏はフランスを自らの知力の源泉として、現状の西側諸国の有り様を批判的に語っています。先に読んだエマニュエル・トッド氏らの講演を収めた「2030 来るべき世界」でもキーワードとされていた「ニヒリズム」という言葉が出てきました。日本、フランスの識者が伴にキーワードとしている「ニヒリズム」が世界を覆ってくるという現状は、これまでに無い世界への変質の始まりなのかもしれないと感じさせられました。この世界現状を創り出しているのは、トランプ、プーチン、習近平の3人であることは、明白なのですが、この状況を悪化させていく方向に、意図せず加担しているのが、ヨーロッパの弱体化だとの考察もあります。
そこには、「宗教ゼロ」世界が進行しているとの認識ですが、これは日本も同じかもしれない。お二人の経歴から自ずと国家官僚やエセ専門家へは厳しい批判をされています。私も年齢的には佐藤氏と同年代ですので、共感してしまいます。
国家を運営できるエリートの養成が行える仕組みを一層強化して欲しいという提案、日本の21世紀における危機的課題だと思いました。エリートというと何となく我々のような平民の事など見向きもせず自分の出世の事ばかり考えている人間だとイメージしてしまいます。今よりはましな国にしてくれる人達が存在している状態を創り出して欲しいなあ。これから何のために、何をどうしていくかを考えられる人が減っていく事が、未来に対しての危機なんだと感じます。
ただ、お二人とも高い専門性を持たれているため、引用される過去の思想家、哲学者、政治家についての記述部分は、凡人には消化不良気味になりました。
2026年、26冊目です。 -
Posted by ブクログ
元外交官の佐藤優氏と元東京都知事や元厚生労働大臣の舛添要一氏の対談集です。
この本では舛添要一氏のセリフに興味を覚えました。
都庁職員は霞が関の役人よりも高給をもらっており、勤務時間も短く、都議会で舛添氏が自分の言葉で説明したところ、役人から「どうして台本通りに読まないのですか、そのため5時に終わらなかったじゃありませんか。勝手な答弁はしないでください」と言われたようです。(60P)
また、厚生労働大臣の時代には石破総理が防衛大臣や農林水産大臣であったため、懇意にしており、石破さんの地元鳥取で一緒に蟹を食べていたようです。石破総理は田中角栄の薫陶を受けた方であるため、日本のリーダーに相応しいと書かれています。(103P)しかし(残念ながら)9/7に退陣を表明してしまいました。
この本はこれからの日本の政治を読み解くためのヒントが詰まった本です。政治に興味がある方にはお薦めします。ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
「ヒトラーについてはその悪行を知っているが、ムッソリーニについては何を行ったかすら殆ど知らないのではないかー」そんな疑問から手に取った一冊。そう、あの悪名高きファシズムの創始者でありヒトラーより10年長く政権を保ち得たムッソリーニの事を私は、というより日本人は知らなすぎるのである。一般的な認識は第二次世界大戦における敗戦国の指導者の1人でしかないだろう。ある程度歴史を勉強している人間でも「ローマ進軍」や「エチオピア侵攻」程度しかイメージがないのではないだろうか。
本書ではムッソリーニがファシズム政権を獲得するまでの紆余曲折やヒトラーのナチズムとの対比、そして彼が外交上どのような動きをし、なぜ破滅したのかを詳細に記している。何より驚くのはファシズムの社会主義との親和性、そしてムッソリーニが第二次世界大戦のかなり近い時期までドイツに警戒感を抱き、イギリスとの協調を基本路線としていた事だ。特に後者に関しては1930年代イギリス融和政策の最大の失敗はドイツがイタリアに接近する余地を産んでしまった事ではないかと思うほどである。この外交的失敗さえなければ、ムッソリーニはせいぜいスペイン・フランコ政権程度の評価に落ち着いていたのではないだろうか(別にフランコを褒めているわけではないので、誤解なきよう)。
おしむらくはムッソリーニの国内政策についての記述がやや薄い事だろうか。資料が乏しい可能性があるため仕方がないのかもしれないが、少し残念である。 -
Posted by ブクログ
共産主義の第一人者であるスターリンについて、政治学者の立場から考察されている一冊。
前著『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』と同様、一般に広く伝えたいという著者の意志が読みやすさから感じられました。
革命家時代から第二次世界大戦、戦後処理と冷戦、そして死亡までが解説されています。
第二次世界大戦前後において、連合国側のキーパーソンとなるスターリンが詳細に研究されています。
ヒトラー、ムッソリーニは枢軸国側の狂犬でしたが、スターリンは連合国側のそれと言えるほどの危険人物でした。
彼が指導者としてどう采配を振ったのかがよく理解できる良書です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヒトラーは有名だが、ムッソリーニにはそれほどでもない。
ヒトラーの事は大体知っていることが多い(前著「ヒトラーの正体」)が、ムッソリーニのことはほとんど知らなかった。
ファシズムというと、ナチズムも日本の軍国主義も十把ひとからげに、指すことが多いが実は違いは大きい。
ムッソリーニは、もともと社会主義者であり、教師として実際に教鞭をとっており、学校の成績もよく、スポーツや音楽をこなし、また、女性関係も派手だった。ヒトラーとの共通点は一つもない。
そしてヒトラーより10年早く政権を獲得したムッソリーニは、ヒトラーにとってあこがれであった。それが、第二次世界大戦がはじまって立場は逆転してしまう。
本書ではあまり知られていなかったムッソリーニについて豊富な情報がありおどろきの内容だ。
ただ、なぜか、重複した内容を述べているところが多い。編集はもっとちゃんとしてほしい。
次はスターリン、そして毛沢東、金日成と独裁者列伝を続けてほしい。 -
Posted by ブクログ
前東京都知事が辞任を余儀なくされた経過から4年程経ったということだ。「何時の間にか?」というように思った。そうした中、前知事は「成し遂げたかったことが、後任の現知事の下で得心し悪いような状況になっている」という想いが高まっているようであることが本書から滲み出ていた。「志半ばで…」ということになるであろう。
前知事に関しては、優秀な学識者ということで、メディア露出も多めな「知名度が非常に高い文化人」でもあった経過から、参議院議員になった時には大量得票で存在感を示して発言力も有し、厚生労働大臣を務めた経過も在り、大変に高い期待を受けて東京都知事に選任された。それを「志半ばで…」と辞任する羽目になったのは、「御自身の不徳の致すところでは?」というように思える。
しかし!本書は「志半ばで…」と東京都知事を辞任する羽目になった“恨み言”のような内容ではない。「自治体としての東京」が向き合うべき様々な分野の事項について、御自身の識見や経験を交えて説き、現況に少し「物申す!」という内容である。なかなかに興味深い。
自身のように「地方の極小さな人口規模の街」に住んでいる立場で想えば、「トーキョーの話し」というのは、或いは「遠い外国の話題…」に近いような感も否定出来ない。ハッキリ言えば“東京”は国内の何処と比較してみようとも「過ぎる程に“特殊”」というように感じないでもない。それでも、「感染症拡大というような事態での対応」、「災害への備え」、「感染症拡大というような状況下で災害が発生するならどうする」、「都市の再開発を如何様に進めるか」、「“待機児童”のような問題」、「観光振興と文化振興」、「色々な分野での近県との連携を模索」というような、「何処の地域であっても、各々に課題になっている」というテーマであり、なかなかに好い「考える材料」を提供してくれていると思った。
本書では「東京での事例」を色々と挙げながら、「何処の地域であっても、各々に課題になっている」という数々のテーマの「考える材料」を示しながら、「オカしい人気取りが横行し、オカしい人気取りの“提灯持ち”のような情報が流され、何やら妙なことに?」という観方が示唆されている訳である。
そして巻末に近い側では、著者が知事に就任した頃、彼が思い描いた「○○省のような感じ」とは「明らかに違う?」というような「都庁の中の雰囲気」に関する話題も在った。また自治体間の国際交流、所謂「都市外交」に関する話題も興味深かった。他方、この部分は「かくして足を引っ張られた…」というボヤきめいたモノも些か感じた…
著者が東京都知事を辞すに至った経過を想い起せば「御自身の不徳の致すところでは?」というようにしか思えず、そういう感じ方は拭えない。そういう“不徳”の故に辞任した経過に関して「“政治家”として如何?」とさえ思う。しかし、所謂「優秀な学識者」としての見聞や識見、「大臣や知事のような重要公職の経験者」としての経験と、それらを介して知り得た事柄や、それに依拠する考察というようなモノは「紛い物ではない!!」のだ。そこは傾聴に値すると思う。そして傾聴しながら色々と考えなければならないというようにも思う。
上述したような、本書で取り上げられる話題の数々について、非礼かもしれないという躊躇いを振り切って敢えて申し上げるが、仮令「“政治家”として如何?」という人物が唱える論であろうが、所謂「優秀な学識者」としての見聞や識見、「大臣や知事のような重要公職の経験者」としての経験と、それらを介して知り得た事柄や、それに依拠する考察というようなモノは「非常に価値が高い」と思う。「重要公職に就いた」ということになれば、当該人物に関する毀誉褒貶の振幅も大きく、「あの人?大嫌い!!」も在るかもしれないが、知識や経験にそういうことは余り関係が無い筈だ。そして、様々な知見に耳を傾けながら色々なことに取り組んでみようとするなら、地域が「終了」というようには、簡単にはならないように思う。
そうした意味で、本書は広く御薦めしてみたい… -
Posted by ブクログ
極端な主張が人気を博すのはなぜか?
がわかる本です。
前半
第一章「少年ヒトラー」から
第四章「第二次世界大戦」までが
ヒトラーとドイツの経済、政治史です。
後半
第五章「反ユダヤ主義とは何か」から
第七章「ヒトラーに従った大衆」までが、
その後の研究者の成果と著者の解説です。
前半では
よく言われる「ヒトラーは合法的に独裁者になった。」が、どういうことか、具体的に解りました。
昨年、wikipediaの「全権委任法」(1933/3/23成立)を読みました。
そのときの理解は
「国会での議決で反対票を投じそうな議員をあらかじめ逮捕しているのだから、合法的とは言えないのでは?」
でした。
つまり「合法的に独裁者になった」と言うことが納得できませんでした。
本書では、このからくりがわかりやすく解説されていています。
納得(独裁者の誕生に)納得はできませんでしたが、何がまずかったのかを自分でも考えられる程度には、理解が至ったように思います。
三権の分立の大切さが肌身に感じられました。
本書とは直接関係ありませんが、イギリスのEU離脱問題で言えば、
ニュースだけ見ていると強引な首相が登場した時点で、合意なき離脱をするかと思っていました。
現在(2019/9/16)首相の強引さに議会が「待った」をかけたところです。
強引な首相(行政)に対し、議会(立法)が待ったを掛けられるのがイギリスの強さなのではないか、と思いました。
後半は、このドイツの歴史から何を学び、今どう生かすことができるのか、自分なりに考えを巡らせる助けになりました。
本書で著者は、主に移民や外国籍の人を排斥する人たちと、当時ナチを支持したドイツ国民との類似点を指摘しています。
僕は、それに加えて、いわゆる(放射能でなく)「放射脳」と揶揄される人たちや、複雑な消費税の軽減税率を歓迎する人たちの不可解が理解出来たように思います。
わざわざ放射線検査までしてから出荷している食品を、それでも「危険に決まっている。」「本当は食べない方が良い」などとフェイク・ニュースを流したり、
実際には金持ちのほうが税金を多く支払うのに「食品は税額を軽減するべきだ」と言う主張に納得してしまう人たちです。
いくら理屈で説明しても、聞く耳を持たない人たち。
技術立国日本において、ほとんどの人が高校以上の学歴を持っているにも関わらず、なんでこんなに阿呆なの?と思っていたのですが、本書のヒトラーの研究成果に触れて、「そういうものなのだ。」と思った次第です。
この本は、だから、
・ ネトウヨやヘイトスピーチがイケナイと思い、どうにかしなければ、と思う人たちや、
・ 放射線や公害の風評被害が収まらないことをなんとかしなければ、と思う人たち。
つまり、一生懸命「そんなコトをしていたら、僕たちみんな不幸になってしまうよ。」と訴えたい人たちに役に立つと思いました。
僕たちは一所懸命データを示し、エビデンスを明らかにし、そのヘイトスピーチが、風評被害が、間違ったものだと言うのですが、僕たちが言う相手には、データも、エビデンスも、有効打ではなく、逆に「義務を果たさないのに、権利ばかり主張する。」とか「ベクれてるに決まっている」と根拠無しに、わかりやすい主張をするほうに乗りやすい「あの人が、そう言っているのだから、そうなのだろう」と支持されることを理解し、表現の方法を考えるべきだ、と思いました。
後半で紹介されているヒトラー研究の出典を見ると、戦後直ぐから、熱心に沢山に人が成果を発表していることが解ります。しかし、それらを読むのは、たぶん無理。
と言うわけで、新書一冊にまとめた、著者=舛添要一の仕事がグッド・ジョブである、と読み終えてつくづくと思ったモノです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目13箇所。思えば、先の大戦で灰燼に帰した首都を、先達たちは驚異的なスピードで復興させ、1964年には東京で、アジア最初のオリンピックを開催したのだった。国内外からの来客にお目にかける「世界一」は、大きさでも量でもない、むしろコンパクトで、クリーンで、スマートな東京を表象するものがいいのではないか。私は国民に対し、「情報は基本的に公開して提供できるものは提供する。もちろん個人のプライバシー等は伏せますが、それがいちばんの危機管理の基本だと思っております」と述べ、テレビなどのメディアを使って、情報公開に踏みきったのである。かつてアダム・スミスは『諸国民の富(国富論)』の中で「小さな政府」を提唱し、その典型的な様態として「夜警国家」を例示した。子供の吸収力は驚くほど高いことは、頭の固い文部科学省の官僚より、現場の先生のほうがよく知っている、この時期には、詰め込めるだけ詰め込んでもいいのだ。中高一貫教育:現行制度やシステムにとらわれることなく、優秀な人材を数多く世に送り出すため、私は「向上心・競争心を持ち、限界を設けずに学ぶことができる教育」を、教育改革の軸として推し進めていくつもりである。人々が夢と希望を持つためには、富の肯定も必要だ。働いて成果を手にすれば、人はさらにがんばろうとする、このサイクルを断ち切ってはいけない。少子化が進行していく中、元気なお年寄りを、貴重なマンパワーとして活用しない手はない、しかもそのことが、高齢者の生きがいを生み出し、同時に認知症の防止に役立つなら、なおさらである。15%は高いと感じるかもしれない、しかし私なら、15%の消費税さえ納めれば、家族の誰にも介護負担がかからない生活、その「安心」のほうを選択したい、たった7年といわれるかもしれないが、私が母の介護で苦労したことを思えば……。もしケガをして動けなくなったら、もう街へは出られない……、こんな社会であってはならないのだ、私は東京から、そんな社会を変えていきたい。
-
Posted by ブクログ
21世紀の独裁:民主的な選挙で選ばれたはずの大統領が、自国の憲法と法令に従わず、皇帝や王のように振る舞う
p. 233 キェルケゴールは『死に至る病』において、「何かをめぐって絶望しているうちは、まだ本来的な絶望ではない」、「絶望の最低度」は「それが絶望であることを知ってさえいない状態である」と述べています。今の日本人は(中略)没落する日本と、それを感じ取れていない自身の現状を、等身大に直視しなければなりません。
p. 240 独裁者の嘘を見抜くには読書をはじめ、不断の自己研鑽が必要である。ニヒリズムつまり自分で針路を決められない「破れかぶれ」の心境では、無批判に指導者に従ってしまうからである。