雀野日名子のレビュー一覧

  • 笑う赤おに

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    これは本当にもう、とてもとてもずるい小説だ。最後の最後に自分の醜さを実感させられる。人間て、なんて弱いの。ある一面で全て分かった気になって。自分勝手に善と悪と区別して。よく書いてあったもんね、「何も見えていないあなたに、見せてあげるって」それってもうまんま読者のことだったのね。つらいつらい。こんな辛い小説初めて。でも読んでよかった。本当に大切なことに少しだけ近づけた気がする。これから手に取る方、冊子背面のあらすじだけで絶対に判断しないでね。あれは触りですらない。何も考えず無の境地で読むが吉。そして衝撃を。

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    2017年08月06日
  • 笑う赤おに

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    生活保護や高齢者問題等の社会問題を内包したミステリ。そりゃあ不正受給は許せないと思います。ある意味の「正義」に燃える人たちの思いも、分からないではありません。だけど……。
    本当に。なぁんにも見えていませんでした。
    当事者でなくては、いや、それどころか当事者であってすら、見えていないことって決して少なくありません。先入観と偏見によって、見えるものはがらりと変わってしまいました。
    スリリングな展開のあとで訪れたこのカタルシス。やりきれなさを感じつつも、読後感は穏やかでした。だけどそれが本当なのかな? というのもまた疑ってしまいそうで。いろんな意味で恐ろしい作品でした。

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    2016年06月09日
  • 笑う赤おに

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    ミステリーという帯を付けないほうがよかったのに……と惜しまれます。
    出版社側が「ミステリー」を謳う帯をつけてしまうと、ミステリーファンしか手に取らなくなり、「小説として面白いか」ではなく「謎解きが優れているか」の基準で評価されるのです。
    手練のミステリー読みが本作を「謎解きもの」として評価する場合、ちょっと厳しめの評価が出るように感じました。
    では「小説」としてどうかと言うと、考えさせられるテーマ性もあり、ページをめくる手が止まりませんでした。
    ただ、出版社側にとっては「一般小説」枠に入れるより「ミステリー」枠に押しこんだほうが、売上が見込めるということなのでしょう(ミステリー市場は大きいです

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    2016年03月13日
  • 笑う赤おに

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    あらゆる感想を拒絶するかのような小説。「面白かった」とコメントすれば、弱者の実情を「娯楽の道具」として楽しんだのかと責められるかのようで。「つまらなかった」であれば、弱者の実情は「面白くない」ことなのかと責められるかのよう。いずれの感想を抱いても罪悪感。
    ただ、妙な物悲しさが薄く後を引く。

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    2016年02月11日
  • 笑う赤おに

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    疎外されることがどんなに辛いか、「鬼女」(個人情報を調べあげてネット掲示板に晒す集団)がどれだけ怖いかを知っている、元いじめられっ子の主婦。
    理不尽な格差社会のなか、底辺一歩手前の人生がいかに惨めかを知っている、若いフリーター。
    わが子に虐待される老人の増加を案じ、自分も将来息子に虐待されるのではないかと憂う定年前の男。
    弱者の痛みや虐げられる苦しみを知る、社会的弱者である彼らの心のなかに、するりと「鬼」は入りこむのだ。痛みや苦しみを知る彼らのなかに。

    ジャンルはミステリーではあるが、どちらかというと「ミステリー風の集団劇」か。ラスト近くで「えっ?」という驚きがあるが、狙いはミステリー好きに

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    2016年02月10日
  • 週末の鳥人間

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    ネタバレ

    【ネタバレ】「終末の鳥人間」の続編的サイドストーリー。主要な登場人物達が皆おさまるべき所におさまる納得の結末に安心しました。

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    2016年02月10日
  • 終末の鳥人間

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     片田舎に暮らす「おれたちこれでいいのか」が口癖の二人の男子高校生。そんな二人は無理やり人力飛行機の同好会の設立を手伝わされることに。
     折しも日本は外交に関し過激な政策を採る首相がカリスマ的支持を集め、日本は不穏な影に包まれていく。

     現代の日本においてもっと話題になってもいい小説だと思いました。それだけこの本で描かれる日本の姿がリアルに、そして壊された日常への郷愁が切なく感じた作品です。

     前半は青春小説の側面が強く、二人のやる気のない高校生が一念発起し人力飛行機制作にのめりこんでいく様子や、変わり者の顧問と徐々に信頼関係が結ばれていく様子、
    また登場人物のキャラがそれぞれ立っており、

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    2015年11月25日
  • 太陽おばば

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    すっごいよかったー( ノД`)シクシク… 最後の数ページは泣けます。ほんとにボロボロきます(。´Д⊂) ウワァァァン!! それ以外は抱腹絶倒間違いなしの面白さです。一冊で二度美味しいな!
    太陽おばばの耶知子さんの、人生の重みがぎっしり乗った言葉の数々が、主人公の舞ちゃんくらいの年頃の私には、彼女と同じくらい響きました。
    子供を持てなくて、悲しい思いをしてる人、仕事の事とかで一人で悩んでいる人、不安を抱える30代の女性に読んで欲しいです。
    もちろん、他の人にも、その年だからこそ響く、まさにジャストヒットする一言がこの本から見つかるはずです。
    耶知子さんの明るさ、優しさと厳しさ。舞の不安、哀しみ、

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    2014年01月14日
  • トンコ

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    ネタバレ

    ★トンコ
    養豚場の運搬トラックから一匹の子豚が逃げ出す。その子豚・トンコは先に出荷されたきょうだいたちの臭いを頼りに森をさまようが、声は聞こえど姿は見えず。
    ★ぞんび団地
    親の愛情に飢えた少女は、ゾンビになりたい、と懇願する。
    ★黙契
    ふたりきりの兄妹。妹は自殺してしまい、残された兄はなぜ気づいてやれなかったと苦しむ。

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    2012年11月05日
  • トンコ

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    表紙を書いたイラストレータが学生時代の友達なので買ってみました。怖いだけではなく、考えさせられる話でした。

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    2011年04月10日
  • トンコ

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    食用豚の目線から描かれる人間世界は酷く奇妙で歪んでいて
    美味しいものが欲しい!とブヒブヒ鼻を鳴らすトンコたちの世界はなんてシンプルで素敵なんだろう

    なのに食物連鎖は常に人間を頂点にしている
    皮肉なことだ


    ところで

    「しょうが焼き」からは兄のにおいがして
    「ソーセージ」からは妹のにおいがする

    じゃあ、トンコは何になるんだろう?

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    2009年10月07日
  • トンコ

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    「トンコ」はもの悲しい話ですが、怖くはありません。
    「ぞんび団地」は怖い話なのに、ゾンビに愛嬌さえ感じてしまいます。
    「黙契」はこんな文体も書けるんだと驚きましたが、ラストで納得しました。
    雀野日名子の紡ぎ出す物語は、いずれも私の心にしっくりくるものばかりでした。

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    2019年11月23日
  • トンコ

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    ネタバレ

    『トンコ』:食用豚輸送中に事故が起きた。F11ことトンコはその場から逃げるが、その途中で兄弟の匂いを嗅ぎそこに行くと食用に加工済みの肉が…ベイブ的なしゃべらないトンコがなおのこと悲しみを誘う。
    『ぞんび団地』:虐待されてるあっちゃんが家族再生のために両親をがゾンビなればいいのではと考える。なんとも健気なあっちゃん、泣けてくる。
    『黙契』:首吊り自殺した絢子。両親を亡くして妹が都会の専門学校に行くのをなんとか止めたい良樹だったが妹が折れず、引越しの日に東京で地元と同じネギラーメンを食べて別れる。妹が死んだ日に妹から「おうぎラーメンが食べたい」という電話が最後になった。おうぎラーメンとは…
    とんで

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    2026年06月07日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    ネタバレ

    ホラー小説大賞の集成1は、私には合わなかったため、期待せず読んだ。(1と2同時に買ってしまったので)
    でも、こちらの本はおもしろかった。「サンマイ崩れ」と「鼻」は、オチに驚いた。「トンコ」は、オチが切なかった。「生き屏風」はオチにほっこりした。「寅淡語怪録」は謎が多かった。(でもおもしろかったと思う)「穴らしきものに入る」はオチに笑った。

    ■サンマイ崩れ 吉岡 暁

    →ワタナベさーーん!!なんて素敵なご老人なんだ。元々いい人だったんだろうね。

    たまたま出会った「僕」のために、川を渡ってくれたんだ。てっきり、「僕」に悪霊か何かでもついているのかと思った。

    自殺未遂直後の記憶が全くなか

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    2026年03月26日
  • 太陽おばば

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    精神的に疲れきっていて、バタバタもしていて
    けれども本が読みたくなり刺激が少なそうな本は無いかと思い手に取った1冊。
    太陽という暖かそうなワードに惹かれたのかも。

    親側の本当の気持ちも子供側の本当の気持ちも
    面と向かってなかなか言い合えるものではないよな。

    前情報を全く入れずに読んだので求めていた感じの
    「刺激少なめ」には当てはまらなかったけれど
    今読むべき本に当たったんだなぁと素直に思った。

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    2025年06月24日
  • かぐや姫、物語を書きかえろ!

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    ネタバレ

    どこまで行けば、めでたしめでたし?

    物語の神は男中心の物語を描いていく。その中で、自分たちの幸せを目指そうと、自分の描きたい物語を描こうとする「さよ」と「ごう」。何度も何度も物語の神に挑み、退場させられて、それでも描き続ける物語のハッピーエンドは——。

    そうなんだよなぁ、と読み終わって一言。平安時代から脈々と、女の幸せとは〜と"教えてくれる"物語が続いてきた。この令和の今でさえ、幸せな女性の生き方とされる物語はどこかいびつなままだ。「さよ」も「ごう」も、ずっと挑み続けている。それでも相手は「神」だ。幸せな結末はまだ見えない。

    しかし、この本で「正しい物語」である「女性

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    2023年02月19日
  • かぐや姫、物語を書きかえろ!

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    藤原道綱母、と聞いたときに『こんな有名な人なのに、XXのお母さんとか、Aの娘とかじゃなくて、本名分からないの??』と思ったことがある方は必読の1冊。
    かぐや姫や舞姫等の物語世界の中で自我を持ってしまった女二人の冒険譚、なのだが書いてあることが全部現実とあまりにもReflectiveなので、読みながらちょっと辛くなる。これからの物語と女性の中からは、ミソジニーが消失しますように。

    そして作者はホラーの名作、トンコ書いた人なのか…作風が幅広くてすごい。

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    2022年05月02日
  • トンコ

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    3話の短編。
    それぞれの作品の主人公が豚だったり、死人だったり、物語を語る『視点』が特殊で面白かった。

    高速道路での事故をきっかけに逃げ出した食用豚が、大冒険の末に結局ニンゲン様に食べられるという表題作の『トンコ』が一番よかったかな。あ、オチまでいってしまった笑

    ところでこの作者は結局なにが書きたかったんだろう。

    私たちが食べてる豚だって生きてるんだ!だから、もっと生き物に感謝しようぜ!

    ではない気がする。
    ただ単純に豚目線からすれば養豚場から食肉加工工場に運ばれるってホラーだよね?っていう着想からこの小説をかいたのかなーなんて思いながら読んだ。いい作品。

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    2021年10月19日
  • トンコ

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    ホラー要素は感じなかったが、ただ切ない。
    トンコそのもののセリフは無いけれど、無邪気なトンコがかわいいくて最後は泣ける。

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    2019年11月26日
  • トンコ

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    たまたまこの本の前に読んだのが重くてしょうがない本だったので、この本を二日で読み終えてしまった時、なんとも言えず気楽な気持ちになったのです。表題作以外の二作は、どこか既視感がある内容になってるけど、そもそもホラーとか推理小説は無制限に新しいネタが作られ続けていくわけでもなく、どういう語り口で進めていくか次第みたいなところもあろうし、まぁそれは良いかなぁ、と思いつつ、軽いものが読みたいところにたまたまあたって良かった。

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    2015年08月09日