雀野日名子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
豚が主役なのにホラー?しかも賞を受賞している…。
普段あまりホラー小説は読まないのだけど、気にならずにはいられなくて読んでみました。
お、おもしろい‥(笑)
話の内容がおもしろいというのもあるけれど、こういうアプローチの仕方もあるんだ‥という見方でのおもしろさも感じた。
ホラーは、折原一さんや鈴木光司さんの小説くらいしか読んだことがないのだけど、そういう正統派?のホラーとは違う気がする。
短編集で三作収録されてて、三作目の『黙契』は正統派だけど、表題作の『トンコ』と二作目の『ぞんび団地』は、雰囲気的にはファンタジーに近いような感覚も。
特に『ぞんび団地』は語り部が小学生の女の子であるためか、 -
Posted by ブクログ
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作です。
表題の作品のほかに、「ぞんび団地」、「黙契」が収録されています。
食用にされるために搬送される途中で逃げてしまった豚のお話です。
本当にそれだけなんです。
でも、信じられないほど面白いです。
ホラーの概念が覆ります。
逃げ出した主人公の豚の、なんと純粋な心の持ち主であることよ、と思わされることで、人間どもの身勝手さ、醜悪さが際立ってくるという仕掛けのようです。
著者は、同じテーマ・同じ登場人物・同じ設定で書いたとしてもここまで読ませる作品に仕上げられる人はそうそういないのではないだろうか、と思わせるだけの確かな筆力の持ち主であり、その証拠 -
Posted by ブクログ
「豚の死なない日」「僕とポーク」つながりで、読んでみる。
印象深かった部分>
ぶひ。
ぷぎぎぃ。
ぼととん、ぼひ。
生姜焼き弁当からは、「M02」の臭いがした。
場長は廃材の前でしゃがむと、トンコと向きあった。
そして作業着のポケットからハンカチを取り出すと、
生姜焼きを拾い、丁寧に包んでポケットに収めた。
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兄弟の臭いや声を追い求めてトンコが彷徨う物語。
どのへんがホラー括りなのか良く判らないが、
もしかしたら豚を殺して食べることに何の疑問も躊躇も無くなっ -
Posted by ブクログ
和風ファンタジー小説と思って読んでいたら、和風は和風だけど、日本の女性の権利や扱いを古今の有名作品のパロディから紐解くみたいな話になっていた。
正直なところ、こういう「女性の解放」みたいな話はあまり興味はない。
声を上げたってどうにもならない気がするからだ。
子供の頃から男子が掃除をサボっても大して咎められないのに対し、女子がそうすればクラス全員がサボったと説教を受け、男女同じように気が付かないことでもそれが女であれば親族や職場から馬鹿にされる。
ごく当たり前のこと、例えば公共の場やいろんな人を対象とするポスターなどで、女性を消費するような性的な含みのあるイラストを使わないで欲しいといった声 -
Posted by ブクログ
ネタバレ20160714予約中
専業主婦で小学2年生の朱里を育てるのに悩んでいる依子。
大学中退して、フリーターの亘。
敗者復活戦でうまく職場に舞い戻れた賢太郎。人生設計が後半戦に差し掛かり、何とかクリアできそうと感じていたのに、娘は海外へ、息子はニート、妻は別れて海外でシェアハウス住まいをしたい、 バラバラなことに気づいてしまう。さらに自分の体は余命が。
うまくいかない3人と同じ町に住む赤萩が絡んできて、読み始めから、厭なムード。
噂がすべて悪い方へ、解釈され、本当のことが周りからは見えなくなってる。
よくありそうなことで、ミステリーだとは思わないけど、考えさせられ 一冊だった。 -
Posted by ブクログ
なげぇ!そんでもってぶっちゃけ小説として面白くねぇ!!
文庫で550ページ、割かし厚い長編小説であるが、序盤の半分、ほんっと要らない。さらにいれば鳥人間要素も必要ない。
序盤は生意気こいてる田舎の高校生二人とマッドな理科教師、それと気弱なメガネ男子の日常生活が描かれる。
が、この部分は本当にどうでもいい。ただただ、長い。何度、途中で読むのを諦めようかと思うほどにテンポが悪い。無駄に説明臭い。登場人物たちにイライラする。
いやいや、それでも後半は面白くなる可能性が微レ存と思って読み進めると、序盤でこれでもかと散りばめまくった伏線になってない伏線を怒涛の勢いで回収する。
北朝鮮が -
Posted by ブクログ
2015年、32冊目は第15回日本ホラー大賞短編賞、受賞作品含む、雀野日名子の短編集。三編収録。
これで第15回は大賞、長編賞、短編賞×2と全て読みきりました。
簡単にあらすじ&感想を……。
トンコ:輸送車輌の事故により、逃げ出した食用蓄豚のトンコ。トンコは離ればなれになった家族、兄弟を思いながらもさまようのだった。
ホラー度はほぼなし。食用蓄豚を人に置き換えて……。その変換使うなら、個人的には、もっと不条理だったり、ドロドロのホラーに仕上げていただきたかった。
ぞんび団地:小学校二年生のあっちゃんはぞんびになりたくて、ぞんび地区、くちなし台に連日通うのでした。
全体をあっちゃんの語り