小野上明夜のレビュー一覧
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悲鳴系(?)ヒロインのエリッセと俺様ナルシスト自信過剰ヒーローのディガンによる、ラブコメファンタジーの第一作。
ビーズログでも売れ筋作品の作家が書かれたということですが、批評のところでちょっと気になる話もあったものの、意を決して読んでみました。
結論言えば、ヒロインの会話文4割くらいは悲鳴で占めているじゃなかろーかという位の悲鳴ヒロインです。悲鳴の例で言うと、
「きゃきゃきゃのきゃー!?」(*あらすじより)
「きゃきゃー! きゃーいたたたた! 痛いっ、きゃーのきゃー!」(*P129あたりより)
と、まぁ悲鳴にバリエーション(きゃーの変化形的な)がありますが、とにもかくにも文章のどこもか -
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没落貧乏貴族の娘で『死神姫』と噂される天然系・アリシアの再婚相手となったのは、アズベルグの暴れモノと悪名高い強公爵カシュヴァーン・ライセン。一風変わった新婚生活は相変わらず甘いムードとは無関係な模様・・・のように見えてどうやら微妙に進行中?ある日、カシュヴァーンは「俺たちの結婚報告をしにいく」とアリシアを連れ立って、アズベルグの前領主・ディネロのお屋敷を訪れることに。久々の外出とお泊りを、旅行気分で無邪気に喜ぶアリシアだったが、そこにはカシュヴァーンのある企みがあるのだった。しかし、待ち受けていたのは思わぬ罠と、意外にも暴君夫の焼きもちで――!?
相変わらずほのぼの独自の思考回路で大抵のこと -
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Tenth installment.
I was excited that the next one came out faster than expected. And then I came to the crashing realization that this one is more of a collection of side stories rather than a continuation of the book before. It was still good, but i was looking forward to the main action.
Anxiou -
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“「――結構。みな、顔を上げなさい」
ひざまずいた人々のただ中でひとり静かに立っていたグラネウスは、おもむろにそう命じた。無言で顔を上げたカシュヴァーンに微笑みかけ、
「ライセン。いや、カシュヴァーンと呼ばせてもらおうか。カシュヴァーン、貴公はよき夫であり、よき『父』であり、よき主であるのだな」
「……よき妻であり、よき『息子』であり、よき使用人たちであるだけのことです」
かすかに背後を振り返りながらの謙遜には、隠しきれない感謝の念が含まれていた。
「相分かった。貴公が必要とする王として、できる限りのことをすると私も誓おう」
誓いを返したグラネウスは、カシュヴァーンに立つよううながした。
「と -
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“「ゼ、ゼ、ゼ、ゼ、ゼ、オ……!?」
「ああ、本当にティルだ!会えて嬉しいよ、ティル!!」
ティルナードの愛称を連呼しながら親しげな笑顔を見せるのは、アリシアは知らない黒髪の青年だった。
顔立ちはそれなりに整っており、着ている服も王宮に相応しい襟高の華美な貴族服だが、そんな者はこの王宮内にどれだけいるか分からない。だがゼオと呼ばれた彼には、別のはっきりとした特徴があった。
額から頬にかけ、右目を通って斜めに走る醜い傷跡。
刃物によるものだろう。それもああり手練とは言い難い相手から受けた傷らしく、左右にぶれた傷口はよじれ、周辺の肌を引っ張っている。そのせいで唇の右側が少し持ち上がり、笑っていなく -
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“簡素な白い法衣をまとい、無造作に髪を伸ばした硬質な聖女の姿が自然と眼に浮かぶ。背にある巨大な翼が風に揺れ……でも、その翼は、偽物なのだ。
「そうだね、きれいで……そしてなんだか、少し寂しそうに見えた」
「寂しそう?」
「うん……それは、アリシアもだけど」
「私が?」
そんなこと、今まで一度も言われたことがないので驚いてしまった。
まじまじとリュクを見つめれば、リュクは自分のほうこそ寂しそうに笑う。
「アリシアもさ、いつもにこにこいい笑顔してるのに、たまにすごく寂しそうな、切なそうな顔をしてる時があるよね。……あれ、ライセン公爵のこと、考えてるんだろ?」
カシュヴァーンの名前を聞いたアリシアが -
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“「何って、カシュヴァーンおにいちゃんがいなくてアリシアが暇そうにしてたから、オルガン弾いてもらってただけだけど?で、ついでにノーラを弾いてみよーかなーなんて。でもごめんねぇティルぼっちゃん。ぼっちゃんが来るんなら、遠慮すべきだったね」
ルアークがわざとらしく名前を呼んだのは、カシュヴァーンではなく、ちょっとほっとした顔になっていた先の茶色い髪の若者。
ここアズベルグの山脈を挟んで東隣、肥沃な大地に恵まれたレイデン地方の領主ティルナード・レイデンである。とはいえ、シルディーン王国で成年と認められる十八歳に満たないため、領主としての権限は後見人のカシュヴァーンに握られている状態だ。
「な、なんだ -
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“カシュヴァーンの後を追って隠し部屋に足を踏み入れたアリシアは、「あの野郎」と夫が吐き捨てるのを聞いた。
かつてカシュヴァーンの父が使っていた年代物の文机の上に、二人が送った守り石が並べられ、降り注ぐシャンデリアの光に虚しい輝きを返していた。
「ルアーク、今ごろどうしているのかしら……」
ぽつりとつぶやくアリシアの口の中に、鶏肉が規則正しく運ばれていく。
悄然と肩を落とし、ルアークのことを心配しているのは嘘ではない。しかしここで食欲は落ちないのがアリシアだ。
「ああ、それにしてもこのお料理はおいしいわ……やっぱりもうひと皿いただこうかしら……」
途中から違うことを考え始めたアリシアに、ノーラは -
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“「ライセン?な、なんだ、僕は、ただ……」
青い瞳を大きく開けて、ティルナードは眼の前の男を見返している。
しかしカシュヴァーンの問いに込められた真意は、世間知らずのおぼっちゃんであるティルナードの胸にも次第に染み通っていったようだった。
「……僕を……疑っているのか?お前は……」
唇を震わせ、ティルナードはかすれた声で小さく言った。
「お前も僕を……いらないって言うのか……?」
言うが早いか、ティルナードは乱暴なしぐさでカシュヴァーンの腕を振り払った。
「レイデン伯爵様!」
アリシアの呼び声も無視して、素早く伏せられた瞳の縁がきらりと光る。服の袖で顔を覆うと、ティルナードは廊下を一直線に駆け -
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“「あなたが成り上がりでお金と地位しかない方で良かったわ。だっておっしゃる通り、うちにはもう名誉と歴史しかありませんもの。私、ライセン様がなんで私と結婚して下さるのか全く分かっておりませんでしたけど、今の説明で全て分かりました!」
はっきりとしたカシュヴァーンの言葉を、アリシアははっきりと復唱してみせた。カシュヴァーンはさすがに口の端を引きつらせたが、ぺこりと頭を下げたアリシアにはそのさまは見えなかったようだ。
「傷物で申し訳ありませんけど、どうぞ末永くよろしくお願いしますわ!誓ってライセン様を殺したりしませんのでご安心下さいませ。あなたほど私にぴったりの旦那様、もう二度と見つからないと思いま -
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