小倉孝誠のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
ブルゴーニュ地方の山中に源を発し、ル・アーヴル近くで英仏海峡に注ぐ。
全長七七六キロに及ぶ堂々たる大河、セーヌ川。
パリ市の紋章には、「たゆたえども沈まず」とあり、パリとこの川の浅からぬ縁を証言している。
昔日のガイドブック、文学作品などの歴史的証言の数々を繙いて、この都市の錯綜したイメージを読み解いてゆこう。
著者とともに、河岸を散策し、船に乗り、橋に佇めば、見知らぬパリの相貌に出会えるだろう。
[ 目次 ]
第1章 川を通過する
第2章 運河に生きる
第3章 川を楽しむ
第4章 川を描く
第5章 川に死す
第6章 橋を架ける
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆ -
Posted by ブクログ
『紋切型辞典』これがまた面白い。ついでにフラ語の勉強にもなる。
岩波さんの書物案内によると
--ここに編まれたおよそ1000の項目は,衣服,飲食物や動植物に関するもの,礼儀作法の規範,身体と病気についての俗説,芸術家,歴史的人物の逸話と彼らの評価など,多岐にわたる.フローベール(1821-80)はその記述に様々な手法を駆使して,当時流布していた偏見や言葉の惰性,硬直した紋切型の表現を揶揄し,諷刺してみせた--
と、まぁ、このとおりなのであるが、『紋切型辞典』の着想をフローベールは早くから抱いていたらしい。
ジュリアン・バーンズが『フロベールの鸚鵡』という本を20年ほど前に書いているが、この -
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文明が川とともにあるように、都市には必ず川がある。すべての都市は水利が必要なのだから当然なのだ。
その上でパリという極めて魅力的な街を川から描くという素敵な思いつきが今までなかったことにこの本を読んだ今となっては驚く。実際、パリに行って、セーヌ川を橋の上や歩道からぼーっと眺めたことのない人はいないだろう。
面白いのはこの本の章立て。同じ主題が何度も出てしまう歴史順ではないのだけれど、さりげなく時代を今に向かわせつつ、より人生に密着した内容に持ち込んでいる。これは見事だと思う。
多分、著者は今、あーあそこもうちょっと変えておきたかったなーと色々な部分を反省しているんだと思う。しかし、充分に -
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レミゼラブルの作者ということで読んでみました。
こう言った場で感想書くのも初めてなので文才はないと思います苦笑
ある囚人の死刑執行までの物語。
古典ならではの独特の表現に?となりながらも言わんとしてることはわかる!
何より驚かされるのは作者が体験したかのような細かい情景の描写。
実際に取材したのであろうか?
特に執行までの生に対する放棄や執着がコロコロと変わる描写は死刑囚の精神的な不安定さを感じる。
刑場まで溢れんばかりの群衆!群衆!
当時の民衆にとっては娯楽であったのだろう。
王政に対する不満の捌け口か?
そのための公開処刑か?または見せしめか?
この主人子はどんな名前で何をして -
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ワタクシの第二の故郷フランスを代表する作家ヴィクトル・ユゴーの『死刑囚最後の日』です
ある死刑囚の死刑執行に至るまでの苦しみを克明に描き、死刑制度廃止を訴えた作品
ユゴーと言えば皆さんご存知『レ・ミゼラブル』ですが、こちらもやはりジャン・バルジャンと言う盗っ人野郎の贖罪の物語と言えなくもない
ユゴーは罪人に甘いのー
馬鹿たれ!そんな単純な話ではないわ!(# ゚Д゚)
まぁジャン・バルジャンは飢えを凌ぐための犯罪なので、むしろ社会が悪い!がユゴーの主張なんだがそれはとりあえず今置いておきます
『死刑囚…』な
うーん
まぁ、皆さんご存知の通りすでにフランスでは死刑制度は廃止されてるわ -
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「ミステリーの人間学」にのっていたので。
19世紀のフランス、犯罪は貧困と無知ゆえだと思われいてた時代、教育があり富裕層出身の犯罪者ラスネールは、自分の犯罪を社会への復讐だと主張し、社会現象となった。
そのラスネールが残した回想録で、
自分の育ちから、犯罪歴やその主張が書かれていた。
時代と国境を越え衝撃を与えた作品らしいが、
自分の犯した罪のただの言い訳にしか読めない。
家庭内で盗みを始めたのは兄のせいだとか、
手形の偽造をはたらくやいなや、裏切られたからと殺人を犯すとか。
それにしても、まだ指紋もDNAも捜査手法になかった時代、意外と犯罪がうまくいかないのに驚いた。 -
Posted by ブクログ
「ぼく自身のつくりあげた言葉はひとつも見当たらず、だれでも一度これを読んだなら、そこに書いてある通りをうっかり口にするのではないかと心配になる」ような辞典、とフローベール自身が称したそうだ。フランスにある森羅万象について、俗説や偏見や紋切型表現を集めた本。
揶揄と諷刺を目的とした辞典といえばビアスの「悪魔の辞典」だが、あちらが攻撃的な文章ににやりとさせられる、けれんみあふれる読み物とするなら、この「紋切型辞典」にはそういったけれんが皆無である。はっきり言えば、読んでもあんまり面白くない。諷刺が直接的ではないので、さらっと読んでもよく伝わってこないのだ。攻撃対象への悪意と侮蔑が、二重三重に屈折