日下三蔵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ年末年始の暇な時期に何か小説でも読もうとおもって池袋のジュンク堂にて購入。新書もちょっとした恋愛小説のようなものも読み進まないなぁと思っていたときにふとSFを読もうと思いついてSFコーナーで目線の高さに表紙を向けて陳列されていたこの本をチョイス。
マインドイーター(M.E)というタイトルの通り、人の精神を喰らうイキモノの話かと思いきや「人の精神に作用して、崩壊させたり遺伝子を書き換えて(本文にそんな記述はなかったかもしれない)壊すもの」のようで、意思をもった彗星や石、砂のような鉱物の形をしていると。そんなM.Eのいくつかの話が1冊収録されているのがこの本で、1つ1つの話のフィールドも地球上から宇宙空間まであり、ただ人間はそれを破壊するといった話ではない。M.Eに対する解釈も人間が作っただの、M.Eによって人間の言語が作られただのいろいろ出てきますが、基本的に憎しみというものが核になっているとか。遺伝子構造を変えられてかなにかで、人間の体がいろんな動物をくっつけたようなものに変化して最後には核酸になってり液体になったりするというのが何とも恐ろしかった。
過去と未来を知っていて純粋理性のような「神様」みたいな存在を通して人間が何で人間として、猿のような姿形をして理性をもって言葉をつかって、家族や仲間や社会をもったり、神様を信じたりして生きているのかを考えるということを訴えかけてくる。M.Eは特定の社会や家族や姿(一応鉱石の形をしているが)を持たない思念のような存在なので人間の営みを理解することができない。人間が生きるというのは、進化の中で大きい猿のような姿形のようなものが二足歩行を始め、脳を発達させて理性をもち神様を信じるようになったり(人によってはならなかったり)っていう過程からまずは考えられるものであって、過去も未来も死も生からも自由な状態では理解できないとか思ったり。
それにしても「緑の夢」とか過去と未来の遺伝子のすべてを持っていてそのビジョンをみせてくるとか、彗星のように地球にふってきたりしようとするとかとあるゲームのラスボスみたいだなとか、考えちゃうよね(*´ω`*) -
Posted by ブクログ
とうとう雅楽全集も読み納め。短篇最終巻で、ますます「ちょっといい話」化している。
著者を反映しているという聞き手役の竹野が雅楽の話をきいて、いい話だとしきりに感心するのだが、考えてみれば雅楽の話も戸板が考えているわけで、自分で自分の話をべた褒めしてるってことよね。と思うとちょっとしらける。
といっても、歌舞伎の世界のならわしや、役者たちの微妙な心のあやと芸の話はとってもおもしろい。
「なつかしい旧悪」は、こわーい話であるとともに、嫌い合って別れたわけではない男女の互いの思い遣りと雅楽の羞らいがよい。
「弁当の照焼」も、やはり好きだけど別れた相手への互いの長~い思いの話。
「写真の若武者」は、喜代子さんのお母さんの夫を誇りに思う気持ちがよい。
「女形の愛人」、そうなのか、舞台に出ている間は細君とふしどを共にしないのが、ホントとは…。
「おとむじり」は、いわばワトソン役の竹野の大手柄がほほえましい。この話で雅楽が涙を溢れさすのだが、雅楽もので最後に発表された「むかしの弟子」で、竹野が初めて雅楽の涙を見たことになっているのはなぜ?
「演劇史異聞」は、眉唾な推理が多い気がするが、「異聞」なんだからこんなものか。 -
Posted by ブクログ
76年から83年発表の短篇のほか、60年代末に書かれた「かんざしの紋」「淀君の謎」を収録。
「淀君の謎」は謎解きのポイントが空想の産物なので、歴史推理と思って読むと拍子抜け。こういう趣向で芝居を考えてみました、てなもので、しかも、ホントにそうだったらワクワクするのに~、みたいなセンスオブワンダーもない。
だんだん犯罪の話ではなくなっているのだが、日常の謎ものというより、それこそ戸板康二が週刊誌に書いていたちょっといい話、という趣きになっている。雅楽を登場させる必然性もないのかも? という気もするが、古老が語るある世界、ということで、「半七捕物張」の正統な後継だと改めて実感。
養子か実子か、または外にできた子か、といったことは不問、とか、この世界独特の慣習になるほどと思ったり。
収録作の中では、「神かくし」「芸養子」といった、そういう世界での親子ものにしんみりした。
「芸養子」は「木戸御免」とともに、芸道もの(本人というより本人を思う女人による工夫だが)としても何だか好き。
「砂浜と少年」も印象的だが、そんなことで死ぬなよ~、若者。と思ってしまう。