金井美恵子のレビュー一覧

  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    収録されている順番がもたらす痺れあった
    まじかよ全部良かったけど、プラトン的恋愛、アカシア騎士団はすげえ特に好きだ、夢の時間はちょっと集中力足らずでもっかい読もう

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    2025年10月23日
  • タマや 新装版

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    相変わらず主述分かんねーし会話文の区切りも不明だけど、めちゃくちゃ良い文章。まどろみのなかで部屋の些細な事物と対峙する瞬間とか、桜湯とか、見つめているものがすばらしい。あと悪口のバリエーションがすごい。幼児の口唇期に近い形でチンチンをイジイジする男を「ペニス•グルーマー」と呼んだり、自分で髪を切る女を「自己懲罰的」だと言ったり、コンサバばばあであったり。

    単語メモ 
    薔薇刑 三島由紀夫的切腹。
    熟寝 共寝のこと。「うまい」と読ませる。

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    2025年06月26日
  • 軽いめまい

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    やっぱ金井は凄い。中産階級の専業主婦の具体に支配された平坦な思考を美しく言語化し、めまいという映画論へと結びつける。これが『家庭画報』に連載されていたのもすごいし、英語版の解説を読んでも生活の問題が万国共通であることが伺える。ところどころで金井節の毒舌が光る。

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    2025年04月05日
  • 軽いめまい

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    金井美恵子作品に触れるのは初。
    2023年にポリー・バートンによって英訳されてからニューヨーク・タイムズやアトランティック誌に書評され話題になった。
    自分も手に取ろうとは思っていなかったのだが帯の文章で、引き合いに出されている映画監督にシャンタル・アケルマンの名前があり興味が湧いた。
    読んでみると確かにこれはシャンタル・アケルマンの大傑作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』っぽさがある。そして同様に引き合いに出されていたルイス・ブニュエルの『昼顔』の感じもある(こちらは本文で明確に目配せされている)
    だが『軽いめまい』の主人公の夏実はジャンヌやセヴリーヌの

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    2025年03月25日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    初の小説で太宰治賞次席となった「愛の生活」、泉鏡花賞の「プラトン的恋愛」など、金井美恵子の傑作10編の短編集。

    収録されているのは60〜80年代の初期作品。あとがきにある「処女作にすべてが含まれている」ではないが、ほぼ彼女の世界観は完成されていると思う。

    表題作や受賞作、また「夢の時間」「アカシア騎士団」などは幾重もの観念、言葉世界が折り重なり、難解な印象。

    個人的に好きなのは、作品群の中でも短い「兎」「母子像」「空気男のはなし」。迷いのない筆致と幻覚的な世界がいい。

    彼女の観念的な世界と虚無感は心地良い。物語と現実の境目が曖昧で、ふわふわとした感じ。言葉によって世界が認識され、その危

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    2024年02月23日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    大学の先生に勧められて手に取ったけれども、とんでもない世界に足を踏み入れてしまった気がする。ずいぶん好きでした。描写や比喩がちょっとグロテスクな感じがするので、そういうのが平気なひとはぜひ読んでみて欲しい。繊細な言葉が連なっているので、グロテスクなものも美しく見えてくるのが不思議。

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    2024年02月20日
  • 迷い猫あずかってます

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    猫を飼ったことがないのでこういう日常の観察からの気づきは知らないことばかりでとても良かった。トラーも良かった。
    動物を飼うことについて考えてしまう

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    2024年02月20日
  • たのしい暮しの断片

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    同時に目に止まった『シロかクロかどちらにしてもトラ柄ではない』を先に読んでしまったので遡るかたちで、一作目である本書を読む。
    「天然生活」に連載された著者のエッセイと、姉の久美子さんの作品の組み合わせが懐かしく楽しい。特におふたりの愛猫トラーの毛並みの美しさにはため息が出てしまうほど。
    猫派には特にたまらないエピソード満載の一冊。

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    2023年05月20日
  • 鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパ-ティーへようこそ

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    例えば大岡昇平との鼎談の回で、久美子さんが大岡昇平に〈(マックス・)エルンストなんかいかがですか?〉と聞くくだり、〈エルンストは好きですよ。〉と言われて〈ああ、良かった(笑)〉と喜ぶ所を読むと、なんだか久美子さんがとてもかわいらしく思えるし、姉妹が本当に〈気に入ったお客さましか〉呼んでいないことがわかる。読むことにせよ書くことにせよ見ることにせよ、そこから決して快楽を締め出さないやり方をすると言うか、そこにある快楽や欲望や楽しさと言うものに対して常に敏感で繊細な人たちばかりである気がする。そして今、絶えざる今と言うものに対しても。語り下ろし対談にて姉妹はこれらの鼎談を、「古びてる」と言う。きっ

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    2022年06月28日
  • 『スタア誕生』

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    例えば〈薄いピンクで厚地のデシン風のカーテン〉とそこに〈丁度、星空のようにちりばめて縫いつけて〉ある〈ガラス玉〉に、〈夕日かそれとも朝日に染って淡い透明なバラ色に薄く光っている空の下にある池の噴水からとびちる水の飛沫に光線があたって、透きとおるまばゆい七色に輝いている様子を連想すべきなのかもしれない〉空間。或いはその〈無数のガラス玉〉の振りまく〈光の飛沫〉(〈天井や壁の照明を反射させて透明に輝く青や紫や赤やオレンジの…〉)と、〈光の飛沫〉が開いて行くスクリーンの白い輝き、〈シネマスコープの深紅色の絹地を背景に〉〈濃いブルー、紫、輝く黄色、緑色、濡れたような赤、透明な光線のようなオレンジ色にきら

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    2022年06月28日
  • お勝手太平記

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    母の周りのあの人この人を思い起こしながら読んだ。ミッション系という設定がなんともはまる。よろしうございました。

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    2015年04月05日
  • お勝手太平記

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    インテリ・無知・有名・無名・金持ち・貧乏人・悪人・善人に関わらず、愚かさに対して、まったく平等に容赦ない。それが小気味よい。スッとする。

    「読み聞かせ」「気づき」という言葉に、「なんて、いやな言葉なの?」と…まったくね、なんでこんな気持ちわるい言葉がうようよしてるのか、と思っていたのでスッとする。

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    2014年10月26日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    ネタバレ

    金井美恵子が、今の私よりもずっと若いうちから私が考えていることを小説のうちにきちんと体現し、かつ、同じようなものを書くのだとしても、それでもあなたではなく私が書く意味、あるいは私ではなくあなたが書く意味があるだろう、ということについても力説してくるので、至れり尽くせりっていうかなんというかもう、スミマセン、と思ってしまう。

    私が初めて金井美恵子を読んだのは「道化師の恋」だったのだけれど、この彼女にとってのデビュー作である「愛の生活」の時点から、様々な既存の映画、絵画、音楽が、惜しみなく作中に使われている。

    アニエス・ヴァルダの「幸福」という映画は、アントニオーニの「赤い砂漠」よりも、それが

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    2013年07月19日
  • ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

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    はぁ~、もうただただため息が出るばかり。金井さんの世界にどっぷりつかってなかなか現実に戻ってこられない。こういう読書ができることの幸せよ!

    二十一もの掌編を連ねた構成で、一人の男性の回想という形であるが、はっきりした筋立てがあるわけではない。一貫して流れているのは「失われたものへの痛み」であるように感じた。ただ、この作者のこと、そこに「ノスタルジー」などという甘ったるいものは一切ない。読者としては、克明に語られるディテールにそのような感情を揺さぶられずにはいられないのだが。

    いや実に、この小説の細部の描写には参った。「ケースについている人絹のひもをクルクル回すガラスの体温計」とか「鉛筆の芯

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    2012年04月17日
  • ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

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    時間ではなく場で記憶を語る。何度でも語る。
    時に巧妙に逆らう小説。

    タイトルがまた素晴らしくて。

    ピース・オブ・ケーキは最初に慣用句的な意味を発想してしまったけどそれは山椒のようなもので直訳で受け取ったほうが素直に読めます。

    場にとって「私」とはうつろうものだ。

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    2012年03月11日
  • ピクニック、その他の短篇

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    幻想的な世界観を現実に見せてくれる短編集です。素敵過ぎです。

    『窓』の主人公の感覚は特にフィットするものがあって好き。『月』『木の箱』『ピクニック』
    暖かくて詩的です。最後でいい意味ではずしてくれるのに、違和感無くキレイにまとまっている。

    『鎮静剤』はがらっと文体が変わって、初期の村上龍氏を思い起こさせますね。

    金井美恵子さんの描写は上品に少しエロいです。
    『桃の園』と『既視の街』は特につやっぽい。

    一人称と三人称、倒錯してますがそれが逆にこういう世界を作り出す良いエッセンスになってます

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    2009年10月07日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    『夢の時間』と『黄金の街』が特に好き。

    『愛の生活』これ、19歳で書いたの?ってちょっとびっくり。他の作品も読もう。
    とても昭和の作品とは思えません

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    2009年10月07日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    森のメリュジーヌやばい
    ていうか美恵子やばい!

    「彼女の微笑の意味の最大の意味は愛であり、その中にしのび寄って来る死、悪意とからかいの針、優しさ、苦痛、空虚、悲しみ、それから燃えあがる意志――。」
    「きっと、何かいいことがあるかもしれない。疑わしいことだけれど、何かいいことがあるかもしれない。信じはしないけれど、何か、いいことがあったって、かまわないじゃない?!」
    「十全な愛。わたしには愛することが出来るのでしょうか?本当にわたしは愛してしまったのか?わたしが愛しているとしたら何故なのか?わたしは何故愛するのか?わたしが愛しているのはFなのですか?」

    いちいち響くことをかく。「愛の生活」を

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    2012年10月15日
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

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    どことなく考えがあちらこちらに行く感じ、太宰の女生徒に似ているような感じもする。本文中に出てくる固有名詞は、ちょっとツンとしているけど厭らしくなくて私は好きだ。

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    2009年10月04日
  • ピクニック、その他の短篇

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    タイトルと表紙にひかれて衝動買い。結果は大正解。金井美恵子さんの作品にはまるきっかけになった1冊です。本にも運命の出会いってあるんですね。収録作品はどれもお勧めですが、思考の流れを直接読むような「鎮静剤」という作品がお気に入り。

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    2009年10月04日