木村紅美のレビュー一覧
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ネタバレ公務員の遊佐薫は、20年前に住んでいたアパートの大家さんが熱中症で孤独死したことを、出張先のホテルの朝刊で知る。
川島雪子(90)
眠るように死んで、まだきれいなままで下宿人に発見されたい、というのが彼女の夢だったが…
(たぶん、眠れる森の美女みたいな自分を妄想していたのだろう)
死後一週間は発見されなかったらしい。
下宿人ではなく、連絡がつかなくなったことを不審に思った親戚によって発見されたのだった。
薫は、自分がアパートを飛び出すきっかけになった、大家の過干渉に思いをはせる。
他人がプライベートに踏み込むことをどこまで許せるかによって、この本の感想…雪子さんや主人公の薫に対する印象も変わ -
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読んでいて戸惑った。タイトル、装丁からはとうてい想像できないストーリーだったのだ。
とある大家さんの訃報から話ははじまっている。それを耳にした主人公は中年の男性だが、かつてはその大家である雪子さんのアパート・月光荘に下宿していた大学生だった。
高円寺にあるそのアパートは今どうなっているのかと足を運びつつ過去を思い出していく、という回想部分がメインになっています。
踏み込みすぎた親切。お節介。過干渉。絶望的に雲行きがあやしくてゾッとさせられるのだが、罪悪感と申し訳なさもごっちゃになる。なぜって、雪子さんのそれはどこまでも純粋な善意だからだ。悪意は一切ない。多少の下心はあれど、でも善意なのだ。
見 -
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ネタバレ木村紅美さんの『雪子さんの足音』を読みました。
主人公「薫」はモラトリアムの時代を表現(文学)に逃げていますが、作品を書くことはできていません。彼は人の親切を無批判に受け入れ、時折、他人を傷つけます。彼は真面目ですが客観的にはダメな人間といえます。彼のパーソナリティについて、人として共感できる点は少ないですが、作品に欠かせない主人公としてとても面白く読みました。社会的にも学業にもひた向きではなく、他者との距離感も失敗した普通の学生が描かれています。これも得難い若さといえると思います。
> 東京に出張した薫は、新聞記事で、大学時代を過ごしたアパートの大家・雪子さんが、熱中症でひとり亡く -
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木村さんの作品は二作目。
前回読んだ「夜の隅のアトリエ」が重苦しい雰囲気を持っている読む人を選びそうな作品だっただけに、軽く衝撃。
ずいぶんとライトタッチ。
だってタイトルが「春待ち海岸カルナヴァル」だもの。
カルナヴァルはカーニバルの事。いかにも楽しそうじゃないか。
おそらく南伊豆辺りを舞台にしたカルナヴァルという名のホテルが舞台。
サンドイッチや瓶入りオレンジジュースをバスケットに入れて提供される朝食が美味しそうで。
このバスケットを海岸まで持って行ってカモメに盗まれそうになりながら食べるなんて、なんて素敵。
姪っ子が妖精を信じて毎晩牛乳をそっと軒下に忍ばせる下りや、幻のジャズトランペ -
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ネタバレ39歳、いつの間にか妻や母となることが自分とはまったく関係のない世界のことになってしまった女性がまじめに生きながら、不器用に片思いするお話。
両親と共に海辺のホテルを営む主人公。
父が急死し母も療養生活となり、東京から娘を連れて戻ってきたバツ2の妹とふたりでホテルを切り盛りすることに。
友人の結婚式で出会った設計士に片思いをするが、彼は自分にさほど好意はない様子。
過去空回りした経験から恋に臆病にな主人公は、彼の言動に勝手に傷つくことをやめられない。
恋愛小説に分類されるだろうけれど、ホテルに集う客や友人達の描き方はとても豊かで、泊まってみたいなと思う。
主人公の姪のメイちゃん -
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海岸べりの小さなホテルでの、経営者の姉妹と母親、そして彼女たちを取り巻く人々との日々を綴った物語。父の死から始まる数々の挿話は、派手な事件ではないけれど、日々のなかで起こりうる人々の些細で、けれど大切な気持ちのゆらぎを、丁寧にすくいとっていて、寄り添うようなやさしさを感じました。
主人公の紫麻のひそやかに一途に募らせてゆく想いはときにこそばゆかったり、はがゆかったりで、微笑ましくてよかったです。相手がけしてイケメンではなくどんどんと妙なところばかりが明らかになるのに、それでもやめられないのが、なんだかやたらとリアルだなあなどと感じました。
それにしても、作中の食べ物がおいしそうでたまりませんで -
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ネタバレ過去に性被害にあったリツ、リツと暮らすアイ、アイが拾ってきたユキがメインで描かれている。
男性嫌いのリツに気を使いながらも、たまたま一晩泊めた男性に対し「男女」を意識するアイ。
過去の経験から潔癖なまでに男を嫌いながらも、幼いユキを「男」として意識し、その身体的接触の中で自分にも女性としての本能を感じてしまったリツ。
アイにもリツにも官能的な描写があるが、それぞれ何かに後ろめたさを感じているようで、なんだか歪んでいる感じがした。
特にリツは、自分が過去に受けた性被害を、今度は自分が加害者としてユキにやってしまっているという側面もあるからなぁ。
山での暮らしが慎ましやかでありながら豊かで、一