木村紅美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すらすら読めたが、一般的な評価が低い。これは「加害者」の物語であり、「加害」が主観になることは単に不愉快でもあるし。
主人公の妙、もう一人の便利屋の男・忍。
コロナ初期の物語で、県内にはまだ誰も感染者は出ておらず、東京から来た人間にものすごく厳しい。
二人とも東京から帰郷したばかり。
また東京からIターンしてきたお爺さんは、自死している。
二人は「加害者」である。
木村氏自身、受賞のコメントで「私は本土の人間だから沖縄にとっては加害者」と話している。
木村氏のちょっと政治的なコメントには、ちょっと疲れてしまったのは、あるにはあった。
作品自体は受章理由にあったとおり『不穏』な雰囲気が悪くは -
Posted by ブクログ
ネタバレどんな感想を抱けばいいのか、悩む小説だった。
虐げられた女性のための家に住むリツとアイ、
キッチンカフェで出会った(程度の関係しかなかった)サキとヒロ。
2組の女性どうしの暮らしの中に、それぞれ現れた赤ちゃん。
アイが夜の公衆トイレで発見した赤ちゃんは、リツとアイ、家主である「先生」に囲まれて育っていく。
ヒロに助けを求めたサキが腕に抱いていたのは赤ちゃん…と同じくらいの大きさのバスタオルの包み…。
命を繋いだ男の赤ちゃんは「ユキ」と名づけられるが、男性を恐れるリツのもと、女の子の服を着せられて中性的に育てられる。
ある日その子は、住み慣れた家を逃げ出して保護される。
女たちは、拾って育て -
Posted by ブクログ
暴力から逃れてきた女たちを 匿かくま う山奥の家で暮らしていたら、なんの因果か"男の"赤ちゃんを拾ってしまう
もちろん出生児に割り振られる性別がその子の性別にそのまま当てはまるとは限らないわけだが、男に育てたくないためにステレオタイプな女の子像を赤ちゃんにインストールしようとする様子はなんだか悲しくて滑稽ですらあった
読み終わっても、登場人物たちがどうすればよかったのだろう、どうなるのが正解だったのだろうと考えてしまう
でもこのなんだかすっきりとしない心地は、いまはもはや小説ではないとなかなか味わえないかもしれない。社会情勢がそうさせるのかはわからないけれど、どんどん”わか -
Posted by ブクログ
雪の降る深夜、道の駅のトイレのおむつ交換台の上に「たすけて」というメモと共に置き去りにされていた赤ん坊。
このまま放っておいたら死んでしまう、と赤ん坊を保護した女は、男から逃れてきた女たちのための、女たちだけが住む、山の中の家に連れてきた。
雪の日に拾ったから「ユキ」ちなみに男の子である。
警察に連絡しなくてはいけなかったのに、「初動」を間違えたまま、どんどん歪んだ道へと進んでいく。
女たちは、人間の子どもを使って育成ゲームもどきのことをしている。
または、好きに個性を与えて作っていく、自身のアバター?
幼児期に同居の叔父から性的イタズラを受けたトラウマから、リツは54歳の今でも、男がぶら下 -
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トイレに放置され助かった命と海の底に葬られた命。ふたりの棄て子の生と死は隔絶したふたつの事実ではあるのだけれど、ある地点に於いてはどちらも生の可能性、あるいは死の可能性を帯びていた訳で、その決定的な分岐のことを思うととてもやるせない気持ちになる。直接は描かれていないものも含めて、この小説の中には幾つもの間違いを引き寄せた正しさと、正しさを引き寄せた間違いがあるように感じる。エンタメ化が進んで分かり易く面白い純文学が書かれる流れの中にあって、そのように不明瞭な部分を不明瞭なまま大きな問いの影として読み手に提示する覚悟のようなものが、漠然とした言い方にはなるけれど、本作を“良い小説”たらしめている
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