木村紅美のレビュー一覧

  • 熊はどこにいるの

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    ある時保護された5歳程度の子供
    その子を探すシェルターの女2人と、乳児を遺棄した女とその友人
    4人の女が時系列を行ったり来たりしながら交代して語る日々
    非虐待児で男嫌いであったのに肌の触れ合いから自分の欲望に気付いてしまうリツのギリギリの苦しさが印象的
    しかし感想が難しい
    救いもカタルシスもない
    生きづらい世界を生きるしかない人たちの現実を描く
    お料理がとても魅力的

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    2025年10月05日
  • あなたに安全な人

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    ストーリー自体は盛り上がりのあるタイプではなく、鬱々とした日常を書き出している。読み手によって受ける衝撃の度合いが異なるタイプの小説だった。何かしら脛に傷のある人じゃないと、読んでもつまらないかも。この物語の登場人物達は家族や職場、地域などのコミュニティから受け入れられなかった人々なんだと思う。それでも誰かと共にある安心を求めたから、よそよそしくても2人の生活が始まったのかな。自分が罪を犯したのではないかという不安を打ち消しながらの暮らしとそれぞれが抱える孤独、コロナ禍の生活が辛く感じられ、湊かなえよりよっぽど読後感がイヤ。

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    2024年03月05日
  • 雪子さんの足音

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    木村紅美(くみ)さん、初読みです。「雪子さんの足音」、2018.2発行。一息に読み終えました。20年前に住んでいた月光壮の大家である川島雪子さん(90歳)死去のニュースを知り、20年前のことを回顧する湯佐薫。とても親切でお節介な雪子さん(70歳)、大学3年の薫、高卒のOLで同い年の小野田さん。この3人の奇妙な人間関係が描かれています。度の過ぎた世話焼きの雪子さん、愛情を寄せる小野田さん、潔癖で不器用な薫。人間関係が噛み合わない切なさを描いた秀作だと思います。

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    2020年11月23日
  • あなたに安全な人

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    ネタバレ

    コロナ禍の閉塞感と登場人物二人の過去。
    重い気持ちを引きずりながらこの先に何かあるだろうと読み進めたが、何も起きなかった。
    まさに人生とはそんなものかもしれないし、
    こういう感情を持つことも必要だなあと思った。

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    2025年09月17日
  • 熊はどこにいるの

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    ネタバレ

    どんな感想を抱けばいいのか、悩む小説だった。

    虐げられた女性のための家に住むリツとアイ、
    キッチンカフェで出会った(程度の関係しかなかった)サキとヒロ。
    2組の女性どうしの暮らしの中に、それぞれ現れた赤ちゃん。
    アイが夜の公衆トイレで発見した赤ちゃんは、リツとアイ、家主である「先生」に囲まれて育っていく。
    ヒロに助けを求めたサキが腕に抱いていたのは赤ちゃん…と同じくらいの大きさのバスタオルの包み…。

    命を繋いだ男の赤ちゃんは「ユキ」と名づけられるが、男性を恐れるリツのもと、女の子の服を着せられて中性的に育てられる。
    ある日その子は、住み慣れた家を逃げ出して保護される。
    女たちは、拾って育て

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    2025年09月08日
  • 熊はどこにいるの

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    山の家の暮らしに引き込まれた。お料理もとても美味しそうだった。
    子供との生活の、他では得難い経験、体感、感覚。

    この二つはとても印象的で、現実的だったが、それ以外はリアルな部分とちょっと夢想的なイメージの部分が重なるような感じで、不思議な小説だった。

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    2025年09月07日
  • 熊はどこにいるの

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    ネタバレ

    読書家のお友達におすすめされて読んでみました。フェミニズム小説なのかと思ったら、「男も女も女が嫌い」、、、のお話でした。作中に挟まれるカントリーライフはとてもリアルで魅力的でもあるし、怖い。狩猟をして獲物をさばく描写は強烈でした。女として生きること、自分より弱い生き物を育むということ、出産にまつわるあれこれ、、、ドロッとした読書体験でした。

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    2025年07月27日
  • 熊はどこにいるの

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    暴力から逃れてきた女たちを 匿かくま う山奥の家で暮らしていたら、なんの因果か"男の"赤ちゃんを拾ってしまう
    もちろん出生児に割り振られる性別がその子の性別にそのまま当てはまるとは限らないわけだが、男に育てたくないためにステレオタイプな女の子像を赤ちゃんにインストールしようとする様子はなんだか悲しくて滑稽ですらあった
    読み終わっても、登場人物たちがどうすればよかったのだろう、どうなるのが正解だったのだろうと考えてしまう
    でもこのなんだかすっきりとしない心地は、いまはもはや小説ではないとなかなか味わえないかもしれない。社会情勢がそうさせるのかはわからないけれど、どんどん”わか

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    2025年07月18日
  • 熊はどこにいるの

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    雪の降る深夜、道の駅のトイレのおむつ交換台の上に「たすけて」というメモと共に置き去りにされていた赤ん坊。
    このまま放っておいたら死んでしまう、と赤ん坊を保護した女は、男から逃れてきた女たちのための、女たちだけが住む、山の中の家に連れてきた。
    雪の日に拾ったから「ユキ」ちなみに男の子である。
    警察に連絡しなくてはいけなかったのに、「初動」を間違えたまま、どんどん歪んだ道へと進んでいく。

    女たちは、人間の子どもを使って育成ゲームもどきのことをしている。
    または、好きに個性を与えて作っていく、自身のアバター?
    幼児期に同居の叔父から性的イタズラを受けたトラウマから、リツは54歳の今でも、男がぶら下

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    2025年06月23日
  • 熊はどこにいるの

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    トイレに放置され助かった命と海の底に葬られた命。ふたりの棄て子の生と死は隔絶したふたつの事実ではあるのだけれど、ある地点に於いてはどちらも生の可能性、あるいは死の可能性を帯びていた訳で、その決定的な分岐のことを思うととてもやるせない気持ちになる。直接は描かれていないものも含めて、この小説の中には幾つもの間違いを引き寄せた正しさと、正しさを引き寄せた間違いがあるように感じる。エンタメ化が進んで分かり易く面白い純文学が書かれる流れの中にあって、そのように不明瞭な部分を不明瞭なまま大きな問いの影として読み手に提示する覚悟のようなものが、漠然とした言い方にはなるけれど、本作を“良い小説”たらしめている

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    2025年05月01日
  • 夜のだれかの岸辺

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    不思議な雰囲気、魅力がある。老婆との添い寝でお金をもらう女性、周りの人々との不思議な関係。淡々としているようで濃い内容。

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    2023年10月23日
  • 雪子さんの足音

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    ネタバレ

    人との距離感というのは難しい。押し付けず嘘をつかず相手の気持ちを考えながら誠実に向き合う。程度の差はあれ完璧にこれをこなしている人は実は少ないのかもしれない。みんなどこかで矛盾しながらも人間関係を成立させているのかな、なんて事を考えた。

    にしても雪子さんは極端だし薫は甘え過ぎだ

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    2022年12月03日
  • 雪子さんの足音

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     雪子さんの不安、薫のもどかしい思い、小野田さんの抱える闇、それらを月光荘というアパートが包みこんでいる。未来に希望を見つけられないまま生きていく、そんな人たちを切り取ったお話だった。

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    2022年10月08日
  • あなたに安全な人

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     誤解がひとり歩きして自分とは違う自分がさも本当のように語られる。それはいつの世にもあるのかもしれないけど、ネットが普及した今、そういうことは増えているのかもしれない。
     誤解された者は誤解された者のことがわかるのだろうか。もしそうだとしたら、誤解されることは怖いけれど、そういう人が増えていくことで噂ではなく本人を見つめることのできる人が増えるのだろうか。希望的観測をもってしてみても過渡期を超えるのは辛いことだな。

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    2022年10月06日
  • あなたに安全な人

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     地方都市にあった、コロナ禍初期の東京からの帰省者に対する差別を描き、孤独な心を引き出している。
    そんな空気が感じられるからか、読んでいる間はいつも曇り空や雨が降っている気分だった。
     妙と忍の孤立している2人が、お互いに干渉せずに同居するのは、それが安全だからなのか。

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    2022年10月04日
  • Valentine Stories

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    ラブラブ甘々なものは全くなく、
    どれもどこか切ないのが小説って感じでした。

    やっぱりあんまり幸せすぎるのは
    ネタにならんのでしょうな。

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    2022年06月13日
  • 雪子さんの足音

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    ネタバレ

    強烈で個性的で愛すべき人たち。
    若い下宿生の世話を食事から小遣いまでお節介なほど焼いてしまう、寂しき老女の大家・雪子さん。悪気ではないまでもその好意をある種の狡さと割り切りで受け入れてしまう男子下宿人・薫。薫に女として迫ってみるも、まるで相手にされないOLの小野田さん。
    ユーモラスにして、可笑しさと哀しさを兼ね備えた、読み応え十分な物語。その強いオリジナリティが、楽しめた。
    ※映画の方も、吉行和子主演で、これまた良かった。

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    2019年06月04日
  • 雪子さんの足音

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    淡々としているけど、伝わってくるものがある。
    雪子さんの求めていたこと、それに応えて寄り添う子、疎ましく思いながらも甘えてしまう青年。 どの人の気持ちも違和感なく受け入れて読むことができた。

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    2019年01月16日
  • 雪子さんの足音

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    ネタバレ

    公務員の遊佐薫は、20年前に住んでいたアパートの大家さんが熱中症で孤独死したことを、出張先のホテルの朝刊で知る。
    川島雪子(90)
    眠るように死んで、まだきれいなままで下宿人に発見されたい、というのが彼女の夢だったが…
    (たぶん、眠れる森の美女みたいな自分を妄想していたのだろう)
    死後一週間は発見されなかったらしい。
    下宿人ではなく、連絡がつかなくなったことを不審に思った親戚によって発見されたのだった。
    薫は、自分がアパートを飛び出すきっかけになった、大家の過干渉に思いをはせる。

    他人がプライベートに踏み込むことをどこまで許せるかによって、この本の感想…雪子さんや主人公の薫に対する印象も変わ

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    2018年09月27日
  • 雪子さんの足音

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    薫(男性)は、大学生のころに暮らしたアパートの大家・雪子さんが亡くなったことを知る。
    当時の雪子さんは70歳ほど。
    薫を孫のように可愛がり、お小遣いを渡したり食事の世話をしたりと、徐々に生活の中にも入り込んできた。
    同じアパートに住む小野田さんも、薫に好意を持ち近づいてきた。
    2人が侵食してくる。
    スパッと切り捨てたつもりで、グズグズ悩む薫。
    雪子さんと小野田さん、只者ではない。と、読者の私は思った。
    不穏な空気を醸し出す、こういう話、好きだ。

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    2018年06月04日