美達大和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
服役中の無期懲役囚であるという著者が、長期受刑者の現状から刑罰のあり方について考察している。
著者の主張は、長期服役囚はほぼ反省・更生とは無縁の日々を過ごしており、現状の刑は十分とはいえないという問題提起に始まる。社会復帰をさせるのであれば十分な教育制度と環境を整える必要がある一方で、長期服役囚の多くはそのパーソナリティにそもそもの問題がある点を指摘する。さらに罪刑均衡の原則に照らせば、殺人を犯した者が殺されることなく生き永らえていること自体がバランスを欠いており、被害者の命・生存権を軽視し、被害者家族等の関係者の心情を無視したものであると断じている。
私は、この主張に大いに納得できる。よ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。
監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。
裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。
犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。
現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。
[ 目次 ]
第1章 ほとんどの殺人犯は反省しない
第2章 「悪党の楽園」と化した刑務所
第3章 殺人罪の「厳罰化」は正しい
第4章 不定期刑および執行猶予付き死刑を導入せよ
第5章 無期懲役囚の -
Posted by ブクログ
無期懲役囚の視点から死刑の意義を問う本。
世界各国で死刑廃止が浮上している現在、死刑制度は日本国内でも議論の的となっている。
メディアを通して聞き及ぶ死刑制度廃止の議論は、囚人の人権を前面に出し、死刑=殺人というイメージを一方的に植えつけてきた様に思う。 著者のようなビブロフィリア(本の虫)の囚人による、刑務所に収監されている囚人の内情は今まで語られたことが無かった。
現在の懲役制度は教育刑という前提で作り上げられているが、果たしてそれが教育刑としての意味を成しているのかは、検証されていない。
実際刑務所に収監されている犯罪者のほとんどは反省していないという。 裁判では頭を垂 -
Posted by ブクログ
所謂、奇書と呼ぶべき本なのだろう。驚くべきことに、著者は殺人を犯した無期懲役囚で現在も服役中なのだから。
そういうわけで刑務所内で、死刑囚や凶悪犯たちと実際にあって話をしたりつぶさに観察したりしてまとめたものが本書だから説得力がある。
本書で繰り返し述べられていることが
・犯罪者の99%は犯した罪を全く反省していない
・刑期を終えて実社会に再び送り出しても犯罪を繰り返す可能性が高い
ということ。
それを踏まえた上で刑法上で量刑を鑑みるなら死刑は必要であるという持論を展開している。その他死刑反対論者や人権論者は割合理想主義的な思考法をするので被害者の側にたった視点、加害者にとって本当にメリ -
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主人公の光岡は妻子ある平凡なサラリーマン。魔がさして使用した「覚醒剤」のおかげで逮捕され、さらに送られた先が「LB刑務所」という「長期・再犯刑務所」。 その中で罪と向き合い、家族を思い、自分の人生をあらためて歩む決意をするまでの群像活劇。刑務所内にいる著者にしか書けない、リアル小説!
覚せい剤で捕まった主人公が収監された刑務所は、どういう訳なのか無期刑や重大犯罪者ばかりの刑務所だった。主人公は刑務所内の工場対抗運動会に選手として出場することになって…というドタバタ劇。意地悪してくる奴、親友になる奴、尊敬する奴も出てくるけど、出てくる奴らはみんな罪人。放火が趣味で三人焼き殺した無期懲役囚に「仮 -
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持論の部分がとにかく読みにくいんよ。あえて難しい言葉つかうし知識ひけらかしたがるし「思春期ど真ん中かよ」と突っ込み入れようとしたら、刑期ど真ん中だった。
でも塀の中の情報や分析はとっても面白いし価値がある。唯一無二。その点においてはとても面白かった。
・人を殺人に駆り立てるのは怒りの情動と合理化
・ベースにエゴイズムの強さ、倫理観の希薄さと欠如
・盗みを発見され自分の身に危険が及ぶと、その相手に怒りが湧くのが服役者にとっては自然なこと。相手は悪であり自分は善。
・服役者には上記の思考回路を持つものしかおらず、同調が重なると思考はさらに堅固になる
・刑務所に戻ることが生きる上で合理的になる老 -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ殺人の罪で無期懲役を務める著者の社会にいた時からの軌跡を語る話。
著者とは同年代だが、若い頃から異常な程エネルギッシュで意志強固な成功者だったことが事件の原因の一端であることも吐露されている。
刑務所での作業は紙エプロンを作ること。
それさえも毎日新記録を達成すべく工夫をこらし、時には食事を抜かすほど熱中するという。
もうこうなると熱意というより狂気?という感覚を持ってしまう。己の罪と遺族の思いを日々忘れずに、「善く生きるとは?」という命題を突き詰めて仮釈放を放棄して一生を獄で暮らす事を選んだ著者の話は、まだまだ読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
若いうちの苦労は買ってでもしろ。と言いますが、若いうちに身につけるべき苦労は「頑張ること」「やり抜くこと」なのかもしれないと、この本を通して学びました。
頑張り方を知り、やり抜く喜びを知った人が、大人になってから、ここぞというときに力を発揮できる人なのだと思います。
苦労を苦労だと思っているうちは、大変だけれども、苦労だとも思わずに淡々とやり続けることができるように、どんなことでも、やると決めたことはやりきる。これは、なかなかできることではありません。
それがつまり、1万人に一人の勉強法なのでしょう。
無期懲役囚のみたっちゃんと、高校生と中学生の兄弟との手紙のやり取りを通じて、二人の若者の