美達大和のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
服役中の無期懲役囚であるという著者が、長期受刑者の現状から刑罰のあり方について考察している。
著者の主張は、長期服役囚はほぼ反省・更生とは無縁の日々を過ごしており、現状の刑は十分とはいえないという問題提起に始まる。社会復帰をさせるのであれば十分な教育制度と環境を整える必要がある一方で、長期服役囚の多くはそのパーソナリティにそもそもの問題がある点を指摘する。さらに罪刑均衡の原則に照らせば、殺人を犯した者が殺されることなく生き永らえていること自体がバランスを欠いており、被害者の命・生存権を軽視し、被害者家族等の関係者の心情を無視したものであると断じている。
私は、この主張に大いに納得できる。よほどの事情がない限り、殺人犯はその命をもって罪を償う他ないと考えている。でなければ世の秩序は保たれないのではないか。また、著者もたびたび触れているが、自己の欲求のために人の命を奪うような人間を永久に隔離する、特別予防としての死刑の必要性はあると思っている。ただ、執行猶予つき死刑という案については、自己愛が強い殺人者にとっては逃げ道を用意するだけのような気がする。
さて、本書を読み進めるうちに気になったのは、「著者は本当に服役中の人物なのだろうか?」ということである。というのも、あまりに塀の中の描写が客観的なのだ。完全に自分だけが別次元にあって、他の受刑者を傍観しながら考察しているように感じて仕方がない。外の世界とは相当に断絶された社会にあって、さらにここまで身を離して考えることができるものなのだろうか? 私としては、著者は刑務官などの職員なのではないかと疑っているくらいである。さすがに罪になるのでこの線はないと思うが・・・。
また、出版社がつけたのであろう本書の刺激的なタイトルは、やや強すぎるきらいがある。著者は死刑賛成論をぶちまけたいという意図を中心にして本書を著したのではなく、罪と刑罰のバランスが悪いことと、受刑者を社会復帰させるためのシステムの不備を説いているのだ。その一環として死刑について論じているのである。このタイトルとのミスマッチはいただけない。商業主義的になりすぎるのは考え物だと思う。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。
監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。
裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。
犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。
現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。
[ 目次 ]
第1章 ほとんどの殺人犯は反省しない
第2章 「悪党の楽園」と化した刑務所
第3章 殺人罪の「厳罰化」は正しい
第4章 不定期刑および執行猶予付き死刑を導入せよ
第5章 無期懲役囚の真実
第6章 終身刑の致命的欠陥
第7章 死刑は「人間的な刑罰」である
第8章 無期徴役囚から裁判員への実践的アドバイス
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
無期懲役囚の視点から死刑の意義を問う本。
世界各国で死刑廃止が浮上している現在、死刑制度は日本国内でも議論の的となっている。
メディアを通して聞き及ぶ死刑制度廃止の議論は、囚人の人権を前面に出し、死刑=殺人というイメージを一方的に植えつけてきた様に思う。 著者のようなビブロフィリア(本の虫)の囚人による、刑務所に収監されている囚人の内情は今まで語られたことが無かった。
現在の懲役制度は教育刑という前提で作り上げられているが、果たしてそれが教育刑としての意味を成しているのかは、検証されていない。
実際刑務所に収監されている犯罪者のほとんどは反省していないという。 裁判では頭を垂れ、反省のコメントを述べるが、刑務所の中ではそんなそぶりが無い。 その様な犯罪者に人生を奪われた被害者、ならびにその親族の無念さを天秤に計って、果たして死刑以外の判決は本当に妥当なのだろうかと思う。
服役を終えて一般社会に出ても、何らかの犯罪を犯して再び収監されるケースも多々あるという。 その様な犯罪者に対しても、重い刑罰が科せられない今の法制度は非常に疑問に感じる。 死刑という究極の刑罰を以て臨まないと、犯罪の抑止力にならないのではないかと思う。
著者は本書の中で死刑更正プログラムの充実や、執行猶予付き死刑など犯罪矯正の為の提案を数多くしている。 この様な現実に基づいた提案に国も耳を傾けるべきだと切に思う。 -
Posted by ブクログ
所謂、奇書と呼ぶべき本なのだろう。驚くべきことに、著者は殺人を犯した無期懲役囚で現在も服役中なのだから。
そういうわけで刑務所内で、死刑囚や凶悪犯たちと実際にあって話をしたりつぶさに観察したりしてまとめたものが本書だから説得力がある。
本書で繰り返し述べられていることが
・犯罪者の99%は犯した罪を全く反省していない
・刑期を終えて実社会に再び送り出しても犯罪を繰り返す可能性が高い
ということ。
それを踏まえた上で刑法上で量刑を鑑みるなら死刑は必要であるという持論を展開している。その他死刑反対論者や人権論者は割合理想主義的な思考法をするので被害者の側にたった視点、加害者にとって本当にメリットがあるかどうかといった現実的な考慮が欠けているといった鋭い指摘がある。
これを読んで思い出したのは例の千葉法務大臣。死刑反対論者を法相に据えるという鳩山内閣はどうよ(そして人事横滑りの菅内閣も)という点はともかく、選挙に負けて自身が落選したらある日いきなり執行するという(権力が持つ気持ち悪さそのものだが)オチまでついた。結局の所理想論を振りかざすだけで現実が見えていない、サヨクが権力握るとホントタチが悪いという印象を残した。本書でも触れられているように死刑を廃止にして終身刑のみにすると生ずる問題いくつもある。いたずらに死刑が悪ではなく、もう少し現実を考慮した(こればっかいってるけど現政権ピントが擦れすぎなので仕方ない)法案を通して欲しい。 -
Posted by ブクログ
女子高生サヤカが学んだ一万人の一人の勉強法の核心にある学びは、派手な成功談ではなく、問いと答えを重ねる対話から生まれている。
勉強が続かない理由をサヤカがこぼすと答えは意外にも「続けようとするからだ」と返ってくる。結果を急ぐほど、学びは重荷になるという。そこで視点は未来ではなく今日に向けられる。今日は何が分かったのか。定義を一つ説明できるようになった、それで十分だと諭される。分かる、説明できる、使える。この順序を守れば、学びは道を失わない。
特別な勉強法はない。疑って読み、確かめて書く。基礎を徹底するだけだ。それを毎日変えずに積み重ねられる一人が、「一万人に一人」なのだという。同じことを繰り返す勇気が、やがて大きな差となって現れる。学びとは足元を確かめ続ける営みなのである。 -
Posted by ブクログ
主人公の光岡は妻子ある平凡なサラリーマン。魔がさして使用した「覚醒剤」のおかげで逮捕され、さらに送られた先が「LB刑務所」という「長期・再犯刑務所」。 その中で罪と向き合い、家族を思い、自分の人生をあらためて歩む決意をするまでの群像活劇。刑務所内にいる著者にしか書けない、リアル小説!
覚せい剤で捕まった主人公が収監された刑務所は、どういう訳なのか無期刑や重大犯罪者ばかりの刑務所だった。主人公は刑務所内の工場対抗運動会に選手として出場することになって…というドタバタ劇。意地悪してくる奴、親友になる奴、尊敬する奴も出てくるけど、出てくる奴らはみんな罪人。放火が趣味で三人焼き殺した無期懲役囚に「仮出所したら絶対連絡してくれよ」なんて言っちゃう主人公。普通に考えればこんなの狂ってるって思う。なのに涙腺が緩んでしまうんだな、悔しいけどw 男たちの熱い友情物語。でも、こいつら全員罪人なんだな。 -
Posted by ブクログ
持論の部分がとにかく読みにくいんよ。あえて難しい言葉つかうし知識ひけらかしたがるし「思春期ど真ん中かよ」と突っ込み入れようとしたら、刑期ど真ん中だった。
でも塀の中の情報や分析はとっても面白いし価値がある。唯一無二。その点においてはとても面白かった。
・人を殺人に駆り立てるのは怒りの情動と合理化
・ベースにエゴイズムの強さ、倫理観の希薄さと欠如
・盗みを発見され自分の身に危険が及ぶと、その相手に怒りが湧くのが服役者にとっては自然なこと。相手は悪であり自分は善。
・服役者には上記の思考回路を持つものしかおらず、同調が重なると思考はさらに堅固になる
・刑務所に戻ることが生きる上で合理的になる老齢受刑者「放火は刑期が長い。狙い通りだったのでよかった」
・一見無期囚も普通の人だが、自分のエゴが起これば相手のことも法も考慮しなくなる二面性が潜んでいる。
・死刑制度の犯罪抑止力が発揮されるのは再犯を繰り返す受刑者である
なるほどなるほど……と読んだ。
ただこの人も2人殺して未だに「自分の人生は自分のもの」とか言ってるような人なので、フィクションと思って読むべき。分析が正しくてもこの人は世間にとっては正しくない。殺人を犯した人が生き生きしてしまえば、それこそ懲役刑の抑止力にならんのでは?筆者が何を叫ぼうが、鳴り響くのは塀の中でなければいけないでしょうよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ殺人の罪で無期懲役を務める著者の社会にいた時からの軌跡を語る話。
著者とは同年代だが、若い頃から異常な程エネルギッシュで意志強固な成功者だったことが事件の原因の一端であることも吐露されている。
刑務所での作業は紙エプロンを作ること。
それさえも毎日新記録を達成すべく工夫をこらし、時には食事を抜かすほど熱中するという。
もうこうなると熱意というより狂気?という感覚を持ってしまう。己の罪と遺族の思いを日々忘れずに、「善く生きるとは?」という命題を突き詰めて仮釈放を放棄して一生を獄で暮らす事を選んだ著者の話は、まだまだ読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
若いうちの苦労は買ってでもしろ。と言いますが、若いうちに身につけるべき苦労は「頑張ること」「やり抜くこと」なのかもしれないと、この本を通して学びました。
頑張り方を知り、やり抜く喜びを知った人が、大人になってから、ここぞというときに力を発揮できる人なのだと思います。
苦労を苦労だと思っているうちは、大変だけれども、苦労だとも思わずに淡々とやり続けることができるように、どんなことでも、やると決めたことはやりきる。これは、なかなかできることではありません。
それがつまり、1万人に一人の勉強法なのでしょう。
無期懲役囚のみたっちゃんと、高校生と中学生の兄弟との手紙のやり取りを通じて、二人の若者の成長を促していくストーリー。
もし、みたっちゃんに「無期懲役囚」という肩書きがなかったら、この手紙のやり取りを僕はどう捉えるだろうと考えながら読みました。
自分に厳しく、最高に効率の高い方法で勉強し続けることを教えるみたっちゃん。
その励ましと、的確なアドバイスにより、成績を上げ、勉強だけでなく、生き方もたくましく変化していく兄弟。
けれど、私が自分や自分の子どもに同じことをさせたいかというと、やや疑問。
犯罪者というフィルターを通してではなく、生きるということに対する考え方のギャップの問題です。
その理由は、みたっちゃんは、「どんなことも」一生懸命やり続けるから。
私は、失敗してもいい。がんばれないときはがんばらなくてもいい。ぐらいの余裕があった方が、いいパフォーマンスができると思うし、失敗したときの復活が早いと考えています。
長い人生、調子の好不調もあるし、心身の健康の問題もあるし、どんなときも完璧を求めたら疲れるし、辛くなる。
ただ、ずーっとダラダラと過ごすのは嫌。
だから、頑張れる力や、やりきる力を習慣として、あるいは基礎体力として身につけるのはすごく大切です。
最後に、一番素敵だなと思ったフレーズを。
ーー桜は自分が咲くこと、花をつけることを知り、そのときが来れば加減もせず、力むこともなく、すべきことを淡々としています。
誰かが見ていようと、見ていまいと自らがやることを黙ってやる。そんな生き方、取り組み方ができたらいあなあと、いつも考えています。ーー
いいですね。
私も桜のように生きていけたらいいなぁと思いました。