原作未読ですが、藤崎先生のファンです。
表紙のイラストと加工からビリビリ伝わってくるこの本気具合。
これだけのビッグタイトルともなれば、そうなんでしょうが。
読むこちらも緊張してしまいました。
物語は貧乏貴族の一家がキルヒアイスの隣人になるところから始まります。
美貌のきょうだい、アンネローゼとラインハルトの騎士になるのだと決めたキルヒアイス、三人は幸せな時間を過ごしていたが、貧困と美貌が災いしアンネローゼは皇帝に召し抱えられることとなります。
その時からラインハルトは、「皇帝を斃し、姉を取り返す」ことを人生の目的とし、キルヒアイスはそんな彼とともに軍人となることを決めるのです。
この一巻では、軍士官学校を卒業し、首席卒業したラインハルトと皇帝の初対面、そして帝国軍人となった二人が任地に赴くまでが描かれています。
率直に感想を言うと、
この驚異的な読みやすさと、
一コマ一コマに魂がこもったような作画に驚嘆します。
藤崎竜は短編集からなにから読んでますが、良くも悪くも癖の強い作画だと思っていました。
が、その灰汁をギリギリまで濾して、「個性」と呼べる範疇に収めて(つまり、最も美しい形で)顕現させているのがこの物語じゃないでしょうか。
表紙なんて、一瞬、えっこれフジリュー?ってなります。
とにかくアンネローゼ、ラインハルトきょうだいは息を呑むほど美しく描かれています。
光を受けて立つ姿なんぞは、ついついトーン処理までじっくり見てしまうほどです。
それだけではなく「おれから多くのものを奪った男がここに!」(皇帝陛下との謁見のシーン)の大ゴマのような、心情がありありと伝わってくる表情もあり。
ともするとラインハルトという少年は、孤高のカリスマで何を考えているかわからない、共感しづらいキャラクターになりそうなところを、このシーンでぐっと読者に近づけましたね。
それまでずっとキルヒアイス視点で物語を進めてきて、初めてのラインハルト視点でこれなものですから、そりゃあインパクトがあります。
「おもてをあげ」のコマなんて、皇帝目線(見下ろし)からラインハルトの顔のアップ、靴が見えて、ラインハルトからの目線(見上げ)に移行する。
もうほとんど映画ですね、ここまでくると。
圧巻です。重厚です。
原作へのリスペクトがなせる業だと思います。
どんな物語がこれから広がっていくのか、楽しみで仕方がありません。
唯一気になるのは、なぜ孤高のカリスマラインハルトが唯一ジークフリート・・キルヒアイスを友と認めたかどうか、という理由でしょうか。
これ、いつか明かされるんでしょうか。
丁寧にじっくりと最後まで描ききって欲しい、と切に願う作品です。