ファラデーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
むかし、お仏壇のろうそくと線香でイタズラして、
初めて祖父に怒られた苦い思い出があります。
思えばそれが祖父との最期のやりとりだったかもしれません。
おかげさまで人様に大きな迷惑もかけず、こうして生きられております。
叱ってくれる人がいる、というのはありがたいことですね。
この本は、山本有三の『心に太陽をもて』を手にした時、
ファラデーについて描かれた内容に特に興味をひかれましたので、
いつかきっと読んでみたいと思っていました。
ここでは、ふだんなにげなく見ている、当たり前に燃えるろうそくをテーマに、
それ単体を科学的に説いた内容が主題となっていますが、
自分は控えめに言っても、不真面目な学校生活を送っていましたし、
理科はとりわけ、座学も実験もイヤイヤやってた記憶ですので、
興味があってこの本を手にとってみたはいいものの、
書かれていることは恥ずかしながら、あまり良くわかりませんでした。
科学的な内容の細部は別にさせてもらいまして、
あくまで自分が直感でつかんだ印象としては、
講義をするファラデーも受講者も、ひとつひとつがエネルギーを
燃やしている独立した生き物であり、ろうそくと大きな違いは無いこと。
ファラデー自身の燃える炎が、ひときわ明るく周囲を照らし、後進を育み、
影響を与える存在として光を放っている光景が目に浮かびます。
ここには、冷たい現代的な詰め込み教育とは真反対の、
暖かみに満ちた一体感を感じますね。
いちばん生活のそばにある物が、実は世界の真理になっている。
なるほどこういう意識が持てれば、距離感はグッと近づく。
もしも自分が、このファラデーのクリスマス講義に参加する様な、
何かのきっかけがあったとしたなら、科学に限らず、その後の意識は
また違ったものに変わったかもしれません。
冒頭に述べました山本有三氏の本にあったように、
ファラデーは元々、エリート街道を歩んだのでなく、
人よりマイナスの状態から、大出世した偉人であるからこそ、
未来を生きる子どもへの育成の取り組みに熱心だったのかなと。
この本を読む限りでは、研究の成果に対する外部の妬みから不本意な
仕打ちも受けたように書かれていますが、彼の科学者としての
純粋な気持ちは、限りなく曇りのないものと言って間違いないかなと思います。
今日も世界の至るところ、科学者は地道な努力に明け暮れていることでしょう。
自分も1本のろうそくとして、持ち場を守ろうと思います。 -
Posted by ブクログ
子どもを喜ばせる工夫が随所に
ファラデーが,今も続くイギリスの1861年のクリスマス講演の内容.ファラデーだが電磁気ではなく化学がテーマ.ローソクを手がかりに,酸素,二酸化炭素,水素,窒素,炭素といった物質の反応を示す実験を通じて,これらの性質を紹介している.また,新しいことを観察したら,それがどうして起きるのかを考え疑問に思うという,科学的姿勢を子どもたち伝えたいというのが表れている.
ただ漠然とした講演ではなく,子どもを喜ばせる工夫が随所にあることに気付かされる.圧力をかけて容器を壊したり,水素や金属に火を付けて爆発させているが,爆発大好きな子どもにはウけたことだろう.化学物質も,当時からすれば100年前ぐらいにその原理が分かったものなので,今からすれば相対性理論や量子力学を取り上げているようなもので,かなり攻めた内容と思う.それでも,いろいろと実験を工夫して,子どもたちに興味をもってもらえるようにしているのは,子どもが好きなんだろうなと思える. -
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1861年末のクリスマス休暇、ロンドンの王立研究所で催された6回の講演の記録
当時最先端の科学について、ロウソクの燃焼という身近で親しみやすくかつ直感的に分かりやすい現象に置き換えながら説明することで、受講者の理解を段階的に深めていく手法が素晴らしい
老いてもなお衰えることのない知的好奇心や、科学を自然現象から連続した事象であると捉える視点など、ファラデー自身から学ぶことも多い
初版発行が1962年ということで文体が硬く挿絵も古いうえ補足情報も少ないため、ある程度科学の知識がある人ではないと理解が難しいかもしれない
2020年を過ぎた現在でも新訳版や子供向けの翻案が多数出版されているようなので、そちらを読んだ方が深く理解できると思う -
Posted by ブクログ
6つの化学実験講座です。
どこかのこども科学教室のメモかと思いきや、大科学者であるファラデーが英国王立研究所で行ったクリスマス講演実験をまとめたものだったのでちょっと驚きました。19世紀後半は、日本の高校程度のレベルだったとおもわれます。
本文は、文庫で200頁ほどなのでさくさく読めます。
ですます調で書かれている科学論文?を、というか、講演会の口伝のような語り調はちょっとわかりにくいので、わかりやすく替えてもいいのではないかとおもいました。なれって恐ろしいですね。
挿絵も1860年代後半の時代を表しているもので、論旨を問うならもっとわかりやすい絵を使った方がいいのではと感じました。
実験の流れは良かったかと思います。ただ、元素については、決めつけているので、ちょっと違和感はありました。
目次は、以下です。
序文
第一講 一本のロウソク その炎・原料・構造・運動・明るさ
第ニ講 一本のロウソク その炎の明るさ・燃焼に必要な空気・水の生成
第三講 生成物 燃焼からの水・水の性質・化合物・水素
第四講 ロウソクのなかの水素 燃えて水になる・水のもう一つの成分・酸素
第五講 空気中に存在する酸素・大気の性質・その特性・ロウソクのそのほかの生成物・二酸化炭素・その特性
第六講 炭素すなわち木炭・石炭ガス・呼吸および呼吸とロウソクの燃焼との類似・結び
訳註
解説 -
Posted by ブクログ
「ろうそくの科学」はファラデーが行ったクリスマス講演について記録したものである。この本はノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんがおすすめした本であり、理系的な知識、または考え方を身に着けるべく本書を購入した。
ろうそくの燃焼をきっかけとして、水や酸素などの反応物について様々な実験を通して、それらの性質を解き明かしていく内容となっている。一見難しそうな内容に思えるが、大半が高校までに習うような現象を解説している。
私が特に感動したのは炭素の性質について説明している第2講と第6講の箇所である。その理由は、これまで水素や酸素の働きなどについては理解できていたが、炭素に関しては特徴がいまいち分からなかったからである。本書を読むことで炭素は燃焼にとても大きな役割を果たしているとともに私たちの生活に深く関わっていることが容易に想像することができた。
個人的には化学に一度おおまかに触れている高校生以上の人におすすめしたい。また、理系では知識の蓄積、文系では科学実験の感覚を味わうことができるだろう。 -
Posted by ブクログ
王立研究所にて、1860年の年末から翌年初にかけて行われた、恒例のクリスマス講演。ファラデーさんが行われましたその内容を、雑誌の編集者だったクルックスという方がまとめられたものです。ろうそくの燃焼から始まり、物の化学変化を6回に分けて講義されています。化学式などを使うことなく、実際に目の前で行うことで、何がどのように変化するのかということを分かりやすく示されています。私たちが知っている化学変化について、一つ一つ丁寧に、具体的にどのような環境で発生するものなのかを知ることができます。このような目線での授業というものがあったならばと感じさせられる内容でした。
ろうそくに限らず、物が燃焼するときに、何が起こっていて、何が発生しているのか。それは常識として知っている感があるものですが、実は化学式として知っているだけで、実際に現実を見たわけではなかったこと。本書を読むことで、そういった、一見簡単で基本的なことが、実は本などからの受け売りにすぎないことを教えられました。