大友徳明のレビュー一覧
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ヴェルヌの〈驚異の旅〉シリーズのひとつでもある本作。
海中でのさまざまな冒険譚もさることながら、謎の人物として描かれているネモ船長がこの物語のキーマン。観測者アロナクスの目を通してその知識や財力、正義感、非情さと危うさを垣間見せることでただの楽しい探索として終わらせない良さを感じた。
『十五少年漂流記(二年間の休暇)』は児童文学らしくご都合主義的な展開が多かったが、本作はよりシビアな世界観が楽しめる。
ネモ船長は支配的な社会構造と搾取を憎んではいるものの、船内で対等に会話をするのはアロナクスただ一人に対してのみである。ゴリゴリの階級社会にあった当時の姿を感じられることも、名作を読む楽しみだ。 -
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ネタバレ子供の頃からディズニーのノートルダムの鐘が好きで、ずっと読んでみたいと思っていたものの読みにくいという評判も聞いており手が出せずにいた作品。
抄訳版があるということで読んでみたが…すごく面白い!
アニメとは中身が違うとはなんとなく聞いていて、フロロー判事が明確な悪役ではなく葛藤が丁寧に描かれている等を聞いて、もっと淡々としたリアリスティックな内容を想像していた。
が、意外としっかり起承転結のある物語になっており、なんならアニメ版よりドラマティックとすら感じた。
個人的にはフロロは悪役と感じたが、その他も良い人があまりいないので相対的に悪役とは見なされていない感じ笑
カジモドもアニメほど純粋ないいやつじゃないしエスメラルダは純粋だからこそ愚かな人物として描かれていて、ひとりひとりの人物の心理描写は確かに記号的なところはなくリアリスティック寄り。
そんなリアリスティックに描かれる人物たちがパズルのピースとなり、最後きれいに噛み合ったとき最強にドラマティックな悲劇を作りあげる、というのが素晴らしかった。 -
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無人島に不時着した遭難者たちの物語最終巻。仲間も増え、安定した生活を手に入れた彼らは海上に船を見つけるが、その正体は脱獄した囚人の集団だった。悪漢どもに島は荒らされ、銃撃戦が起き、命の危機に瀕する少年。行方不明になる仲間。数の暴力と医薬品の不足、もう助からない……次々と襲いくる絶望。誰もがおしまいだと悟ったそのとき、謎の存在が彼らに救いの手を伸ばす。彼らは謎の存在に感謝の気持ちを伝えようと、「彼」を探すことに決める。そして、彼らが開拓してきた島にも重大な変化が。
怒濤の展開に、読む手が止まらなかった。どこから狙われているかわからないゲリラ戦はハラハラし、少年が衰弱していく描写は読んでいて辛かった。奇跡を願う彼らを助けてくれる存在。正体不明の「神秘」の力が宿る島。それがこのシリーズのタイトルの意味だったのかと、最終巻にして理解しました。
私が好きなのは、その「奇跡」をサイラス技師がそのまま受け入れていたのではなく、多少の疑念と反発心をもちつつ感謝していたこと。援助をただありがたがるのではなく、その正体を突き止め、なんとしてでも感謝を伝えるべきだと強く思っていたのが人間らしくていいなと。
そして彼らは奇跡の正体に出会う。「あなたの名前を知っています。船の名前も。だって、あなたは『海底二万里』という本に書かれていますから」「なんだって!?」
こういう展開、私はとても好き。本の中の人物が、まるで実際に存在しているかのように思えて面白い。
そこで明かされる彼の過去や思惑、願い。年数のつじつまが合わない部分もあるけれど、これは間違いなく『海底二万里』の続編。あれほど人の世を嫌っていた彼が人を助けた。死を前にした彼の願いは、多数の人間を海底に沈めた罪深い自分への、他者からの断罪。
本当に良かったなと思ったのは、クルーたちを次々に看取ったネモ艦長が、誰にも看取られずに死んでいく未来もあったはずなのに、それを避けられたこと。それだけではなく、縁を切ったはずの人間たちから感謝され、安らかにと祈ってもらい、大事なノーチラス号と共に海へ埋葬されたこと。
その後、島は大変な事態に陥るのですが、そこで「こんな大変な目に遭わなくて済んで、ネモ船長はタイミング良く死んでよかったよね!(超意訳)」と言われているのが面白かったです。ほんとそう、彼はすべてにおいてズルい。島がボロボロになって、間に合え!と頑張って造っていた船もズタボロになって、岩礁の上、すべてを失った開拓者たちを助けたのも、言わずもがな。この展開はズルすぎる。伏線回収。ずっと鳥肌。ずっと涙。最後までかっこいい。ありがとうヴェルヌ。公式で彼の死を描いてくれて。ありがとうネモ艦長。ずっとずっと大好きです。よく頑張った仲間たち。皆、幸せになってね。会えて本当に良かった。うまくまとまらないので、また日を置いて語りたいです。 -
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「813」モーリス・ルブラン、大友徳明訳、偕成社ルパン全集5。初出はフランスで1910。
もう多分20年以上前かに夢中になって読んだモノの再読。ルパン・シリーズ全部は読んでいませんが、読んだ中ではルパンの最高傑作だと思っています(水晶の栓も良かったけど…)。
ケッセルバッハという名前の実業家がパリのホテルで殺される。その真相と、ジュヌヴィエーブという美しい娘を巡って、【ルパン・警察・正体不明の犯罪者】が三つ巴の戦いを繰り広げる…という内容で、ルパンはセルニーヌ侯爵であり、はたまたルノルマン刑事部長でもあるという痛快な活躍ですが、相手も強者で何度も危機に。
そして実はこの偕成社版では「続813」と2冊に別れていて、「813」だけでは何の謎も解けずに、ルパンは獄に繋がれたまま終わります。
相変わらず冒険と美女への愛のために不利を背負ったまま疾走するルパンが素敵ですね。 -
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ネタバレ主人公はルパンかと思うくらい、活動が機敏で、女性に優しい。
幸せな終わりで恋愛小説の要素がある。
ロシアからパリまでのヨーロッパを舞台にした冒険小説になっている。
殺人事件も出てきて、推理小説の要素もある。
大友徳明の翻訳、解説。解説でパリの亡命ロシア人の活躍の紹介がある。事件の背景を知るのによい。
パリの芸術家
荻須高徳
エレンブルク「雪どけ」
ディアギレフ(バレー)
ニジンスキー
ストラビンスキー
藤田嗣治
モリディアニ<イタリア>
キスリング<ポーランド>
パスキン<ブルガリア>
シャガール<白ロシア>
スーティン
ザッキン
レーニン
トロツキー -
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文豪ヴィクトル・ユーゴーの長編小説から読みやすくまとめた本。100年戦争後の15世紀パリを描く。
バレエ作品にもなっている、
ジプシーの娘エスメラルダがヒロイン。
人の心は外見によらないことを示すカジモド、司祭なのに邪な心を持つフロロ、婚約者がいながらエスメラルダを誘惑する美男子のフュビュス、家族愛、欲望、権力の前で軽視される平民の命。
愛の対比で、フュビュスとフロロの欲望ばかりの愛とは異なり、カジモドの思いやりに溢れた愛、エスメラルダと母の家族愛は本当に純粋で、胸が締め付けられた。
世の中の不条理、平民に心を寄せるヴィクトルユゴーの特徴が、この物語にも表れている。