大友徳明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無人島生活を始めた5人+犬1匹の物語の続編。着の身着のままだった彼らだが、各々の知識、発想、能力、献身等により、無人島をめざましく発展させる。不時着した気球の布地から衣服を繕う。家畜を育て、小麦を栽培、収穫してパンを作り、窓ガラスをはめ込み、待望の煙草をふかす。さらには、もはや「そうなんですね」と頷くことしかできない科学や物理学の説明の後、風車や水力エレベーター、電気通信施設まで整備する。水夫の言う通り、汽車を走らせる日も遠くない。技師が「今は必要ないから作ってないだけで、簡単だよ」と説明しそうなのが目に浮かびます。たとえるなら『どうぶつの森~無人島サバイバル編~』みたいな印象。人間ってすごい、知識を活かすってすごいなと、今から100年以上前に発表された作品を通じて、驚くばかりです。
島を開拓していくなかで、できることが増え、毎日新しい発見がある。彼らは仲間との話し合いを大事にし、感謝を忘れず、生活を楽しんでいる。何年経っても、仲間と協力することとか、やるなら楽しんでやるとか、感謝の心とか、人として大事なことはそんなに変わらないのかもなあと思いました。
エプロンを着て、給仕に従事する優秀なオランウータンの仲間が増えたのですが、彼が煙草を嗜むシーンはとても愉快で、ほっこりしました。
終盤で、物語は大きな展開を見せます。波打ち際に寄せられたボトルに入っていた、近くの無人島に遭難者がいるとの情報。船を作っての大冒険は危険を伴う。彼らは話し合い、海にこぎ出す者と留守を守る者に別れて捜索に向かうことにするのですが、見送るシーンの描写に、特別そわそわしてしまいました。次のページに、あっさり「これが彼らの今生の別れだったのである!」と書かれているのでは、と……杞憂で良かったです。
見つけた遭難者は長年の孤独により精神を病み、人らしさを失っていたのですが、時間の経過と開拓者たちの見守りが遭難者との距離を少しずつ縮めます。遭難者の罪の告白に対しそれを遮らない、肯定も否定もしない、受け入れる用意はあるから、君の好きにしたらいい、という感じの彼らの姿勢に、思わず涙ぐんでしまいました。彼らの未来に幸あれ。
第二部を読み切って、涙をぬぐって本を置く。そこで思い出しました。そうだ、そもそもこの物語を読み始めたのは、海底二万里に登場するネモ艦長に会いたいからだった。物語のあちこちで艦長の気配をひしひしと感じながら、最終巻【第三部】に続く。
読むのが楽しみだけど、彼らと別れるのがすでに寂しい。これからどうなるんだろう。 -
Posted by ブクログ
神秘の島[第一部]/ジュール・ヴェルヌ
「海底二万里」のネモ艦長が出ると聞いて読み始めた本。
囚われの5人+犬1匹は、気球でアメリカを脱出し、嵐に翻弄されながら見知らぬ島に不時着。
最初の頃は、奇跡的に持っていたマッチを「俺には擦れない!失敗したらおしまいだから!」と 大騒ぎしながら慎重&丁寧に扱った彼らだったが、リーダーのサイラス技師の知識の元、簡単に火をおこせるようになり、弓や罠、レンガ、陶器や家具等を作り、鉄鉱石や石炭から鋼鉄を生み出すように。さらには爆薬の原料であるニトログリセリンまで生成して地形を変え、快適な居住環境を手に入れる。皆が各々の能力をフル活用する、すごすぎるサバイバーたち。
知識を文字通り”生かす”というのはこういうことかと驚嘆。「無人島に一つだけ持って行けるとしたら?」というよくある問いには、迷わず「サイラス技師」と応えるべきだなと思いました。
序盤の島の描写がイメージしづらい&地学や科学に詳しくない&海獣が好きな私にとっては読み進めるのが辛い部分も多々ありましたが、普段考えることのない地球のこれからとか、太陽からの熱を浴びているはずなのになぜ月は冷たい天体なのかとかの解釈が新鮮で、途中から夢中になって読めました。カバー袖のネタバレに注意。
身の回りで起きている不可解な事象と、サバイバル生活に慣れてきた彼らが見つけた、他者の存在を示す一発の銃弾。出てくると聞いているネモ艦長の、うっすらとした気配。
どこにも売ってないよ〜と騒ぎながら、奇跡的に新刊書籍で手に入れた第二部、今から読むのが楽しみです! -
Posted by ブクログ
ディズニーの方はまだ観たことないです。録画してあるけど先に原作を読みたかったので我慢してた。
原作といっても抄訳で、かなーり要点のみらしいけど
私は一度レミゼで挫折してるので、ユゴーくんとは勝負しないことにしました。いずれちゃんと全部の訳も読んでみたいな!
抄訳というだけあって半日で読み終わりました
「カジモドの結婚」でこそ完結する、とんでもねえ物語よ。ラストはもちろん違うと聞いてるけど、それでもよくこれをディズニーアニメにしようと思ったな!?企画出したの誰だ!?
エスメラルダ可哀想だけど、あんな理不尽な死、たくさん転がっていたんでしょうね
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Posted by ブクログ
読み始める前に頭にあったのはディズニーの映画「ノートルダムの鐘」
といっても、映画を見たことはありません。
「でもディズニー映画だから、辛い展開でも最後はなんかいい感じでハッピーエンドに向かうんだろうな」などと思いながら読み始めました。
それくらいの前知識で読み始めたのですが、この角川文庫版は原作を抄訳しているそうで、およそ200ページほどの長さ。「海外古典文学のわりにストーリーがすっきりしていて読みやすいなあ」などと偉そうに思っていたら、後からそれをしりなんとなく納得。
舞台となるのは15世紀のフランスパリ。美しい踊り子の娘をめぐっての愛憎を描いた物語ということになるのかな。
冒頭から大聖堂や当時の街並み、世相を感じさせる描写が印象的で、抄訳なのにこの雰囲気をまとっているのがすごいなと感じました。
読み終わるまで、抄訳だと気づかなかったのは、こうした描写の抜き取り方もそうだし、文章や登場人物たちの雰囲気も、海外文学ならではの一種の仰々しさが、終始感じられたからだと思います。海外文学が苦手な人や、ディズニー映画だけ知っている人でも、だいぶとっつきやすいのではないかと思います。
作品全体を通してみると、報われなさが心に残る話だったなと思います。登場人物それぞれが恋にとらわれ、そして何かを失っていく物語。正気や立場を失い、本当の愛を見失い、慕っていた人、焦がれていた人を失う。
そんな悲劇的な物語ではあるのだけど、作品の舞台や時代背景のためか、はたまた作者や、訳者の方の技量か、それがドラマとして、一種の抒情詩として成り立っているように思います。
抄訳ゆえか、やや物語の展開や、登場人物の心情の変化が唐突だったりする印象があったりするのですが、原作は本筋と関係ないところの描写もかなり詳細らしいので、読みやすさをとるか、物語のより細かい完成度のどちらを取るかは、個人の好みによるところだと思います。
この抄訳版でもラストの展開はかなり読ませるものだったけど、原作の長い物語を読んだ後だと、あのラストの嵐のような展開は、より深く心に刻まれていたのではないかな、とも思ってしまう。
でも、やはりこの抄訳版の完成度はかなり高いと思います。当時の挿絵も使われていて、それも物語の雰囲気を盛り上げるのもうれしいところです。
この抄訳版の記憶が色々あやふやになって、できればディズニー版の映画も見て、話の記憶を上書きして、そして原作を最後まで読み通したら、心がすごくぐちゃぐちゃになって、でもどこかでものすごい満足感も感じられそうな気がします。
当分は無理だし、結局やらなそうなことではあるけど、でもそういう読み方をしてみたくなる、抄訳版ながら読み応えのある印象的な作品でした。