あらすじ
15世紀末のパリ。ノートル=ダム大聖堂の副司教クロード・フロロは、聖堂前の広場で踊るジプシーの娘エスメラルダに心を奪われ、自分が育てた異形の鐘つき男・カジモドに誘拐させて、わがものにしようとする。しかし間一髪、王室騎手隊の隊長に救われ、エスメラルダはその若き隊長フェビュスに一目ぼれしてしまう。嫉妬に狂った副司教のクロードは、フェビュスを殺し、エスメラルダにその罪を着せ破滅させようとする。一方、エスメラルダの美しさとやさしさにふれ、いつしか愛情を抱くようになったカジモドは、彼女を絶望的な運命から救いだそうとするが――。
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Posted by ブクログ
ダイジェスト版なので、かなりうっすい本です。ぜんぶ読みたいというチャレンジャーは岩波上下巻へ。
とはいえ拾うべきところは拾ってあるので、あのユゴー特有の脱線とかないしわけわからん解説ないので文字を見ると眠くなる自分にはかなりオススメ。しかも当時出版された挿絵も載ってるのはおおきい。ああ、副司教マジでハゲそうだったんだと(笑)
Posted by ブクログ
子供の頃からディズニーのノートルダムの鐘が好きで、ずっと読んでみたいと思っていたものの読みにくいという評判も聞いており手が出せずにいた作品。
抄訳版があるということで読んでみたが…すごく面白い!
アニメとは中身が違うとはなんとなく聞いていて、フロロー判事が明確な悪役ではなく葛藤が丁寧に描かれている等を聞いて、もっと淡々としたリアリスティックな内容を想像していた。
が、意外としっかり起承転結のある物語になっており、なんならアニメ版よりドラマティックとすら感じた。
個人的にはフロロは悪役と感じたが、その他も良い人があまりいないので相対的に悪役とは見なされていない感じ笑
カジモドもアニメほど純粋ないいやつじゃないしエスメラルダは純粋だからこそ愚かな人物として描かれていて、ひとりひとりの人物の心理描写は確かに記号的なところはなくリアリスティック寄り。
そんなリアリスティックに描かれる人物たちがパズルのピースとなり、最後きれいに噛み合ったとき最強にドラマティックな悲劇を作りあげる、というのが素晴らしかった。
Posted by ブクログ
2024年冬、日本科学未来館の「パリ・ノートルダム大聖堂展」に行き、ユゴーの『ノートル=ダム・ド・パリ』が気になった。本書が簡略版であることは知らず、多少後悔はしたものの、全く支障なく読めた。
Posted by ブクログ
ディズニーアニメ版『ノートルダムの鐘』を観てすっかりどハマりして、原作を読みました。
アニメ版と原作とではだいぶ話が違うんですね。フロローの粘着ストーカーぶりが大いに発揮されてて笑いました。ディズニー版ではあれでもマイルドにされていたのだなぁ…
結末は救いが無く、後味の良さとしてはアニメ版に軍配が上がりましたね。フロローの聖職者としてエスメラルダに恋をしてしまったことへの葛藤も原作は一押し弱い気がしてしまった。でもアニメ版と別物として読むとこれはこれで面白かった。
Posted by ブクログ
ディズニーの方はまだ観たことないです。録画してあるけど先に原作を読みたかったので我慢してた。
原作といっても抄訳で、かなーり要点のみらしいけど
私は一度レミゼで挫折してるので、ユゴーくんとは勝負しないことにしました。いずれちゃんと全部の訳も読んでみたいな!
抄訳というだけあって半日で読み終わりました
「カジモドの結婚」でこそ完結する、とんでもねえ物語よ。ラストはもちろん違うと聞いてるけど、それでもよくこれをディズニーアニメにしようと思ったな!?企画出したの誰だ!?
エスメラルダ可哀想だけど、あんな理不尽な死、たくさん転がっていたんでしょうね
Posted by ブクログ
読み始める前に頭にあったのはディズニーの映画「ノートルダムの鐘」
といっても、映画を見たことはありません。
「でもディズニー映画だから、辛い展開でも最後はなんかいい感じでハッピーエンドに向かうんだろうな」などと思いながら読み始めました。
それくらいの前知識で読み始めたのですが、この角川文庫版は原作を抄訳しているそうで、およそ200ページほどの長さ。「海外古典文学のわりにストーリーがすっきりしていて読みやすいなあ」などと偉そうに思っていたら、後からそれをしりなんとなく納得。
舞台となるのは15世紀のフランスパリ。美しい踊り子の娘をめぐっての愛憎を描いた物語ということになるのかな。
冒頭から大聖堂や当時の街並み、世相を感じさせる描写が印象的で、抄訳なのにこの雰囲気をまとっているのがすごいなと感じました。
読み終わるまで、抄訳だと気づかなかったのは、こうした描写の抜き取り方もそうだし、文章や登場人物たちの雰囲気も、海外文学ならではの一種の仰々しさが、終始感じられたからだと思います。海外文学が苦手な人や、ディズニー映画だけ知っている人でも、だいぶとっつきやすいのではないかと思います。
作品全体を通してみると、報われなさが心に残る話だったなと思います。登場人物それぞれが恋にとらわれ、そして何かを失っていく物語。正気や立場を失い、本当の愛を見失い、慕っていた人、焦がれていた人を失う。
そんな悲劇的な物語ではあるのだけど、作品の舞台や時代背景のためか、はたまた作者や、訳者の方の技量か、それがドラマとして、一種の抒情詩として成り立っているように思います。
抄訳ゆえか、やや物語の展開や、登場人物の心情の変化が唐突だったりする印象があったりするのですが、原作は本筋と関係ないところの描写もかなり詳細らしいので、読みやすさをとるか、物語のより細かい完成度のどちらを取るかは、個人の好みによるところだと思います。
この抄訳版でもラストの展開はかなり読ませるものだったけど、原作の長い物語を読んだ後だと、あのラストの嵐のような展開は、より深く心に刻まれていたのではないかな、とも思ってしまう。
でも、やはりこの抄訳版の完成度はかなり高いと思います。当時の挿絵も使われていて、それも物語の雰囲気を盛り上げるのもうれしいところです。
この抄訳版の記憶が色々あやふやになって、できればディズニー版の映画も見て、話の記憶を上書きして、そして原作を最後まで読み通したら、心がすごくぐちゃぐちゃになって、でもどこかでものすごい満足感も感じられそうな気がします。
当分は無理だし、結局やらなそうなことではあるけど、でもそういう読み方をしてみたくなる、抄訳版ながら読み応えのある印象的な作品でした。