新井潤美のレビュー一覧
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もとは2011年刊、本書はその増補新書版。テーマは、イギリスの家事使用人(servants)――執事に始まって、ハウスキーパー、料理人、メイド、従僕と下男、乳母まで。増補版では、ランド・スチュワードやガヴァネスなど準使用人が加わっている。読み応えあり。トリビアもゴロゴロ。
類書に小林章夫『召使いたちの大英帝国』(洋泉社新書)があるが、好対照。書きぶりも材料もまるで違っている。あちらは、家事使用人の歴史とシステムと生態、いわば初級・中級編だった。
本書は上級編。文学作品に登場する使用人について解説している。登場する作品は多数。たとえば、執事の場合は、ウィルキー・コリンズ『月長石』やカズオ・イシグ -
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195P
新井 潤美
(あらい めぐみ、1961年10月7日 [1]- )は、日本の英文学者・比較文学者。東京大学教授。東京生まれ。香港、日本、オランダおよび英国で教育を受けた[2]。父親の仕事のこともあって、彼女はオランダのアムステルダムの学校に移ったあと、14歳くらいのときに、英国のチェルテナム・レイディーズ・コレッジという「女子パブリック・スクール」に移る[3]。後に新井はパブリック・スクールに通った体験を活かして、自著内でパブリック・スクールのイメージが、イギリス文化においていかに大きな位置を占めているかを、小説、演劇、映画などを通して見るとともに、その実態と歴史的背景をも併せて紹介 -
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英国紳士と言われると、スーツを着こなす、表紙の絵のような物腰柔らかな人物を想像していました。
しかし、彼らの中には、はっきりと階級を意識した、均一化した世界があるのだと冒頭で著者は述べています。
「紅茶にミルクを入れるタイミング」などの細かいところまで異なる社会は、想像できませんが、それは差別的なものではなく、あくまで「階級に応じた振る舞い」だそう。
しかし、その階級の中でも、「ミドルクラス」は幅が広く、ロウアー(下流)とアッパー(上流)のあいだでは、歴史的に大きな溝があり、アッパーに憧れる「ロウアーミドルクラス」はいつも嘲笑の対象となっていたようです。
『「ロウアーミドルクラス(下 -
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非常に勉強になった。与党が変わるたびに教育のあり方(パワーバランス)が変わるっていうのは日本ではあまり考えられないこと。
文中で引用されていた本にもおもしろそうなのがいっぱい。ただ、日本では訳されていないものもあり残念。検索の問題かもしれないので、巻末リストに原書だけでなく日本発行の題名も付けてくれたら、なおうれしかった…というのは単なるわがままですが。とにかく日本語で読めるものは読んでみたい。
また、自分が行っていた私立校はどの階級に属していたのか知りたいと思った。
本書を読んだ後に「美しき英国パブリック・スクール」を読むとイメージが湧きやすく理解が深まる。 -
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ネタバレみんなの憧れパブリック・スクール。
イギリスの学校といえばパブリック・スクール。数々の作品で描かれる寮生活、寮対抗試合、監督生、上級生との関係など。しかしイギリスでパブリック・スクールに通った人は本当にわずかなのだ。しかしイギリスの学校=パブリック・スクールのイメージを持っている。この本はパブリック・スクールの歴史から、どのようにしてパブリック・スクールのイメージが作られたのかを紐解く。誰のための学校として生まれたのか。なぜ好意的なイメージになったのか。特にフィクションに描かれた学校や生徒の様子に注目する。また追随する学校の誕生についても述べている。
後書きで著者が子どもの頃に読んだセント -
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ハリーポッターを代表するイギリスの青少年を主人公とする物語には必ずと言っていいほど登場する全寮制の中等教育学校ーいわゆるパブリック・スクールについての解説書。
日本でも最近になって海陽学園などパブリック・スクールをモデルにした学校がフォーカスされたりしたものの、依然として数は少なく、そしておそらくこれからも増えることはないだろう。だからこそ新しい世界を見た感じがあり面白い。
本書ではそんなパブリック・スクールが形成された経緯や「紳士的な教育」がどのような変遷を遂げたか、また女子のパブリック・スクールにおける特徴など様々な視点から解説を行なっている。パブリック・スクールを扱った小説がパブリック・ -
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イギリスの貴族制度に詳しい著者による、イギリスの上流階級、中上流階級に関する本。「ダウントンアビー」などのドラマをはじめ、新聞報道や文学作品、回顧録、伝記などを基に、それぞれのシーンの意味や背後にある階級制度について詳しく説明している。とても興味深い。今でもイギリスでは、王室や貴族を中心とした、上流階級の存在感が大きいことがわかった。
「イギリスの貴族の称号はかなり複雑で、その細部まで頭に入っている人間は少ないだろう」p32
「イギリスの貴族がヨーロッパの貴族と違う最も大きな点は、爵位が長男にしか継がれないことかもしれない」p36
「イギリスの文化においては、知識や教養があっても、あるいはス -
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イギリスの上流階級(アッパー・クラス)は、イギリスのみならず、多くの人の興味の対象である。イギリスの歴史を作り、文化の源となり、彼らの礼儀作法が社会の行動規範となってきた。
一般人にとっては「雲の上」の人々。好奇心やロマンを誘う存在でもある。
著者は、英文学・比較文学の研究者。
18世紀以降の英国上流階級の実態を文学作品などから紐解いていく。
それは実のところ、そんなに楽でもないようで・・・。
アッパー・クラス(upper class)はnobilityとも言われる階級で、爵位のある貴族だけでなく、「ジェントリ」と呼ばれる地主も含む。爵位は、君主が新たに授与する(主に政治的理由から)ことも