佐木隆三のレビュー一覧

  • 証言記録沖縄住民虐殺 日兵逆殺と米軍犯罪〈新装版〉

    Posted by ブクログ

    沖縄が日本に復帰してから10年が経った1982年に出た本だ.
    おそらく,その頃には内地では「戦後」なんてもうとっくに終わったこと,みたいな感覚が広がっていたんじゃないかと思う.

    当時,僕は小学校3年生.「はだしのゲン」は読んでいたし,父から沖縄戦の話もぽつぽつ聞いてはいたけれど,それはあくまで「歴史」の話で,現実味は薄かった.戦争って,どこか遠くの世界の出来事で,半分フィクションみたいに感じていた.

    2〜3年に一度,まだ祖父が生きていた頃に,父の兄弟や親戚を訪ねて沖縄に行く「ちょっと退屈な旅行」があった.58号線沿いの看板は英語だらけで,どこの家に行っても軍服姿の肖像画が飾られた仏壇があっ

    2
    2025年09月06日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    日本中を横断しながら詐欺、強盗殺人を繰り返し5人を殺害した榎津巌の78日間に及ぶ逃走を記録したノンフィクションノベル。なぜ榎津がこれだけの極悪非道な人間になったのか、その背景に今一つ迫りきれてない部分は感じるが読み応えあり!

    0
    2025年06月22日
  • 身分帳

    Posted by ブクログ

    山川の身分帳の量を知るだけで問題多し人物なのがわかる。刑期を終え満期釈放出所した山川が癇癪を起こさないか心配でしかたがなかった。子供の頃は放浪での補導、いつから神経質で癇癪な性格になってしまったのか…
    スーパーの主人の優しさが救いになりました。悩んだ時に親身になってくれる人、相談できる人がいると気持ちが落ち着く気がします。

    0
    2024年12月12日
  • 娼婦たちの天皇陛下(電子復刻版)

    Posted by ブクログ

    反戦平和を希求する佐木隆三氏のエッセイとルポタージュ。50〜70年ほど前に書かれたものばかりだが、もしかしたら今では世間から忘れ去られてるようなルポもあるので、とても貴重な作品だと思う。でも思うのは、世の中は大して何も変わっていないということ。弱者は切り捨てられたまま。

    0
    2024年11月21日
  • 身分帳

    Posted by ブクログ

    映画「すばらしき世界」の原案。23年のムショ暮らしを終えた初老の男の娑での生活を描く。

    絶版だった作品を良くぞ映画の原案に持ってきてくれたものだと思う。
    九州で生まれた孤児は少年院生活などを経て犯罪の常習、服役期間中の傷害などで合計して23年の刑期を終える。

    一般社会に馴染もうとする姿勢、周囲の人々の善意が描かれる。

    実話に基づくフィクションという位置づけだが、補講は事実。筆者の取材と実在した人物との接点が何とも胸を打つところ。

    犯罪を通じて人を描くのは佐木隆三の得意とするところ。
    久々に読むとどこか新鮮な視点。

    映画の題材として発掘した西川美和監督に感謝。

    0
    2022年08月02日
  • わたしが出会った殺人者たち

    Posted by ブクログ

    まさか、あのように報道されていた死刑囚に、そのような一面があったとは。情報を与えられるだけである事の危うさ。足を使い、自ら知りに行くことの大切さ。勉強になった。とても面白い。
    しかし、「殺人者と他の人間の違いは程度の差であって、種類が異なるのではない」は、反社会性パーソナリティ障害持ちの殺人者たちが存在する現代社会では、全く同意することはできず、人間の正体など無い、としか思えない。
    「感情で動くことしか出来ない人間」を越えられない限り(越えたら人ではなくなりそうだが)、何かの拍子で殺人者の側に行ってしまうのは、極々自然であろう。

    0
    2022年03月19日
  • 復讐するは我にあり(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白いです。佐木隆三さんの本は、初めて手に取りました。

    なんで手に取ったか、といいますと、自分の大好きな映画監督、西川美和さんが、佐木氏の「身分帳」という著書を原作にして「すばらしき世界」という作品を撮ったからであり、その映画がそらもう素晴らしかったのと、その映画製作ドキュメンタリー本とでも言うべき「スクリーンが待っている」という西川さんの著書が涙ちょちょぎれるくらい素晴らしかったからです。

    あの西川美和監督がこれほどまでに素晴らしいものを生み出すに至ったところのインスピレーション元である、佐木隆三、という人物はいかなる御仁なるや?という思いから、とりあえずは「身分帳」も読みた

    0
    2022年02月24日
  • 身分帳

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新年1冊目。一気読みした。
    正直、小説とは全然思えなかった。でも、小説なんだね。

    正直星とかつけたくなかったけど、私の人生に影響を与えてくれた本であるという意味で星をつけた。

    すばらしき世界を観て衝撃を受け、原案小説ならば絶対に読まねばならないと購入。もっとはやく観た直後に読めばよかった、、!


    まず思ったことは、西川美和はすごいなということ。これだけ長い小説なのに、この小説が伝えたいことを余すことなく映像化したのは天才だと思う。

    というか、小説を洗練して、映画という形で世に出したように感じる。

    忘れているだけかもしれないけど、映画と違う点で印象に残っているのは、元妻と子供と山川で現

    0
    2022年01月05日
  • 身分帳

    Posted by ブクログ

    映画で、役所広司さんの演技が素晴らしく、不遇な生い立ちと真っ直ぐな性格が犯罪を招いている様を諦めのような悲しさで観た。その後も折に触れ、映画のシーンがフラッシュバックするので原作を読まねばと手に取った。生々しいのは事実だったから。そして著者が主人公のモデルに近しくしていたから。そうならざるを得なかった人々が排除だけされて犯罪を重ねていく世の中に自分を身を置いているのだと突きつけられている。

    0
    2021年12月22日
  • 身分帳

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    役所広司さんの写真のカバーがかかってて、それが本来のカバーよりちょっとサイズが小さくて、「カバーが二重にしてあるな」って気づくしかけなのかな?と思いました。「身分帳」という小説は、随分前に出版されて、その後絶版になっていたようだ。このたび掘り起こされて、映画化に伴い、また本が出版されたということのようだけど、それによって、初版の「身分帳」に関係者の ”その後” が追加されたことによって、このルポの重みがいや増し、感動を呼ぶ…という感じになっている。
    もともとの「身分帳」は、人生の大半を刑務所で過ごした 主人公の田村氏が、刑期満了で出所し、日々を危なっかしく過ごしていく様子がリアルに描かれたもの

    0
    2021年10月02日
  • 沖縄と私と娼婦

    Posted by ブクログ

    性病とか妊娠の危険とかまだ若い子まで晒されていて、それがディープキスの延長だとしか考えられない無意味な大人にはなりたくない。私いたかったのって伝えて欲しがっている女性たちを感じます。

    0
    2021年07月24日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    映画を視聴したのちに購入。
    映画版よりもこちらの方が深みがあるというか、映画版の「行間」の意味が分かったともいうか。とはいえ、映画版との展開と違うところも多いが。

    0
    2021年07月04日
  • 日本漂民物語(電子復刻版)

    Posted by ブクログ

    戦後混沌とした日本各地のルポタージュ。カオスがそこかしこにあり、日本はまだまだアジア。今日のめしの心配をし、逞しく生きている日本人たち。そこに潜入(?)し、当事者たちにインタビューを決行する。東北の女、飲み助の夫を捨て、乳飲み子抱え東京へ逃げてきた。そしてキャバレーのホステスに。体ひとつで子育てし「女性」の武器をフル活用。悲哀感なし。軍艦島の内部、炭坑閉鎖直後の様子。祖父から3、4代続いた炭坑生活もそろそろ終焉。そこで意見が分かれる父と息子。どちらの意見も人間らしい。最後の親父の言葉がいっちゃん真実。

    0
    2017年07月16日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    新装版となり、地名が実名になって読みやすくなりました。
    実在の事件の詳細は知りませんが、まるでノンフィクションを読んでいるかのようなリアリティーがあります。
    ここまで、人間って悪人になれるのかという印象を受けました。

    0
    2016年12月24日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    綿密な記録調の文面に最初は「うへぇ…」となりますが徐々にクセになり、やがて著者の気迫に圧倒されます。何も知らず読んだだけにチャクラ全開になりました。そして私はこれ以上にかっこいいタイトルを持つ本を知りません。奇しくも先日著者の訃報が流れ、驚きました。。素晴らしい本でした。

    0
    2015年11月01日
  • 慟哭 小説・林郁夫裁判

    Posted by ブクログ

    [揺れた人]1995年3月に発生した地下鉄サリン事件の実行犯の1人であり、オウム真理教の「治療省大臣」だった林郁夫。ある罪に関する取調べ中に、「サリンをまきました」と突如告白したその男は、裁判を通して自らが犯した罪への反省をのべ、教祖であった麻原彰晃(本名:松本智津夫)に対する「対決」を挑む。彼とその裁判を徹底して追跡した作品です。著者は、『復讐するは我にあり』で直木賞を受賞した佐木隆三。


    松本智津夫が法廷で沈黙を貫き通したことにより、「真実は闇の中」という見方が定着した感のあるオウム真理教に関する事件ですが、本書のあとがきで述べられるように、少なくともその一端を林郁夫という男が明らかにし

    0
    2015年09月30日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ずーっと昔に観た映画も凄かったが、原作も期待に違わず圧倒されました。まったく無駄のない文体が、迫真性を際立たせています。一気に死に追いやる残忍さと、いともたやすく人を欺く知能犯ぶりが一人の人間のうちに同居する、化け物のような犯罪人榎津の恐ろしさが伝わってきました。実際に起こった事件をもとに作られたのですが、本当に「事実は小説より奇なり」ですね。

    0
    2015年09月12日
  • 復讐するは我にあり

    Posted by ブクログ

    創作部分もあるドキュメンタリー。この世の中に榎津のような人間は多く居るのだろうけど、それを実行に移す者が出てこないだけなのだろう。新約のローマの信徒への手紙にある一節「復習するは我にあり」を題名とした著者のセンスは、榎津が犯した犯罪や、それを詳細に綴った本作の内容にも増して凄いと感じた。

    0
    2014年07月03日
  • 慟哭 小説・林郁夫裁判

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    そんなつもりはなかったのに、
    誰かを救おうとして、または自分が救われようとして、なぜかいつのまにか彼は犯罪者になった。これは怖い。本当に怖い話だ。でもかけがえのない教訓だ。

    0
    2012年10月24日
  • 慟哭 小説・林郁夫裁判

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    元オウム真理教信者、医療省大お臣、林郁夫の話。小説となってるが、ほぼ実話。オウム信者の林が教祖の呪縛から逃れ、犯した罪を認め、真摯に謝罪するまで。

    0
    2011年02月08日