佐木隆三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
殺人罪で懲役10年の実刑を受け、満期出所した実在の人物のドキュメンタリ-的な小説。
役所広司主演の映画「すばらしき世界」で、直情型の主人公が社会になじむために懸命に努力する姿が感動的で、これは原作を読まなくてはと思った。
服役態度が悪く、看守や他の囚人に暴力をふるって「懲罰太郎」と呼ばれて、仮釈放ではなく満期出所となった主人公の山川一(やまかわはじめ)。
安アパートに一人で暮らすことななるが、高血圧の持病があり、思うように働けず、生活保護を受けることになる。
普通に暮らそうという意思はあるが、アパートで騒ぐ住人に「静かにせんかい」と文句を言いに行き、反抗的な相手にヤクザ的な脅しをかましたり、街角でおじさんを恐喝している反社をボコボコにしたりと危なっかしいが憎めないキャラクターだ。
周囲の助けもあって、警察沙汰にはならずなんとか運転免許を取得したり、少しづつ社会になじもうとしていく。
”「行路病死人」小説「身分帳補遺」”では、急病で孤独死してしまう山川を作者やかかわってきた人たちが主人公を偲ぶ話が付いている。
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Posted by ブクログ
佐木隆三『証言記録 沖縄住民虐殺 日兵逆殺と米軍犯罪』徳間文庫。
1982年に徳間文庫から刊行されたノンフィクションの新装版。
佐木隆三が実際に沖縄に暮らしながら、沖縄住民の証言を集めたノンフィクションである。
読んでいて怒りが込み上げて来た。
戦後80年、石破茂がアメリカを同盟国などと言っているが、安保条約の名の下に未だにアメリカによる日本の一部領土支配が続いているし、ロシアによる北方領土の不法支配も続き、領土返還は果たされていない。そういう点では、日本は未だに戦時中であると言っても良いのではないだろうか。
ベトナムに派遣された米軍兵士の数は50万人で、沖縄はベトナムの4分の1の面積にも関わらず、45万人もの米軍兵士が殺到した。当時の沖縄に暮らす日本人が49万人余りであったことを考えると異常なことである。また、それだけ沖縄での日米の戦闘が住民を巻き込み、悲惨極まりなく、苛酷を極めたということなのである。
しかし、沖縄の住民にとっての敵は米軍だけではなく、日本軍も敵であったのだ。日本軍は、沖縄の住民を日本人とは異なる琉球人と蔑み、住民から食糧を略奪したり、赤ん坊を毒殺して母親を慰安婦扱いしたり、住民にスパイの疑いをかけ、殺害したりと極悪非道の限りを尽くしたのだ。
与党の石破茂率いる自民党が国民の民意を無視し、裏金を集めたり、税金の無駄遣いを行うのは日本軍の極悪非道な行為と何ら変わりがない。
さらに米軍による強姦や殺害事件は終戦後も続き、加害者は一様に罪を逃れるのだ。そればかりか、安保条約締結により沖縄は長らくアメリカの植民地として扱われ、沖縄が日本に返還された後も沖縄に在留する米軍による強姦や轢き逃げ事件は後を絶たない。そして、現在でも日米地位協定により加害者は米軍により護られているのだ。
先日の参議院選挙で参政党が日本人ファーストを唱え、核兵器による武装の方が軍事費は安上がりだと述べて、マスコミなどからバッシングを受けたが、まさに参政党の言う通りではないかと思う。所詮、アメリカ人などは日本人は黄色い猿くらいにしか思っていないのだ。そんなアメリカ人などには乱れた自国にお帰り頂き、日米安保条約、地位協定は廃止、核兵器による武装で自国の防衛を行うのだ。
本体価格930円
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Posted by ブクログ
読み終わったあとにノンフィクションと知って驚愕。
身分帳の後ろに収載されてる行路病死人を読んでるうちに、あれ?っとなり少し混乱した。まさかノンフィクションとは。
無知も甚だしく恥ずかしいのだが、「復讐するは我にあり」という名前は聞いたことがあったが佐木さんの作品だった。またこの身分帳は西川美和監督の元で映画化されている(アマプラで見れる)2020年、超最近である。
複雑な気持ちが交差してなかなか言葉にはできないが。戦後親から捨てられ孤児院に馴染めず悪い道に入っていく過程、獄中での生活態度、自分の主張は何があっても曲げられず執拗に自分の中の正義を正そうとするところ等々。読んでて苦しい。幼少期に何があっても100%で守ってくれる存在がいるってだけで幸せなんだな。多分彼は愛ある環境で生活できていたら絶対違う人生になっていたと思う。それくらい環境っていうのは大事なんだなと思う作品だった。出所後、絶対にうまくやっていけないと思われたが、周りの人たちの温かさや、本人の努力があって最後まで普通の社会で生きていけた事は立派であるという他ない。精神的病を持ちつつ独りで生きていく事は大変だ。彼は社会に出てもがきながらホントによくやったと思う。
手に取るように彼の事が立体化して浮かびあがってくる作品だった。
翌日。アマプラですばらしき世界を見た。こちらも秀作だ。骨子となるところは原作に忠実に再現されていて、心の動きは挿入されているエッセンスに散りばめられている。原作には書かれていなくても普通の社会を生きる毎日の中で沢山辛いこともあっただろう。元いた場所には戻らないため歯を食いしばって生活されてたんだなと苦しくて切ない気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
映画「すばらしき世界」を観て、原作を読みたくなった。
映画とは違い、もう少し多く主人公の出所後の生活が描かれており、小説の世界を楽しむことができた。
生きづらさという点において、前科者であるからということより、この主人公の性格が占める部分が大きいのだろうが、育った環境や境遇のせいもあり同情する部分は少なくはない。
最後に追加されている「行路病死人」では、主人公のモデルとなった人物のリアルな部分を知ることができ、小説の主人公よりもヤクザものであったのではないかという印象を持った。
おそらく自分の人生では関係を持つことはないであろう世界の人の話で面白かったと同時に、実際にそのモデルとなった人物と付き合いながらこの小説を書いた作家の労力と迫力に感心もした。