佐木隆三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和・平成にわたって世の中を騒がせた
いや、世間が騒いだ18件の殺人事件を
裁判傍聴業などして、ずっと取材してきた作家が
ノンフィクションなど自身の過去の作品にからめて振り返っている
一章から一八章まで
わたしが記憶しているものもいくつかあり
たとえば
場所は千葉、女医の妻殺人の医師藤田正
金沢の老舗菓子舗のおかみになっていた福田和子
連続幼女誘拐殺人の宮崎勤
和歌山毒カレー事件の林真須美
オーム真理教事件の浅原彰晃
大阪池田小大量殺人事件の宅間守
などなどの18件のおぞましくやりきれない殺人事件の犯罪者の人物
その後の顛末や詳細を冷静に簡潔に書いてある
フィクション -
Posted by ブクログ
星3.5
久しぶりの佐木隆三さん。
殺人百科もそうだけど 1人の犯人についての分量が少ないので さらっと読めるけど 物足りない部分もあり。
むかし 死刑囚ものをたくさん読んでたときに 手記を読んだ死刑囚もいて その時は知らなかった前科前歴を今回初めて知って 今更ながら 自分の甘さに気がついたっていうか。
最近の事件はちょっと変わってきてるけど その当時は 確かに罪は重いけど そこに追い込まれた犯人の事情も重いものがあったり そこで一線越えてしまう犯人とわたし自身って そこまで大きく違わないんじゃないかとか 警察の捜査の仕方もどうなの?とか いろいろ考えて。でもやっぱり手記って 客観的じゃない部 -
Posted by ブクログ
佐木隆三と言えば『復讐するは我にあり』が真っ先に浮かぶ。
この作品は原作よりも映画を先に観た。映画を観て大分経って
から原作を読んだ。
犯人が中華料理店に立てこもり、パンツ姿で逮捕・連行された
『深川通り魔殺人事件』は事件自体のインパクトも大きかったが
作品で綿密に描かれた犯人の「電波に憑りつかれている」と
の言い分に、やりきれないものを感じた。
大事件の裁判になると必ずと言っていいほど佐木氏のコメント
が報道される。ご自身が「作家・裁判傍聴業」と名乗っている
ほど、裁判傍聴歴は半世紀にもなる。
その裁判傍聴半世紀の間に出会った18の事件の回顧録が本書。
それぞれの事件への考察というより -
Posted by ブクログ
ネタバレ18名の殺人者たちを取り上げ、その取材方法からインタビュー内容、佐木さんが感じ取ったそれぞれの事件に対する思い。
それらが1冊にまとめられた本。
「復讐するは我にあり」が初めての犯罪小説だと思っていたけれど、佐木さんはそれ以前に「偉大なる祖国アメリカ」という本を書いていた。
沖縄で起きた少女殺害事件を扱った小説らしい。
多分にフィクションも入っているようだけれど、根幹を成す部分は取材に基づいているようだ。
残念ながら取りあげられた事件の多くをリアルタイムでは知らない。
けれど、犯人の多くが「自分は理不尽な扱いを受けている」と感じているところが興味深かった。
世の中には思うようにならないことが多 -
- カート
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試し読み
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現代社会のゆがみが引き起こした犯罪。罪を問われる被告人は、裁判では孤立無援の存在となる。そこで温情あふれる若き判事補が婚約者の応援を得て事件を解明していく。叡智と温情で裁く連作裁判小説集。
1995年の刊行。親本は1992年の刊行。
現実の事件にヒントを得たまったくのフィクションであるというが、確かに何処かで聞いたようなネタである。著者は、連載途中から全国の裁判を傍聴して回るようになったという。現在、傍聴マニアの存在が知られ、各種傍聴記録が作品として出版されていることをみると隔世の感もある。小説の中で、法廷でのメモを禁止される件があるが、現在は当たり前になっている事柄は、実が当たり前では -
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「文庫本あきとがき」で著者自身も書いているが、手法としてはカポーティ
の名作『冷血』と一緒か。
実際にあった事件のノンフィクション・ノベルだが、犯人の名前は勿論
変えている。
九州での強盗殺人事件を皮切りに、静岡県で旅館経営者の親子を殺害。
殺害後、旅館に質屋を読んで物品を処分する。
その後、弁護士を装い、千葉県、北海道、栃木県、東京で詐欺を働き、
東京では老齢の弁護士を殺害し、洋服ダンスに死体を隠したアパート
で数日過ごす。なんだ?この神経は。
そして、舞い戻った九州で再度弁護士を装い教誨師に接近するも、
11歳の娘に正体を見破られあっけなく逮捕される。
昭和38年から昭和39年の