佐木隆三のレビュー一覧

  • 復讐するは我にあり

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    高度成長期の日本を震撼させた。連続殺人鬼、榎津巌。78日間の逃亡劇から、逮捕、裁判、死刑執行までの一人の殺人犯のノンフィクションノベル。
    モデルは、西口彰事件。(昭和38、39年)
    こちらは改訂版で、当時30年ぶりに全面改訂され出版されたもの。
    最初の殺人事件から、全国を転々とし、その間、大学教授や弁護士などと偽り、各地で詐欺を働きながら逃亡生活を切り抜ける。
    かなりの取材をされているのでしょう。詐欺の手法から、被害に遭った人達の人柄から生活まで、丁寧に時間を追いながら書かれている。
    あくまで、事件そのものを追う。ノンフィクションということに重点を置いたためか、犯人の心情や行動動機などは、よくわからない。
    犯人は、キリスト教カトリック信者であった。タイトルも新訳聖書ローマ人への手紙から取られている。
    長い間、このタイトルからハードボイルド系の何かだと思っていたことがある。神のみぞ罪に審判を下せる的な意味だと思うけど、犯罪は法律で裁いて良いのではと思う。文章は読みやすいし流れもよくわかる。でも、直木賞はノンフィクションでない方が良いなあとも思った。

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    2023年11月01日
  • 身分帳

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    引き込まれはした。共感はできないけど。
    いろんな人がいる。いろんな人の正義はある。自分は間違っていない、と思うことは怖い。正確なジャッジは誰ができるんだろう?

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    2023年10月30日
  • 身分帳

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    【2023年89冊目】
    本編を読み終わってから、「これ、実在の人物を元にしてるんか」とわかり、ちょっとびっくりしました。どうりで、刑務所での心得とか、ものすごく詳細に載ってるなとは思ったんですよね。9割ノンフィクションで、若干フィクションも入れてるのかな、くらいの話。

    なんというか、認められないという辛さをものすごく突きつけられる話で、途中まで結構精神的にやられてました。信用しようとしてる人、したい人、してる人に揃いも揃って冷たくあしらわれるの、病みそう〜。

    最後は「え、ここで終わるの?」と思いましたが、補遺を読んで納得といえば納得でした。補遺の文体がバラバラしてるのはどうにかならなかったのだろうか。「事実しか書けない作家さん」ということで、リアルな部分を表している、ということなのだろうか。

    映画にもなったようですが、元の話が決して明るい終わり方ではないのでどう落とし前をつけているのかはちょっと気になるところですね。

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    2023年08月04日
  • 身分帳

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    思ってたのと少し違ったな、、映画の予告見た時はかなり興味をそそられたのだが。。
    ただ作品が仕上がってないのにも関わらず、出版され、されに映画化されたところは凄いなーと素直に思った。
    別所さんの演技は読み終わった後でもやっぱり見てみたい。

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    2022年08月11日
  • 身分帳

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     近代小説の原型は、一人の無名の主人公、つまり新しい人間、いわば真っさらな人間が、われわれが生きているこの現実、この社会、この日常世界の中へと、一歩ずつ強引に分入って、踏み進んで行くところを描くものだ。だから、行動があり、事件が生じ、性格が発揮される。
     その結果、第一に、人間とはどういう生き物なのか、どういう存在なのか、ということについての新しい視点を得る。
     第二に、真っさらな新しい人間の眼で見るために、われわれがこの自分の皮膚のように馴染んでいると思っている「日常」にも、意外に鋭いぎざぎざの断面があって、傷付けることなしには容易に人を受け容れないのだ、という新しい視点を得る。
     事実、この「身分帳」では、主人公が社会復帰しようとしても、「日常」というものには、何か透明の厚いバリアー、鉄条網の棘のようなものがあって、そこに分け入ろうとしても入れず藻掻く姿が描かれる。
     ふと、われわれは質問を抱く。犯罪を犯すに至る主人公の性格が歪んでいるから、日常や社会と一致しないのか。それとも、日常や社会の方が歪んでいるから、この自分は「浦島太郎です」という、単純に人間的であろうとする者と一致しないのか。
     真っさらな人間が「日常」と遭遇する、悲劇が描かれる。

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    2022年07月18日
  • 復讐するは我にあり

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    ネタバレ

    重い。 

    救いがない殺人鬼。
    関わった全員を不幸にする…これが現実かと呆然とするしかなかった。

    何度も言うが…救いがない…

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    2022年04月03日
  • わたしが出会った殺人者たち

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    昭和・平成にわたって世の中を騒がせた
    いや、世間が騒いだ18件の殺人事件を
    裁判傍聴業などして、ずっと取材してきた作家が
    ノンフィクションなど自身の過去の作品にからめて振り返っている


    一章から一八章まで
    わたしが記憶しているものもいくつかあり

    たとえば
    場所は千葉、女医の妻殺人の医師藤田正
    金沢の老舗菓子舗のおかみになっていた福田和子
    連続幼女誘拐殺人の宮崎勤
    和歌山毒カレー事件の林真須美
    オーム真理教事件の浅原彰晃
    大阪池田小大量殺人事件の宅間守

    などなどの18件のおぞましくやりきれない殺人事件の犯罪者の人物
    その後の顛末や詳細を冷静に簡潔に書いてある

    フィクション、ノンフィクションどちらが好きか
    と問われればわたしは断然フィクションがいいし
    それもファンタジーに走らず
    ミステリに近く、ストーリーが複雑で
    なお、文学性に富んでいる本が好みなのであるが

    しかし、この本はノンフィクションであるのに
    あまりにも文学的な文学だと、とても感心してしまった次第

    それは佐木さんも背中を押され、この本の解説者も指摘しているように
    「文学とは人間という不可思議な生き物の正体に、どこまで迫れるかだ」
    という埴谷雄高さんの言葉に表れている

    それは理不尽な殺人事件を起こしてしまった
    死刑や無期懲役になったおぞましい最低と言える犯罪者を
    普通の人間の隣人であると思うことである
    「日常の陰の隣人たち」(佐木さんの言葉)

    おそましい、おぞましいと読みながら
    果たして自分が、自分の周りがほんとうに正常かあるいは清浄どうか
    だんだんとわからなくなってくるのである

    また
    後期高齢者になった作者自身の自分史のようなものまで
    率直に書き込んであることに好感を持った

    北九州の郷里に戻られ、妻子とも別れ
    海の見える高台で、畑を作りながらの一人暮らし
    といいながらこのような書き物もしていらっしゃるのであるが

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    2020年06月11日
  • わたしが出会った殺人者たち

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    星3.5
    久しぶりの佐木隆三さん。
    殺人百科もそうだけど 1人の犯人についての分量が少ないので さらっと読めるけど 物足りない部分もあり。
    むかし 死刑囚ものをたくさん読んでたときに 手記を読んだ死刑囚もいて その時は知らなかった前科前歴を今回初めて知って 今更ながら 自分の甘さに気がついたっていうか。
    最近の事件はちょっと変わってきてるけど その当時は 確かに罪は重いけど そこに追い込まれた犯人の事情も重いものがあったり そこで一線越えてしまう犯人とわたし自身って そこまで大きく違わないんじゃないかとか 警察の捜査の仕方もどうなの?とか いろいろ考えて。でもやっぱり手記って 客観的じゃない部分とか 自分に都合悪いことはかかないとか そのまま鵜呑みにしちゃダメなんだなって思った。ある意味ショーゲキだった。
    勉強になりました。

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    2017年08月29日
  • わたしが出会った殺人者たち

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    佐木隆三と言えば『復讐するは我にあり』が真っ先に浮かぶ。
    この作品は原作よりも映画を先に観た。映画を観て大分経って
    から原作を読んだ。

    犯人が中華料理店に立てこもり、パンツ姿で逮捕・連行された
    『深川通り魔殺人事件』は事件自体のインパクトも大きかったが
    作品で綿密に描かれた犯人の「電波に憑りつかれている」と
    の言い分に、やりきれないものを感じた。

    大事件の裁判になると必ずと言っていいほど佐木氏のコメント
    が報道される。ご自身が「作家・裁判傍聴業」と名乗っている
    ほど、裁判傍聴歴は半世紀にもなる。

    その裁判傍聴半世紀の間に出会った18の事件の回顧録が本書。
    それぞれの事件への考察というより、事件を引き起こした犯人
    にまつまわる思い出エッセイという感じか。

    「自分のことを書いてくれ」と手記を送りつけて来る犯人って
    結構いるんだね。それがきっかで作品になったりするんだが、
    犯人の言い分を丸呑みするだけじゃ「作家」とは言えないんだな。

    裁判に通って周辺を取材し、事実関係を積み重ねて、時には
    犯人の身内に遠慮がちに接したり。

    「事件」を描くことの難しさってあるんだろうな。読む方は
    好き勝手に批評していればいいのだけれど。

    深川通り魔殺人事件の犯人に対しては、改めて切なさを感じた。
    事件を起こす以前に誰かが病院へ連れて行ってあげれば防げた
    かもしれないのに。

    読み終わって『復讐するは我にあり』の映画を観たくなった。

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    2017年08月20日
  • わたしが出会った殺人者たち

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    ネタバレ

    18名の殺人者たちを取り上げ、その取材方法からインタビュー内容、佐木さんが感じ取ったそれぞれの事件に対する思い。
    それらが1冊にまとめられた本。
    「復讐するは我にあり」が初めての犯罪小説だと思っていたけれど、佐木さんはそれ以前に「偉大なる祖国アメリカ」という本を書いていた。
    沖縄で起きた少女殺害事件を扱った小説らしい。
    多分にフィクションも入っているようだけれど、根幹を成す部分は取材に基づいているようだ。
    残念ながら取りあげられた事件の多くをリアルタイムでは知らない。
    けれど、犯人の多くが「自分は理不尽な扱いを受けている」と感じているところが興味深かった。
    世の中には思うようにならないことが多い。
    というよりも、ほとんどが自分の思惑とは違う方向へと流れていってしまうのがあたり前だ。
    何をきっかけに人を殺してしまうような犯罪に手を染めてしまったのか?
    元々そういう本性を持ち合せていたのか、それとも後天的な環境がそうさせたのか。
    読み終えて感じたのは、やっぱり理解できない・・・だった。
    獄中婚をする死刑囚もあり、誰かを大切に思うことで人間らしさを取り戻していくこともあるらしい。
    でも、それでは遅すぎる。
    奪った命は二度と戻らないのだから。

    永山則夫を取り上げた章が特に興味をひいた。
    高裁で無期懲役の判決を受けた永山に対し、検察側は「判例違反」として上告をする。
    論点は次の3点だった。
    ・4人も殺した被告人が死刑を科せられなかった前例がない。
    ・「いかなる裁判所がその衝にあっても死刑を選択するであろう程度の情状がある場合に、限定されるべき」との見解は以後の死刑判決のできなくする。
    ・世論や被害感情からみて無期懲役は納得できない。
    高裁では
    ・永山の年齢が19歳を越えたばかりだったことと、精神的な成熟度において18歳未満の少年と同視しうる状況だったと認めらられる点。
    ・収監中の永山に大きな変化があらわれたこと(反省と贖罪の気持ちが著しい)。
    ・印税を被害者の遺族におくり、慰籍の気持ちをあらわしている。
    を理由に、被害者の冥福を祈らせつつ、生涯を贖罪に捧げしめるのが相当という意見だった。
    だが永山は結局死刑となる。
    そして現在、「永山基準」というあらたな基準が前例として使われることが多い。
    判例主義の裁判において、永山の起こした事件がひとつの指針になっている。
    人として最低限の環境を与えられるのは憲法で定められた国民の権利だ。
    けれど、永山にはその最低限の環境すら与えられなかった。
    時代が違う・・・と言ってしまえばそれまでなのだけれど。
    それぞれの事件がどれも凄惨で極刑もやむを得ない、と思うものだった。
    時間をかけて取材をし、ノンフィクション・ノベルという分野を作り上げた佐木さんには敬意を表したい。

    「殺人者と他の人間との違いは程度の差であって、種類が異なるのではない」(コリン・ウィルソン)
    佐木さんはトルーマン・カポーティの「冷血」に強い刺激を受けたと書いている。
    上記の言葉は、イギリスの評論家コリン・ウィルソンの「殺人百科」に書かれている一文である。
    道を踏み外すかどうかは、結局その人自身にかかっているのだろう。

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    2017年03月01日
  • 復讐するは我にあり

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    実際にあった事件を題材としたノンフィクション的作品。淡々と経過が書かれており、読みにくい部分もあった。

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    2015年11月04日
  • わたしが出会った殺人者たち

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    以前、『慟哭』という林郁男を扱った話を読んだ。ただ、今作に手を伸ばすかかなり悩んだ。

    私の記憶にないものも沢山あるが、林真須美や宅間守など、しっかりと焼き付いているものもあり、改めて事件を振り返ると震撼する。

    死んでしまった罪もない人たちに、解決という結末はない。

    けれど、同じ人である以上、何故そうなったかを「理解しようとする」働きが私の中にもあるのだな、と感じた。

    人としての原型が分からないモノほど、恐ろしいものはないと思う。

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    2014年10月19日
  • 千葉大女医殺人事件(電子復刻版)

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    ネタバレ

    事件については全く知らなかったが、佐木さんの本ということで読んでみました。
    正直、よく分からなかった。
    本の内容がということではなく、なぜこういう事件が起きたか、だ。
    二人を取り巻いていた事実は分かるけれども、どうにも法廷で語られている経緯とはしっくりこないようにも思えた。

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    2014年08月20日
  • 深川通り魔殺人事件

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    川俣軍司、その名は頭に焼き付いている。いかにも犯罪者っぽい名前だし、逮捕直後のブリーフいっちょで確保された姿をTVや新聞で見て、随分みっともないなって印象が残っている。その記憶があまりに強いから、残忍な事件だったのは確かでも、どんな状況で何人が犠牲になったのかを忘れていた。

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    2014年06月16日
  • 慟哭 小説・林郁夫裁判

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    ノンフィクションノベル。

    林郁夫の逮捕から供述、そして彼に関わる裁判が描かれている。
    不思議なのは、2008年初版の文庫本なのに、現時点で再版されていない?ということ。
    なので中古で購入。

    この話を読む限りでは、否定しきることの出来る人物ではない。
    救いたいという思いがあったけれど、事件の被害者には救われたいという思いはなかった。それが単なる殺戮でしかないことに、遅れながらも彼は気付く。

    自分が救われたいと願うことより、誰かを救ってあげたいと願うことの方が余程危険なのではないか。

    先日読んだ『アンダーグラウンド』も三回読んだと書いていた。読まなければならないものであった、と。
    こういう所にも、繋がりがあって面白い。

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    2014年03月28日
  • 復讐するは我にあり

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    第74回 昭和50年下直木賞受賞作。欲望の赴くままに強盗殺人と詐欺を重ねて日本中を逃走する犯人と彼を追う警察との追走劇。実際に発生した事件を題材にしており、犯人と被害者、彼らの家族や知人、警察・法曹関係者たちのそれぞれの立場での描写が生々しく迫ってくる。「週刊新潮」編集部シリーズのようなノンフィクションノベルが好きな人におすすめ。1979年に映画化された今村昌平監督の同名作品は犯人役の緒方拳や三国連太郎、倍賞美津子らの迫真演技と脚本の良さにて小説の雰囲気をそのまま楽しめる。こちらもおすすめ。

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    2013年12月11日
  • 復讐するは我にあり

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    緒形拳や柳葉敏郎などにより何度も映画化、ドラマ化された大量殺人実話。
    鬼気迫る演技ばかりに気を取られるが、実話は更に狂気じみている。戦後史に残る事件として驚きに満ちているの。

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    2012年08月29日
  • 正義の剣

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    現代社会のゆがみが引き起こした犯罪。罪を問われる被告人は、裁判では孤立無援の存在となる。そこで温情あふれる若き判事補が婚約者の応援を得て事件を解明していく。叡智と温情で裁く連作裁判小説集。

    1995年の刊行。親本は1992年の刊行。
    現実の事件にヒントを得たまったくのフィクションであるというが、確かに何処かで聞いたようなネタである。著者は、連載途中から全国の裁判を傍聴して回るようになったという。現在、傍聴マニアの存在が知られ、各種傍聴記録が作品として出版されていることをみると隔世の感もある。小説の中で、法廷でのメモを禁止される件があるが、現在は当たり前になっている事柄は、実が当たり前では無く、先人達が勝ち取って来て、今があると教えてくれる。
    剣と天秤を持った「正義の女神」の像は有名ですが、目隠しをしているものもあります。私は目隠しは予断や偏見を排除するためだと思っていましたが、著者は作品の中で、裁判長に「正義と称するものは、必ずしも裁判で実現しない。正義は一つと限らず、二つあるかも知れない。ある事実を明快に認定することで、逆の結論になることもある。だからボカす為に、目隠しが必要な場合もある」と言わせている。
    根拠がある説なのか、まったくの創作なのかは解らないが、犯罪者を厚生させるという視点からみると頷ける面もあり、なかなか深く面白い見方である。

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    2012年07月23日
  • 復讐するは我にあり

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    「文庫本あきとがき」で著者自身も書いているが、手法としてはカポーティ
    の名作『冷血』と一緒か。

    実際にあった事件のノンフィクション・ノベルだが、犯人の名前は勿論
    変えている。

    九州での強盗殺人事件を皮切りに、静岡県で旅館経営者の親子を殺害。
    殺害後、旅館に質屋を読んで物品を処分する。

    その後、弁護士を装い、千葉県、北海道、栃木県、東京で詐欺を働き、
    東京では老齢の弁護士を殺害し、洋服ダンスに死体を隠したアパート
    で数日過ごす。なんだ?この神経は。

    そして、舞い戻った九州で再度弁護士を装い教誨師に接近するも、
    11歳の娘に正体を見破られあっけなく逮捕される。

    昭和38年から昭和39年の初めにかけての、78日間の逃亡はこれにて
    幕を閉じる。

    取り調べの模様から裁判、そして死刑執行までを描いているが、描写は
    あくまでも淡々としている。殺人は確かに起きているのだが、その凄惨な
    場面は一切なし。まるで新聞記事を読んでいるようだ。

    日本縦断で犯行を繰り返した犯人の動機は分からないが、カトリック一家
    に生まれ育った犯人が最後には死刑判決を受け入れ、信仰に帰依する。

    緒方拳主演の映画では犯人像ばかりに焦点が当てられていたが、原作は
    逮捕から刑の執行までの心理の推移が読みどころか。

    尚、モデルとなった西口彰事件の犯人は「史上最高の黒い金メダル
    チャンピオン」「悪魔の申し子」と呼ばれ、1966年に死刑確定、4年後に
    刑場の露と消えた。

    呼んでいる間、緒方拳の顔がちらついて仕方なかった。同名映画もそうだが、
    「鬼畜」も観たくなったなぁ。

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    2017年08月16日
  • 慟哭 小説・林郁夫裁判

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    読みながら犯人はいったい、いつになったら現れるんだろう・・と思っていたら、突然現れました。とは言っても、心の中では(まさかね~)とは思っていたのですが、思わずひっかけられました。

    まず、『この人が犯人だろう』というのは分かっていましたが、この犯人、最後まで冷静で、かといって普通の人かと言えばそうではなく、常識で考えれば、そんなことはありえない、と分かっている事を信じこもうとした所にこの人の悲しみの深さがあったのかもしれません。

    読んで、楽しくなる内容ではありませんが、ハラハラするミステリーを読みたい方にはお勧め。

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    2012年02月20日