継続は、精神力や根性ではムリムリ!!
私は辛く苦しい時に本に癒しを求めるのですが、先日大切にしていたモノをなくした時、失意を慰めるべく、「本を読んで新しい自分になりたい」と思わずこのタイトルに手が伸びました。
ミニマリズムがいかに生活の質、ひいては自分のメンタルにいい影響を及ぼしたか、を著者の体験を通してとても分かりやすくフレンドリーな文体で書いたベストセラー『ぼくたちに、もうモノは必要ない』。その著者がミニマリズムの次に選んだテーマは『習慣』。
続かないダイエットやジム通いはなぜ続かないのか、そしてどうすれば続けられるのか。習慣のメカニズムを、偉人たちの習慣や著者の持論をもとに紐解いてくれます。
『天才たちの日課』やそれ系の書物からの引用が多く、それらをより分かりやすく、読みやすくキュレーションしてくれていて、そこに体験談を交えて著者の感情ごと伝えてくれています。読んでいて、言葉遣いは至極フランクだけど、気遣いは丁寧だと感じました。説教くささや上から目線は一切感じません。
序盤でまず告げられる、「続かないのは自己否定感のせい」という理論に膝を打ちました!習慣化できなかった時というのは、決めたルーティンを守れなかった→そんな自分に自己嫌悪→再起できず結局やめてしまう、というバッドエンドルートを辿っている、と。だからどんなに小さな一歩でもいいから毎日つづけられるレベルで、自己否定なく続けることが大事だと。
もちろんどんなことも続けることは大変なものです。ダイエットを決意しても、買い物に入ったコンビニやスーパーは誘惑で溢れています。食べれば美味いと分かっているものを断ち切るのは、相当な精神力が必要です。いや、人類史の長きにわたって脳にインプットされた「糖分への欲求」は、精神力だけでは断ち切るのは難しいでしょう。酒や薬物の依存症と変わりません。継続のために大事なのは誘惑を断ち切る精神力でなく、誘惑されない環境づくりや、誘惑を誘惑と感じないような価値観のアップデートだと気づかせてくれたことが、この本から得た一番の収穫でした。
私も10年吸ったタバコは、一切の根性を見せることなくやめています。ある日急に湧いた「次のタバコを何時間吸わずにいられるか」という興味にはじまり、吸いたい衝動よりも「おいおい〜、吸わないでもう10時間たってるよ」というノリが勝ちつづけ、しまいにはタバコを意識することすらなくなり、今度は吸わないことが習慣になったのです。後で振り返って、あれは価値観を上書きできたのだと思いました。
客観的な視点、もうひとりの自分って視座も大事だとも学びました。この本で「習慣は自分との約束」「(自分のことを)第三者の目線で考える」「情熱大陸のカメラクルーが自分を撮っていると仮定する」など、自分を客観視するテクニックが紹介されています。私自身、自分で自分をルールで縛ったり、自分で自分を監視することは自然に身についたものの、自分で自分の味方をしたり、自分の機嫌をとったり、自分を慰めたりする技術はとても未熟でした。意識的に取り入れないと身につきにくい技術だと思います。友達にするように、自分を扱うこと!
普段使われている「努力」という言葉には、少なからず「我慢」といった意味の成分が混じっているけれど、それを切り分けるという著者の考えもいいなあと感じました。他人からしたら毎日つづけるのが困難な「努力」に見えても、イチローは「自分は努力してない」と言い切る。それは謙遜ではなく、自分で選択して続けているルーティンだから、そこに「他人から強いられた我慢」がない。自分で選択した行動かどうかという観点が大事なんですね。
親しみやすい文体なのでサラっと読めてしまいますが、その分サラっと忘れてしまいそう笑 でも丁寧に、さんざん先述したこともしっかり何度も書いてくれるので読みながら復習になります。親しみやすく丁寧な作りのこの本は、読んだ直後はそんなに満足感は多くないかもしれないけど、後からじんわりと効いてきそう。それこそ、新たな習慣で得られる報酬のように。