榊原英資のレビュー一覧
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著者(水野さん)は、「より速く、より遠く、より合理的に」は近代の行動原理であり、近代システムが機能不全に陥れば、この原理をひっくり返すしかなく、「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を前提にしたシステム(二十一世紀の「新中世主義」)を構築するこを提唱している。
二十一世紀の「新中世主義」を構築するにあたり、江戸時代中期の生活が参考になるのかもしれません。見えない時代を乗り霧には、実学重視の教育ではなく、人文系の教育が重要性がましているように思います。
著者の榊原さんは、成熟という点では日本は再優等生なのだから、「成長戦略」などといって過去の高成長をノスタルジックに求めるのではなく、成熟の果実を -
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水野さんの前作を読んでからの、今作だったが前半は資本主義経済の成り立ちがメインになっており、ややわかりづらい内容。後半については対談形式になっておりこちらは読みやすかった。
結論、前作を超えるほどのインパクトは無し。やや難しい目でした。以下抜粋
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・超低金利が意味するのは「実物投資空間」の消滅という意味
・一人あたりのエネルギー消費量と、労働生産性は正の相関関係が見られる
・近代にとって無くてはならない、電子機械と自動車産業で不正をしなくては利益が得られなくなったということは、近代の成長メカニズムが破綻したことを意味する。
・株価は上がっても賃金 -
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高校にて進路講演を行う機会が多いため手に取った。何のために学ぶのか、どうしたら将来やりたいことが見つかるのか、に悩める高校生に読んでほしい1冊
・日本では3人に1人が非正規雇用の職。正社員の減少、派遣社員の増加は、まさにグローバリゼーションの結果。
・会社に関係なくビジネスの世界で生き残っていけるのは、他の人に代わってもらうことのできない仕事、スペシャリストの仕事。
・「絶対的優位」というのは、あらゆる点で圧倒的に優れているということで、これはもう一目瞭然の天才ですが、世の中、圧倒的に優れた人というのはそんなにいない。そこで大切なのが「比較優位」。
・プロとは創造的な仕事をする人たちであり、 -
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ネタバレ「失われた10年」「失われた20年」と、ただ年数を重ねて定義しなおすだけでは、能がないですよね。今頃振り返ってみて、「そういえば、そうだね」と腑に落ちたのは、本書にあったこの記述。
成長が鈍化したのではなく、成熟。
「前進するのが善」を疑うこと。
江戸時代が成熟時代のお手本だという指摘に、ハッと我に返った思いがしました。経済が成長をやめ、成熟期に入ったところで文化の花が開いたとのこと。
本当ですね。これからが、本当の心豊かな時代なのかもしれません。
ところでつい最近、1ドル=110円に届く水準まで円安が進み、これまで円安を歓迎していた産業界から、円安を懸念する声が上がりました。
本 -
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この本は、「通説」と「真実」の2項目に分けて、少ない文字数で、やさしく表現しているので、とっても読みやすく、しかも内容は、常識を覆すような所があり、おもしろかった。
偶然、エコノミスト誌の『2050年の世界』と合わせて読んだので、よけいに理解しやすかった。
榊原氏の予測では、
2050年のGDP
1位 中国
2位 アメリカ
3位 インド
4位 日本
読んでて恐い話も出てくる。
ユーロ圏の財政危機から金融危機が発展するのではないかという懸念とは別のところで、世界同時不況という火種が燻っており、世界大恐慌が近づきつつある、とか。それは、中国が不況に陥ったとき。
また、閉鎖的な経済 -
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ネタバレミスター円と呼ばれる著者だけに、為替・通貨を通じた経済認識と世界の状況が述べられている。現在をリ・オリエントへの折り返しの時代と読み、アメリカ、欧州、中国、インドなどのトレンドは参考になる。現在の円相場は、実質実効為替レートでみれば深刻な円高ではないという点も納得。マスコミなどでの通説が古いもので、新たな捉え方はこうだという構成も面白い。
直近の為替相場の動きは説明と違うところもあるが、それだけ思惑で動くものだということなのだろう。世界同時恐慌の虞を言っているが、それでも円預金と国債をもっていればいいというのは本当だろうか?
13-32 -
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超要約をすると….
リーマンショック以来、ヨーロッパを中心に経済の状況は極めて悪く、この状態がすぐに好転することはない。通過は「無極化」状態であり、極め不安定。現在は円高ではあるが、実質実効為替レートではまだ超円高ではない。むしろより円高になる可能性は高い。
さて、以上から筆者の考える対応策。
1)中国とインド
中国はバブルの様相だがこれをはじけさせてしまうと日本経済は苦難に落ちいる。中国をうまく支援して中国経済が落ち込まないようにすべき。インドは親日であり、若者が多いのでまだ成長する。インドで売る事はそれより西の諸国でもビジネスが出来る事。積極的にインドに出て行くべき。
2)TPP
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円高ともデフレとも言われる昨今
著者である榊原英資氏によると『そもそもデフレではない』し実質実効為替レートから見ると『名目70円台は「深刻な円高」ではない』そうだ。
これは以前に読んだクルーグマン著『さっさと不況を終わらせろ』と間逆な内容なので読み比べると面白い
クルーグマンは金融緩和についても「緩和している絶対額がまだまだ足りていない」とあるがこちらでは「これ以上の緩和は無駄」とある
もちろん米国と日本を同列に比べるのには無理があるが通貨安戦争→ドル安に成功した米国が今後(来年)どうなっていくのこは非常に興味深い
榊原氏によれば日銀の政策はまんざら間違っていなく成熟した日本には2〜3%と -
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ミスター円と言われた大蔵省OB榊原氏の本。学術的・専門的な話はなく、財務省・金融庁の組織の話を、固有名詞を交えながら書いている。官僚とはどのような組織で、どのような仕事の仕方をしているのかがわかる本であり、官僚バッシングが激しい昨今、それを擁護する内容になっている。政治家ではなく、実務は官僚が支えており、それは国のことを考えている、そして有名な官僚トップは皆すごい人・・・マスコミで言われている「自分の省益しか考えない人」という姿とは正反対の印象をうける。
どっちが本当の官僚なのかは私にはわからないが、今までの日本の政治を支えてきたのは決して政治家ではなく、官僚の方々だと思う。
霞ヶ関の組織や制 -
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ネタバレ・貨幣的というよりは構造的な現在のデフレに対して金融緩和は意味がない。貨幣供給の増加は株式市場や不動産市場に流れて資産バブルを引き起こすだけであり、白川日銀総裁がインフレターゲットの設定を頑なに拒否するのはまことに適切である。断言している。
・企業、家計を含めた債務が過去最高。経常収支の赤字も過去最高。世界経済を背負っていくだけの力はないアメリカ。金融政策と通貨は統一化されているのに財政がバラバラ。リーマンショックを引き金に南北格差が大きな問題となって顕在化してきたヨーロッパ。これにとって代わると目されているのが中、印。近年とみにその発展がクローズアップされてきているが、そもそも歴史を振り返 -
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ネタバレ円高こそ日本の国益と言い切る榊原英資3年前の著作。全く色褪せていない。
・失われた十年としばしば言われるが、この十年は停滞していたどころか、寧ろ日本企業は戦略と構造を再編し、新しい制度を次々に確立した時代。分野を絞り込み事業を得意分野に集中する選択と集中。そして財務体質の改善により日本企業は劇的な変換を遂げた。但し成熟期に入った日本の製造業は、今再び世界の巨大な転換期の中でさらなる変貌を求められている。
・製造業は中国、インドに追われる立場に変わっている。安価なものを大量に作るのではなくフランスのワイン、スイスの時計のように質の高さに特化し希少価値を高めるブランド商法が肝要。既にアメリカや