著者は、21世紀にはハイテク製品がコモディティ化して値下がりし、代わって資源や食糧が希少品化する、一種の価格革命が起こると予想しています。こうした転換期に直面すれば、経済政策、為替政策も大きく変えざるを得ません。日本は「強い円は日本の国益」だと認識して、それを対外的にも公表すべきである、と強調しています。
著者の榊原英資氏は大蔵省財務官を務め、世界の金融・為替市場で「ミスター円」と呼ばれたスペシャリストです。近年は政治・社会分野にもわたる評論活動で知られていますが、本書では久しぶりに“ホームグラウンド”に帰り、ダイナミックな議論を展開しています。
※本書は2008年9月に東洋経済新報社より刊行された『強い円は日本の国益』を電子書籍化したものです。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
ミスター円こと榊原氏の本。2008年。過去の世界的な経済イベントを解説しており、今後の日本の方向性を提案している。先進国においては、資産を保有している割合が大きいため、サブプライム問題のような大きな資産価値の下落は、そのまま財の下落に通じる。つまり、資産の価値に振られる状況である。一方、途上国は保有...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
サブプライムを皮切りに起こった世界恐慌によって日本では円高が起こった。
しかし筆者は円高こそ歓迎すべき国益であるとしてこれからの日本への提言をしている。
その提言は明確かつ説得力にあふれていて、どれも実現すべきものだと思う。
ただ中間のこの本に威厳をつけるためだけに書かれた円の変遷は正直必要な...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月12日
・売るシステムから買うシステムへのパラダイム・シフト
仮に新しいパラダイムが生まれるとして、製造業はどうしていったらよいのか、考える必要がある。
序章 どうして、今、円高政策なのか
第1章 21世紀の世界経済
第2章 1ドル360円から79円へ
第3章 日本の製造業の成熟
第4章 ドルとユーロ―...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月12日
ー売るシステムから買うシステムへの転換ー
アジア等の新興国の成長や人口構造等の相対的な変化といった、世界経済の構造変化は、21世紀型の価格革命、すなわち資源価格の高等とハイテク商品のコモディティー化をもたらす。
その中で日本経済が生きていくためには、従来の労働集約的な輸出立国から、資本集約、更に技術...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年11月18日
資源・食料の希少品化、そしてハイテク製品のコモディティー化のトレンドが今後ますます加速して行くというのが筆者の主張。他の方も書いてありますが、間に挟んである為替の歴史(ニクソンショックから現在に至る)が冗長すぎて全体が締まらなかった印象でした。ただ筆者の考えは、現在の円高について考える上で参考になり...続きを読む
Posted by ブクログ 2010年01月08日
タイトルから興味をひかれ、衝動買い。
読み始めたころ(大3年秋)、共感したと同時に、いろいろ勉強になった。
日本の携帯市場のガラパゴス状態とかはこの本から学ぶ。
けど、大4に読み直して、
結論の一つ「日本産業は高付加価値産業に集中すれば生き残れる」
というのに疑問もつ。
これからは新興国の低・中...続きを読む