★もう一度、愛する人と出会うために。(p.251)
■要点■
(一)同時刊行の二冊に強いて順序をつけるとしたらこちらが先になるでしょうか。
(二)暦と栞は出会い互いに恋愛感情を抱くがあるできごとを発端に栞は喪われる。暦は和音の協力を得て栞を救うため時間移動の研究を始めるが栞を救うためにはある条件が
...続きを読む必要なことに気づいた。
(三)ある意味こちらも暦と和音の物語でもありますが栞のためだけに生き研究し結果を定める暦は究極のエゴイストです。この世界でも。
■世界観■
世界には揺らぎがあり人は日常的に並行世界との間を行ったり来たりしていることが実証されている。遠い世界への移行はそう多くは発生しないが近隣の世界には知らないうちにちょいちょい行ってすぐ戻ってくるようだ。ちょっとした記憶違いや勘違いの多くはこのせいである可能性もある。この並行世界は自然にあるものなのか、誰かが何か選択したときのみに発生するものかどうかは今のところよくわからない。
■並行世界についての簡単なメモ■
【IEPPカウンター】自分が生まれた世界をゼロとし、現在相対的にどれくらい離れた世界にいるかわかるカウンター。あくまでも目安。生まれたときにつけさせられるウェアラブル端末にインストールされる。便宜上1、2と区切られているが実際はグラデーションのような気もする。誰かの選択によって並行世界が生まれるならその場合は1、2と区切られるのでかまわない。
【アインズヴァッハの門】その門を通るだけで誰でも殺人鬼になってしまう門。
【アインズヴァッハの揺り籠】通称IPカプセル。他の並行世界に移動できる。犯罪に使えそうな危険な装置でもある。命名は佐藤絃子所長だが虚質科学研究所の所員たちはIPカプセルと呼んでいる。
【命】佐藤栞《温かさと冷たさ。あなたの言う通り、きっとその温度差が、命の尊さなんだよ》君をp.42。《あなたが感じたのは、可能性の温度なんだよ》君をp.43
【SIP】→シュヴァルツシルト半径
【女の子】老人になった暦がある場所で出会った。即消えた。一瞬、「たんぽぼ娘」? とか思ったが。
【和音/かずね】瀧川和音。「僕が」のヒロイン。高崎暦の高校の同級生。暦が辞退した生徒総代をつとめた。成績優秀なAクラスでも常に首位の成績を取る。これまで話したこともなかったのにいきなり「暦」と下の名で呼ばれ驚いたがどうやらIP端末のカウンターで85離れている世界から来たと言う。そのくらい離れているともう異世界レベルらしいが? 「君を」では研究所に配属され暦が室長をつとめる研究室の部下になった新人研究者。その後ずっと共同研究者となった。
【ギネス・カスケード】ギネスビールを勢いよく注いだとき泡が液体の中を沈む現象が見られることがある。
【虚質科学研究所】祖父が亡くなったとき十歳の高崎暦がいきなりジャンプした研究所。父が勤めている。並行世界の存在を実証した佐藤絃子が所長となって設立した研究所。高崎暦や瀧川和音の親が所員であり、彼ら自身も後に所員となった。
【虚質素子核分裂症】人間も含む、物体を構成する「虚質」が物体を離れてしまった状態。人間の場合には精神が肉体と離れているという状態で症状となる。
【困った人を助けたい】佐藤栞がいきなり言い出したこと。助けるために困っている人を作り出しかねない勢い。
【暦】高崎暦。「僕が」の主人公。母に引き取られた暦。祖父の家で暮らしていた。地元は大分。両親は離婚したが離婚してからの方が関係は良好になった。並行世界に移行した十歳のときわりと早く理解したのでなかなか柔軟ではある。賢すぎて他者を見下しているところがあるので友人ができない。
【暦】日高暦。「君を」の主人公。父に引き取られた暦。栞と知り合い恋愛関係となるがとあるできごとで彼女を喪いなんとか取り戻そうと研究に没頭する。
【暦の父】研究者。虚質科学研究所の副所長。
【暦の母】実家が資産家。
【佐藤絃子/さとう・いとこ】虚質科学研究所所長。虚質の概念を九州大学理学部在学中に提唱した。昔のアニメ、ゲーム、ラノベが好きでそこに出てきた名詞を使いたがるので話がわかりにくくなる。
【佐藤栞/さとう・しおり】→栞
【栞】佐藤栞。「君を」のヒロイン。佐藤絃子の娘。心優しく、好奇心旺盛で、謎の行動力が発揮されることがある。
【シュヴァルツシルトIP】通称SIP。簡単に言うとある事象が発生した一定の半径内ではかならず同じ事象が発生するという範囲。たとえばSIPの相対値が22プラスマイナス10となっているとき自分の世界が0なので相対値が22離れている世界で事象が発生し、それと同じ事象が起きているのはプラスマイナス10、おおむね12~32の世界で同じ事象が起こっているというような目安。
【高崎暦/たかさき・こよみ】→暦
【宝箱】祖父が暦にくれた鍵のない宝箱。
【瀧川和音/たきがわ・かずね】→和音
【パラレルシフト】佐藤絃子が提唱したときは賛否両論、議論を巻き起こし世界中で研究され、わずか三年で並行世界の存在は認められた。人は日常的に無自覚に(比較的近い)並行世界間を移動している。その場合肉体は移動せず意識(虚質素子)のみが移動している。近い世界では移動期間は短い。この移動のことを「パラレルシフト」と呼ぶ。エンピツなどの物体もシフトしているが意識があるわけではないのでほぼ何事も起こらない。そのものが失われた世界にはシフトできない。ときおり歩いてる最中とかに世界が少しずれたような気がすることがあるけどそんなとき、もしかしたら?
【日高暦】→暦
【並行世界の自分】他の世界の自分は自分と同一人物なのかという命題。それは自分でしょう。パラレルワールドはグラデーション的であっておそらく1とか2とかデジタル的に区切られているわけではないと思います。すべての自分はずっと繋がっている。重なっているのではなく繋がっている(と思う)。まず入れ代わることもない遠い自分もまとめて自分という存在をかたちづくっているのだ(と思う)。自分がいない世界に至るまでは。違って見えても一人の人間の手の形と足の形が違っているというようなもので。なんてことを考えてみてもパラレルワールドは所詮SF的想像に過ぎないけど、まあ思考としてはおもしろい。と、まだ半分読んだか読んでないかの時点で考えてみましたが暦君はどういう思考に落ち着くでしょう?
【ユノ】暦が十歳の頃、母の実家で飼っていたゴールデンレトリバー。
【レオタードの女】とある交差点にある銅像。