上田岳弘のレビュー一覧
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ネタバレ本作に通底しているテーマの一つには「存在証明」があると思う.
無から生み出され,存在が記述され,多くの人に求められることでその価値を保つBTCをはじめ,
「ダメな飛行機」(=飛べない飛行機)という本来の目的を果たせない造形物や
子孫繁栄を命題とする動物の一種でありながら中絶を行う田久保紀子は本来の役割を果たせないものの象徴であり,その例示である.
感情の伴わない涙も,ただ堆く高さだけを誇る塔も.
果たして,本来の役割を果たせないものたちは無価値なものなのだろうか.
本作においてこれら全てに共通して投げかけられるのは「存在」と「価値」の関係に関する問いである.
「ダメな飛行機コレクション -
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「私の恋人」「塔と重力」に比べるとだいぶ読みやすかったが、この人の小説は、人類とか世界とか地球とかをあたかもひとつの生命体のように捉えていて、読み終わってから深く考えさせられるし、一度読んだだけでは理解できない気がする。
登場人物は、ビットコインの「採掘」をする僕と恋人で証券会社に務める紀子、会社の先輩で小説を書くニムロッドこと荷室。
紀子も荷室も高い生産性が求められ、効率化をよしとする現代に適応しきれず苦しんでいるように見える。紀子は、障害があることがわかって胎児を産まない選択をした過去に苦しみ、荷室はうつ病で休職したあと名古屋に異動した。
荷室が送ってくる「駄目な飛行機シリーズ」は、 -
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芥川賞受賞した作者の前作?「ニムロッド」の次の作品かと思う。舞台はいずれも東京都内の、新進気鋭のIT企業又は投資顧問会社?で働く人物が主人公であるが、作者の経歴がそれに近い事からも納得することが出来る。
また、いずれも不可解な指示や教示、を主人公がこれまた不可解な人物から与えられる、という点でも似通っている。前作は男性、今作では女性が主人公ではあるが…
大まかな世界観は上記の通りで、登場人物が若干多いか少ないか?の違いかとも思う部分もあるが、今作はよりなんらかの問題提議、をしているのではないか?と言う点で前作、ニムロッド、とは異なるのではないかと私は思う。
私が読後感じた問題提議、とは、 -
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ネタバレこの著者の作品に初挑戦。
めちゃくちゃ面白かった。
正確に言うなら『太陽』がめちゃくちゃ面白かった!
語られる登場人物もころころ変わるし、時間軸もポンポン飛ぶし、急に驚きのSF設定がでてくるしで、もうものすごいお話なんだけど、それなのにしっちゃかめっちゃかにならずに落ち着いた淡々としたトーンで進む物語がなにこれ!って。大好き。
そして締めの一文、かっこよすぎる、しびれた。
『惑星』は、つまらなかったというか、自分には難しすぎました(笑
あ、オリンピックがらみの現実との乖離は作者の意図とは別の面白さなんだけど好き。
作中の「最終結論」と呼ばれる人物が2020年の視点から東京オリンピックを語る -
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読書開始日:2022年2月10日
読書終了日:2022年2月16日
所感
著者はどの作品も描きたいことは一貫している気がする。
描きたい結末に対してアプローチは変えている。
人間の進化の行き着く先は、偶然性、一回性を排除した世界。全てが明かされた世界。
でもそこは無である。
それを防ぐために、上記とは反対のこれまでの世界を維持する存在を対極に起き、どうにか全知に至る無に陥らないようにしていた。
これは全て、天才ゆえに世界に交わらずオーバードーズを繰り返した立花茂樹の、COLD SLEEPに入った時の妄想だった。妄想でも立派に世界の延命措置を考え尽くしていた。
どうにも妄想の延命措置すら終わりに -
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ネタバレ原子人の私は遠くの未来までをかなりの制度で予見し、それを壁画として残した。戦争中のドイツでユダヤ人だった私は、収容所の独房でひとりめの私の予見した未来を生きながら餓死させられた。そして三人目である日本人の井上由祐は前二人が超えられなかった34歳の壁を越えて、35歳になっていた。そして彼は、私たちの思い描いた理想の恋人にとても近い人物に出会う。
純粋な少女、苛烈な女、そして堕ちた女となる、私たちの、理想の恋人。
10万年の夢想は、彼女に出会って、はじめて片思いになる。
やさしい文章で、三人の時間、そして三人共有の時間を行ったり来たりしながら進む物語は、その構成も面白い。
自分たちの(正確には一