上田岳弘のレビュー一覧

  • K+ICO

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    “そういうこっちゃないんだよな。俺は使われているわけじゃない。使っているわけでもない。ただ、今あるようにあるだけなんだ。そして、昨日よりもよくなっている。例えばね、昨日の自分に比べて、この辺の道に詳しいし、空を見ればどう天気が変わっていくのかわかる。筋肉も随分ついた。きっと配達員をやめても俺は生きていける。その確率が昨日よりも少し上がっている。俺もどこかでこの仕事をやめる時がくるかもしれないけど、それは大きな問題じゃないんだ。この方向で積み重ねていけば、その内に俺は国がなくてもやっていける自分を得る。国がなくなっても、配達的なものは続くからね。だから、末端とか、システムとか、そういうこっちゃねぇんだよ”

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    2025年04月21日
  • 旅のない

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    コロナ禍を描いた短編小説が4つ収録されてる。
    主人公が2,30代男性で、IT系の話しとかもあって身近に感じた
    内省的な文章に魅力を感じる
    著者の文章読んだことなかったが、他のも読んでみたい

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    2025年03月16日
  • 旅のない

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    すごく好きな雰囲気の短編集。
    とくに「つくつく法師」と「ボーイズ」が好き。
    物語をつくるとは、生まれるとは、死ぬとは。
    ミニマムな物語の中に、
    そういう要素がぽっと入れられてて、
    でも、邪魔になってない。

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    2025年01月26日
  • ニムロッド

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    わからなさが残る。けれどなんだか響く言葉もあり、なんとなく『東京都同情塔』を思い出す。

    バベルの塔を思わせる「塔」
    「駄目な飛行機コレクション」
    「小説」、そこに「ビットコイン」
    欲しがる人が多ければ多いほど価値の上がる実体のないもの。

    「駄目な飛行機コレクション」は、人間の欲望が形になったもの。縛られていることと自由のはざまで、それぞれどこを突出させたかで、いろんな駄目な飛行機コレクションが出来上がる。

    「欲望」、「人間」、「根源的な衝動」
    そしてその可能性について。

    『東京都同情塔』がよかった人には読んでみてほしいです。


    再読記録で印象に残った内容・言葉

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    2024年10月10日
  • ニムロッド

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    面白いよ!面白い。芥川賞のレベルに上田さんが合わせに行った可能性はないですか?上田さんの小説はほんと面白いけど、ニムロッドは手は抜いていないものの手加減した感じあったな

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    2024年10月07日
  • 最愛の

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    クライマックス!!!
    前半は周縁的なエピソードが多くて冗長とも思える展開。読むのに時間がかかってしまった。必ずしもワクワクするような展開ではない脇役エピソードを一個一個拾い集めてじりじりと面白くなっていき、最後に全てが集約されている感じ。どんでんがえしという表現は陳腐だが、こんなにも情趣に満ちたラストを迎えるとは思わなかった。最後の数十ページのために読んでよかったと思えた。

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    2024年09月17日
  • 最愛の

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    過去と現在、同じ時を生きているけど交わらない世界。愛しているが故に、の哀しくも美しい世界。

    レビューを見てると、段々とこういう作品が理解されなくなってきているのを感じる。共感性や想像力が低下してしてきているのか。

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    2024年04月14日
  • 最愛の

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    最高純度の超越的恋愛小説と評されているようです。 自分的にはとても良かったのですが、 こういう男性作家が書いた、男性が主人公の恋愛小説って、 女性が読んでも良いと思えるのかなあ? ちょっと女性の感想を聞いてみたい。

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    2024年04月02日
  • K+ICO

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    ネタバレ

    ウーバーイーツ配達員K、
    TikTokerのICO、
    子どものk。

    今の社会に対する鬱憤のようなものはあっても、
    それぞれが、たくましく生きようとしている姿。

    特にK+kの章が好き!
    kもKのように強く生きられますようにと願った。

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    2024年04月01日
  • 最愛の

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    世の中に迎合し切ることができない僕(久島)が学生時代に転校していった望未と手紙で通じあっていく、そんなお話でした。主人公だけではなく、登場人物それぞれの抱える生きにくさがよくわかり、また、時間軸の構成が見事で、大変読ませる内容だと感じました。
    ストーリー全体になんとなく既視感があった(私だけがそう感じるのか、それともよくある内容だということなのか、判然としないのですが)ことだけが私個人として残念で星4つの評価にしました。

    #美文

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    2024年10月14日
  • K+ICO

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    数ページ読んでみて、ああ読みたかったことが言いたかったことがここにはあると思い、購入。さっそくカフェで読み始めるとすぐに読破。150ページくらい?ウーバーイーツを頼む方、ウーバードライバーをされてる方なら深く共感できる一冊。なんか読んでスカッとした。感情があんまり読み取れないところがシックでよかった。

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    2024年02月22日
  • 最愛の

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    先が気になって一気に読んだ。面白かった。
    コロナ禍のビジネスマンの描写もリアルで良かった。恋人たちの会話は、村上春樹っぽかった。
    種明かしは割と最初にされているというのに、そのことをすっかり忘れて読んでいたのはどうしたことか(アホなのか)。
    自分の学生時代を思い出した。望未の言動はリアルな感情を思い出させてくれた。

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    2024年02月08日
  • ニムロッド

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    ネタバレ

    本作に通底しているテーマの一つには「存在証明」があると思う.

    無から生み出され,存在が記述され,多くの人に求められることでその価値を保つBTCをはじめ,
    「ダメな飛行機」(=飛べない飛行機)という本来の目的を果たせない造形物や
    子孫繁栄を命題とする動物の一種でありながら中絶を行う田久保紀子は本来の役割を果たせないものの象徴であり,その例示である.
    感情の伴わない涙も,ただ堆く高さだけを誇る塔も.

    果たして,本来の役割を果たせないものたちは無価値なものなのだろうか.

    本作においてこれら全てに共通して投げかけられるのは「存在」と「価値」の関係に関する問いである.

    「ダメな飛行機コレクション」の飛行機は誰がどう考えたってジャンクである.実際,作中でも鉄屑以下と形容される.しかし,nimrodや田久保,中本からは「欲」され,「面白」がられ,そこには本来の文脈と違えど価値が生まれている.
    これはBTCの価格が天井知らずに高騰していくメカニズムもこれに通ずる(中本がマイニングしなくても誰かがマイニングしてその価値を担保する).

    これらを以てして私は
    「凡ゆる事象において,価値は元々規定されたものではない(≒本人の意図とは関係なく何処かの誰かによって価値は付与され得る)」であるため,無価値なものは存在し得ないというポジティブなメッセージを受け取った気がする.

    飛べない飛行機やBitcoinそれ自体には本来的な価値を果たせないが,無価値ではない.
    中絶をする判断を行った女性も誰にも読まれない小説もまた然りだし,中本の感情を伴わない涙は人を癒す.

    ただ,この文脈でバベルの塔やドロドロ人類を読み解くには未だ読みが足りない(or誤解している)ようにおもうので,日を改めて読み直したい.

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    2024年01月29日
  • 最愛の

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    ラジオで著者と高橋源一郎が、この本について語っていた直後に、この本を見つけた。
    うーん、複雑な…時間が行ったり来たりするのになかなかついて行けない。
    全体的に、村上春樹の作品の空気と似ているな、と感じつつ「ノルウェイの森」と似ているのではないか、と思った。「ノルウェイの森」を読んだのはいつだったか思い出せないくらい前なので、次はノルウェイの森を読もうかな、と。

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    2023年12月23日
  • ニムロッド

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    「私の恋人」「塔と重力」に比べるとだいぶ読みやすかったが、この人の小説は、人類とか世界とか地球とかをあたかもひとつの生命体のように捉えていて、読み終わってから深く考えさせられるし、一度読んだだけでは理解できない気がする。

    登場人物は、ビットコインの「採掘」をする僕と恋人で証券会社に務める紀子、会社の先輩で小説を書くニムロッドこと荷室。

    紀子も荷室も高い生産性が求められ、効率化をよしとする現代に適応しきれず苦しんでいるように見える。紀子は、障害があることがわかって胎児を産まない選択をした過去に苦しみ、荷室はうつ病で休職したあと名古屋に異動した。

    荷室が送ってくる「駄目な飛行機シリーズ」は、飛行機が完成し実用化した現代には全く価値がないもの。でもその不完全さ、ダメさは人間らしさの象徴であり、紀子はそれに癒やされ、荷室の書く小説の中でのニムロッドは高額でそれを蒐集する。

    飛行機を売りにくる商人が、人類の行く末(効率を追求した果てに個であることをやめ、どろどろに一体化するという)を説明するくだりが衝撃的だった。

    ラストで二人(生死は不明)と連絡がとれなくなった僕が、感情の伴わない涙を流す。彼は二人とは逆に人間らしい感情をどんどん希薄にし、機械に近くなっていくことで、何とか生きている気がしてやるせない気持ちになった。

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    2022年08月06日
  • 引力の欠落

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    芥川賞受賞した作者の前作?「ニムロッド」の次の作品かと思う。舞台はいずれも東京都内の、新進気鋭のIT企業又は投資顧問会社?で働く人物が主人公であるが、作者の経歴がそれに近い事からも納得することが出来る。

    また、いずれも不可解な指示や教示、を主人公がこれまた不可解な人物から与えられる、という点でも似通っている。前作は男性、今作では女性が主人公ではあるが…

    大まかな世界観は上記の通りで、登場人物が若干多いか少ないか?の違いかとも思う部分もあるが、今作はよりなんらかの問題提議、をしているのではないか?と言う点で前作、ニムロッド、とは異なるのではないかと私は思う。

    私が読後感じた問題提議、とは、難しい言い方をすれば、

    「現代社会において私たち人間が生きがいとする事、糧になる事、というのはもう何もかもすべて「煮詰まって」しまっているのではないか?」

    …と言う事。すべてはシミュレーション可能で、答えも与えられた膨大な変数からかなりの確度で導き出され、何が起きるのか?という事は既に見えてしまっているのでは無いかと…

    そうした中で、魂はそれを実践し、その過程で悩みや苦しみ、失敗、はたまた喜びを感じるのだけれど、肉体はただの入れ物でしかないのではないか?という問題?事実?、そういう主張?を作者は今作で、したかったのではないかと思う。

    上記のように私が感じた今作の、作者によって作り出された壮大な世界観、これに付き合わされる事にはじめは特に戸惑いを感じはしたが、最後まで読み進めた読後感は爽快なものであった、これは主人公が女性である、という事にも起因するのではないかと思う。

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    2022年06月26日
  • 引力の欠落

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    些事も些事、刃傷沙汰、希死念慮、しんがり

    P190できれば生まれたくなかったというのも違う、ここに存在することに、自分の意思が入っていないことが気に食わない。
    P257望まれて生まれて来た人はいても、本人が望んだわけでは絶対ない。

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    2022年06月23日
  • 太陽・惑星(新潮文庫)

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    ガルシア・マルケス風だな、というのが、第一印象。
    ちょっと伊藤計劃っぽさもありつつ(でもこれは表面的には、というくらいな印象)、語り手自体に仕掛けが凝らしてあるのは、カミュの『ペスト』っぽい。
    2本ともそんな感じだったから、時系列を混濁させて、尚且つ同時代性を織り込んで、どこかしらにどんでん返し的な仕掛けを組んでいくのがこの作家さんのスタイルなのかな?と思ったけど、デビュー作だそうなので、他のも読んでみないと何とも。
    登場人物の多国籍具合や後味のすっきりしないところは、好み。
    ここからどう他の作品が展開していっているのか気になった。

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    2022年05月29日
  • ニムロッド

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    仮想通貨のように実体のないものに価値があると信じるのが人間。ブランド、仕事、人生まで、意味や価値があると信じるからこそ意味や価値が生じる。そうした虚しさに思い悩む瞬間は誰しもあって、荷室・田久保と中本は対照的に書かれている。意味がないから生きないのか、深く考えずに生きていくのか。そういった永遠のテーマとも言える内容を、ニムロッドの小説内小説のSF要素と絡めて問いかける。読み終わって、なぜだか新しく勉強を始めようと思って本を購入した自分は、きっと現実逃避か悪あがきをしようとしているんだろう。

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    2022年05月24日
  • 太陽・惑星(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この著者の作品に初挑戦。
    めちゃくちゃ面白かった。

    正確に言うなら『太陽』がめちゃくちゃ面白かった!
    語られる登場人物もころころ変わるし、時間軸もポンポン飛ぶし、急に驚きのSF設定がでてくるしで、もうものすごいお話なんだけど、それなのにしっちゃかめっちゃかにならずに落ち着いた淡々としたトーンで進む物語がなにこれ!って。大好き。
    そして締めの一文、かっこよすぎる、しびれた。

    『惑星』は、つまらなかったというか、自分には難しすぎました(笑
    あ、オリンピックがらみの現実との乖離は作者の意図とは別の面白さなんだけど好き。
    作中の「最終結論」と呼ばれる人物が2020年の視点から東京オリンピックを語るのだけど、これ、現実世界では2020年のオリンピックは延期になっているわけでさ。
    この本の刊行当時2014年から言える確実な未来として描かれていたはずの2020TOKYOが架空の存在になっているのに、過去/現在/未来をすべて内包している「最終結論」は2020TOKYOを語っているというある種の滑稽さのようなものがあって、物語を超えた現実を感じてしまった。

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    2022年04月26日