上田岳弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書開始日:2022年1月28日
読書終了日:2022年1月29日
所感
良くも悪くも限界、頂上が見えてしまうと極論に走る。
極論に走った行き止まりを見たが最後。
だがその最後を見れば、急き立てる怯えから解放される。
Eも早乙女も山上も、津波に立ち向かうことで解放された。
早乙女は、まだ行き止まりを見るには早いと思えたことこそがある意味での解放であった。
Sは本当の意味で悟りを開いていた。
EMJ早乙女山上集結の飲み会は良かった。
Eは会話がしたかった。
この怯えを共有しあえる仲間と。
意見なんか合わなくてよかった。
本当の会話ができればそれでよかった。
神は孤独、Eも有能故孤独、世界一すらも -
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ネタバレ
久しぶりにこんな面白い小説に出会った……!と途中から心臓をバクバクさせながら読み進めて最後は泣いてしまったんだけれど、ここを覗いたら意外と賛否が分かれてて驚き……。
近年の物理の世界では時間というものは存在しないという説がそれなりに認められつつあるらしい。そう言われてみると、映画などの他のコンテンツでもいわゆるパラレルワールドなど時間の流れや空間を越境する話の流行を感じる。
この小説も10万年という時と3人の「私」を行ったり来たりする途方もなく大きなスケールの物語。でもシンプルな文章で展開されていくので非常に設定を飲み込みやすい。そしてストーリーテリングはもちろん、登場人物たちの思想、そ -
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友だちから薦められたBLACK COFFEEの「Subconsciously」が良すぎて、妻と娘が寝静まったあと、これを聴き、ウイスキーを舐めながら、読書をするのが最近のマイブーム。
この小説もそんなふうに読んだ。
第160回芥川賞受賞作。
ストーリーは何だかよくわからないが、妙に物悲しい結末がいい。
しかし、ビットコインと採掘(マイニング)の仕組みがよくわかる。
ダメな飛行機の話もなかなかいい。
というか、この小説、もしかしたらすごく面白いのかもしれない…とあとからじんわりとこみ上げてくる。
不思議な読後感。
上田さんはIT企業役員と作家を兼業されている、とのこと。
そのためか、なか -
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「私の恋人」というタイトルと前評判の良さでロマンティックな物語を期待しすぎていた。その結果、若干尻切れとんぼな印象を受けた。前評判がなかったら読後に受ける印象が変わっていたかもしれない。(評判云々で感受性が揺さぶれるのもどうかと思う。)
それでも、生まれ変わってもある人格の意識が引き継がれていくこと、その人格が思い続ける恋人の幻想、引き継がれた人格とは別に現世の人格もまた存在し、人格同士で葛藤が起こること、など設定が面白かった。この設定でこれからどう進んでいくかが知りたかったから尻切れとんぼだと思ったのかもしれない。
偶然にも、今日の新聞にスペインの洞窟にネアンデルタール人が残した壁画が見 -
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Uber Eatsの配達員の「K」とTikTokerの「ICO」。いかにも現代を象徴するような設定だ。
資本主義の巨大なシステムの末端に組み込まれて、労働力として搾取されるUber Eats配達員。存在を見下されることもある。しかしKは、意に介さず、毎日の労働で身体を鍛え、配達エリアを熟知し、法律を学び、どんな世界でも生きていける自分を作り上げようとしている。
一方、ICOも金銭的に恵まれない境遇にあっても、自分の才覚でフォロワーを増やし、TikTokerとしてそこそこ成功、さらに同級生と協力して「イデア」としてのICOを作りあげようとする。
途中に出てくる小学生「k」の家庭で起きる事件 -
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ネタバレ不思議な世界観。
半分くらいまではリアルなお話として読んでいたが、後半は面白さのベクトルが変わる。
ラビット、双子、卍、長すぎる直線、奈落、血にまみれたランウェイーーー
話の面白さというよりかは、イメージ・ビジュアルとしての印象が残る。
映像作品として見れたら面白そうだなと思う。
また、最後らへんのやや哲学的?な内容が興味深かった。
行動の結果は相対的に罪となり悪となりうる。
とすると、行動の不在が善となる。
因数分解される人間。一つに統合されていく意識。
そんな流れを打破するために、ロボットは影響力を持ち因数分解される人たちの外側にいつづけようとした。
そんな中で大切な人を失い、生きる -
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これは完全に『ノルウェイの森』のオマージュだなあ、と思った。登場人物も、どもりのある「先輩」は突撃隊だし、有能すぎる「向井」は永沢さんに当たるのかな、とか考えながら読むのも楽しかった。
著者の独特の世界観。『私の恋人』『ニムロッド』『旅のない』と読んできて驚いた。そこからいきなりの、村上春樹的な設定。果たして「血も涙もない的確な現代人」としての恋愛がどのように進んでいくのか、すごく興味深かった。
が、最後まで読んでみて、うーん、期待しすぎたかなあ、というのが正直な感想だった。「望未サイド」から明かされるトリックもいささか必然性に欠けるように思えて腑に落ちない。
詳しい説明がないのでわから -
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ネタバレ何だかとても「いま風」な小説だな、という感想。
会社の後輩の桜井が、退職後に超人気YouTuberになる。彼は退職後も、主人公の家久来(かくらい)の前に突然姿を現したり、または突然連絡が途絶えたり…そして出会うたびに口にするのは、「人間」や「運命」、「多頭獣」について。
やがて家久来の前に、桜井と共にYouTubeで人気になったYouTuberたちが接触してくる。
彼らの目的は何なのか?
実在のYouTuberの名前やチャンネル名が表記されていたり、退職代行業者や仮想通貨の話など、令和の初めに話題になったワードがたくさん出てくる。また、最近流行りのラップを小説の中に書くという構成も然り。