上田岳弘のレビュー一覧

  • 最愛の
    上田さんの本は、ゆえあってほぼ読んでいると思う。

    主人公の「最愛の、」人に向ける感情がわかりそうでわからない、すとんと落ちるものはなかった。でもそういうものなのかなあ。
    先輩や向井の持つもののほうが心に痛いし、いつまでも残る。彼らの背負わされる吃音やチックや薬がまた心に痛い。

    (読んでいる最中、...続きを読む
  • K+ICO
    大学生のKは、ウーバーイーツの配達員のバイトをしている。
    女子大生であるICOは、Tik Tokerで稼いでいる。
    この2人の心のなかを覗いてみたら…

    最近だからこそのバイトだなと感じた。
    私の時代にはバイトに選択肢があまりなく…(田舎だからかもしれないが)
    だが考えていることにそう開きはないかも...続きを読む
  • K+ICO
    Uber eats使ってますか?TikTokやってますか?

    Uber配達員の彼は、TikTokerの彼女は、世界に何を見る。これは若者の苦悩を描いた、現代のプロレタリアート小説。

    三人称一元視点で語られ、文章は淡々として抑揚がない。

    大学生でありTikTokで自分を切...続きを読む
  • ニムロッド
    人類の営みに乗れなくなる、しかし逃れきれない。
    自分の人生を生きる、または置き換え可能。
    失敗できる。
  • ニムロッド
    バベルの塔、ビットコイン、失敗した飛行機…それぞれのモチーフの組み合わせは選び取られてるなと思うけどストーリーとして腑に落ちるとか面白かったかと言うとそこまでではなかった。
  • ニムロッド
    読みにくさでいうと少しだけ苦手な部類ではあるけれど、思っていたよりも読めた
    駄目な飛行機がなかったら〜からのくだりをすきだなと思う自分はどこまでも普通だなと思った
  • ニムロッド
    ふっつーーに面白かった。
    自分がエンジニア系なのですらすらっと内容が入ってきたのが、逆に目新しさがなかったのかも。。。

    ビットコインと小説、なんだか正反対だけど、無から有を生み出すところは同じことなんだよなぁ。
  • 最愛の
    P163そうだね、愛していないね、と僕は呟いて、彼女のワイングラスをもぎとって、寝椅子に押し倒してそのまや再び抱いた。妙に興奮していて、言葉は必要なかったから、今度は彼女に何も囁かなかった。抱きながら、もしかしたらそろそろ渚とも終わりなのかなと考えていた。
    愛していないがこんなに色っぽいことあるんだ...続きを読む
  • 最愛の
    最愛というタイトルに興味を持って、著者の作品を読むのは初めてのこと。
    久島の学生時代の彼女、不本意ながら途絶えた記憶。そんな恋愛に上書きするように登場する女性達。
    ディズニーのラプンツェルを彷彿させる下書きの上に、ちょっとありえない二次元的な話が進む。

    最後は尻切れトンボのようでもあり、そこは読者...続きを読む
  • ニムロッド
    仮想通貨・ビットコインのマイニング(採掘)や実用化に失敗した「駄目な飛行機」たち、そして高くそびえる塔といったモチーフを反射板みたいにつかいながら語られる物語。

    デジタルの圧倒的な大波をざぶんと浴びせられ、そののちデジタルの破片をたくさん身体に受けたままアナログの立場で書いた小説、といった感覚でし...続きを読む
  • キュー
    第二次世界大戦と現在と700年後の3つの世界が「All Thing」を中心として交互に進行。奇想天外な!と思ったが、「2001年宇宙の旅」で出て来るモノリスのような、人智を超えた「モノ」が案外この世界を支配してるのかもと感じ入った。不思議な余韻。
  • ニムロッド
    ニムロッド 上田岳弘

    中本はサーバー運用会社に勤める。
    ある日社長からビットコインの採掘する課の課長を任される。
    そんな彼にはニムロッドという同じ会社の名古屋拠点で働く同僚がいる。彼は小説を書いている。そしてニムロッドは中本に駄目な飛行機コレクションのメールを日々送ってくる。執筆している小説も送っ...続きを読む
  • ニムロッド
    終始、無機質でドライでモノクロ、虚無の漂う、そして残酷なリアルさがある物語だった。

    読み進めるうちに、実態としての人間が薄らいでいき、何か巨大なものに取り込まれていく危うさを覚えた。

    「人間とは何か」 「すべてを手に入れたとき、人間は幸せになれるのか。人間はなぜ人間として生きていられるのか」
    ...続きを読む
  • 引力の欠落
    『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘の新作。若くして巨万の富を得て人生をFIREしてしまった行先馨は、マミヤという弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される、そこには秦の始皇帝や自らガソリンを作った本多維富など(を自称する)人たちがカードゲームに興じていた...続きを読む
  • ニムロッド
    昔読んでも心には残らなかった気がする。
    「小難しい言葉を使っていて、よく分からない小説だな。」で終わっていた気がする。

    この歳になったからかは分からないが、
    読んだ直後は久しぶりに自分の考えを頭の中で整理してた。瞑想してた。自分と久しぶりに会話したというか。

    主題が読み手によって変わる本な気がす...続きを読む
  • ニムロッド
    『まさか、自分が取り替え不可能だと思ってるの?』
    という問いが印象的
    個として存在する私たちは視点を変えれば大勢の中の一つでしかない。

    この本に出てくる仮想通貨は人間の揶揄であり、
    みんなが価値をつけるからこそ存在できる。裏を返せばそのもの自体には価値はない。
    人間の存在としての空虚さをとてもうま...続きを読む
  • ニムロッド
    切ないというか虚しいというかそんな感じだった。自分が取り替え可能な存在。信じたくはないけどそうなのだろうなと思う。
    どんなに技術や才能があろうが、周りから評価されたり認められてはじめて価値が出るものなんだなぁ〜
    世間の価値観ばかりに合わせて生きていくと息苦しくなるだろうな。
  • ニムロッド
    感想が難しい。現実の中でSFを構想するフィクションだった。どこか虚しくて、虚しさに気付いていたとしても、そこに一瞬でも別の何かがあれば積み上げてしまう人間の話だったような気がする。
    もしこれが完全なSFだったのなら、苦しみの密度や、痛みの切実さが広がっていくのかもしれないけれど、本書が残したのは、如...続きを読む
  • ニムロッド
    読書開始日:2021年7月30日
    読書終了日:2021年7月31日
    所感
    閉塞感、暗い雰囲気をまとった作品。
    読みやすくはあったが、各々の心情が難しい。
    ニムロッド、田久保は現代の完璧を追求し、尖りを叩く閉塞感にどうしても嫌気がさしていたのか。多分そうだ。
    ニムロッドは誰かの心に文字を通してなにかを...続きを読む
  • ニムロッド
    整って綺麗な小説だと思う。この世代の寄る辺ない感覚が、理性的に描かれているという印象を受けた。"ビットコイン"という小道具にはあまり興味は惹かれない。