上田岳弘のレビュー一覧

  • 旅のない

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    芥川賞受賞作「ニムロッド」が妙に私の琴線に触れた著者の初となる短編集。全編を通してコロナ禍真っ只中の日常が描かれているが、「鬼滅の刃」等の固有名詞が数多く登場するため、些か普遍性に欠ける作品ではある。私的には「悪口」で主人公が語る持論に(良くも悪くも)共感出来る部分はあるし、独身の身としては「ボーイズ」の主人公夫婦の言い分にも一理あると思え、僅かながらの高揚感と居心地の悪さが共存する何とも言い知れぬ読書体験となった。村上春樹氏の「ドライブ・マイ・カー」を想起させる表題作の寂寥的で妖しげな作り上がりが好み。

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    2024年04月30日
  • キュー

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    シンギュラリティ(技術的特異点、AI進化によって2045年頃に起こるとされる決定的な変化)をモチーフにたストーリーで、世界が進化して、時間、寿命、個人といった概念がなくなっていく物語だと感じました。
    私個人としてはもう少しだけ人間性が展開されればという思いもあり星3つとしましたが、壮大な世界観で先の読めない展開が面白く、大変読み応えがありました。

    #美文

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    2024年10月14日
  • K+ICO

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    ネタバレ

    非常に面白かった。すごく現代的な仕事として、すっかり定着したウーバーイーツの配達員の主人公が、これまた現代的な人との距離感覚を持ち、なんかいい。
    分量も少なくページ数も150ってとこだが
    様々なテーマが詰め込まれている。マルクス、優勢思想、空白の30年。そして、著者の哲学が若干の暑苦しさを伴い、しかし個人的には適温くらいか?オーディオブックを聴きながら配達する主人公が聴いているのがカフカというのがまたよく似合う。
    カフカの審判には物語に入らない、余りが差し込まれているそうだ。(未読)
    そしてこのK+ICOにも、それはある。

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    2024年04月22日
  • K+ICO

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    1つの事から何を学ぶか。そして、その先の延長線上に何を選ぶかを教えてくれる小説。

    ウーバーイーツ配達員のKがなぜ配達を選んだのか。
    その先に何を見据えてこの仕事を選んだのか。
    世間的に、仕事によっては、悲しいですが見下されたりする仕事もあります。
    その中でも先を見据えて仕事を選ぶことの大切さを教えてもらった気がします。

    今の仕事の延長線上にどのような選択肢があるのか。
    今一度考えるきっかけになりました。

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    2024年04月10日
  • 最愛の

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    ネタバレ

    上田さんの本は、ゆえあってほぼ読んでいると思う。

    主人公の「最愛の、」人に向ける感情がわかりそうでわからない、すとんと落ちるものはなかった。でもそういうものなのかなあ。
    先輩や向井の持つもののほうが心に痛いし、いつまでも残る。彼らの背負わされる吃音やチックや薬がまた心に痛い。

    (読んでいる最中、なぜだか村上氏の存在が終始頭の中にちらついて困った。)

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    2024年03月23日
  • K+ICO

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    大学生のKは、ウーバーイーツの配達員のバイトをしている。
    女子大生であるICOは、Tik Tokerで稼いでいる。
    この2人の心のなかを覗いてみたら…

    最近だからこそのバイトだなと感じた。
    私の時代にはバイトに選択肢があまりなく…(田舎だからかもしれないが)
    だが考えていることにそう開きはないかもしれないと思った。

    ひとりで動くバイトだから孤独を感じて、いろいろな空想をしてしまいがち…だがひょんなことから誰かと繋がるきっかけが生まれる。
    それで新たな自分と向き合うのかもしれない。


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    2024年03月22日
  • ニムロッド

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    人類の営みに乗れなくなる、しかし逃れきれない。
    自分の人生を生きる、または置き換え可能。
    失敗できる。

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    2024年03月16日
  • ニムロッド

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    バベルの塔、ビットコイン、失敗した飛行機…それぞれのモチーフの組み合わせは選び取られてるなと思うけどストーリーとして腑に落ちるとか面白かったかと言うとそこまでではなかった。

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    2024年02月11日
  • ニムロッド

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    読みにくさでいうと少しだけ苦手な部類ではあるけれど、思っていたよりも読めた
    駄目な飛行機がなかったら〜からのくだりをすきだなと思う自分はどこまでも普通だなと思った

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    2024年01月23日
  • ニムロッド

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    ふっつーーに面白かった。
    自分がエンジニア系なのですらすらっと内容が入ってきたのが、逆に目新しさがなかったのかも。。。

    ビットコインと小説、なんだか正反対だけど、無から有を生み出すところは同じことなんだよなぁ。

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    2023年12月25日
  • 最愛の

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    P163そうだね、愛していないね、と僕は呟いて、彼女のワイングラスをもぎとって、寝椅子に押し倒してそのまや再び抱いた。妙に興奮していて、言葉は必要なかったから、今度は彼女に何も囁かなかった。抱きながら、もしかしたらそろそろ渚とも終わりなのかなと考えていた。
    愛していないがこんなに色っぽいことあるんだ

    p231雰囲気を壊すと悪いからといって参加しなかった花火。〜落ちる度に彼女は謝った。九本目、ようやく二つの火球が一つになって、どっちかに移ることもなくそのまま燃え続けた。ぱちぱちぱちぱち、と長く燃え、それから避けられぬ運命をたどるようにして、火花が弱まって、燃え切ってからぽとりと落ちた。彼女は謝

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    2023年10月27日
  • 最愛の

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    最愛というタイトルに興味を持って、著者の作品を読むのは初めてのこと。
    久島の学生時代の彼女、不本意ながら途絶えた記憶。そんな恋愛に上書きするように登場する女性達。
    ディズニーのラプンツェルを彷彿させる下書きの上に、ちょっとありえない二次元的な話が進む。

    最後は尻切れトンボのようでもあり、そこは読者のご想像にといった終わり方。
    どこか村上春樹の作品のようでもあるが、登場人物が磨りガラスの向こうから出てくることはなかった。

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    2023年10月14日
  • ニムロッド

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    仮想通貨・ビットコインのマイニング(採掘)や実用化に失敗した「駄目な飛行機」たち、そして高くそびえる塔といったモチーフを反射板みたいにつかいながら語られる物語。

    デジタルの圧倒的な大波をざぶんと浴びせられ、そののちデジタルの破片をたくさん身体に受けたままアナログの立場で書いた小説、といった感覚でした。なんていうか、乾いていてシンプルで、それでいて割り切れないような生々しい複雑さの結び目のようなものがある。

    主人公の中本哲史はIT企業の社員で、新設された採掘課の課長。運営するサーバーコンピュータの空きを使ってのビットコインの採掘を命じられる。主人公の名前はビットコインの創設者とされるナカモト

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    2023年08月19日
  • キュー

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    第二次世界大戦と現在と700年後の3つの世界が「All Thing」を中心として交互に進行。奇想天外な!と思ったが、「2001年宇宙の旅」で出て来るモノリスのような、人智を超えた「モノ」が案外この世界を支配してるのかもと感じ入った。不思議な余韻。

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    2023年04月02日
  • ニムロッド

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    ニムロッド 上田岳弘

    中本はサーバー運用会社に勤める。
    ある日社長からビットコインの採掘する課の課長を任される。
    そんな彼にはニムロッドという同じ会社の名古屋拠点で働く同僚がいる。彼は小説を書いている。そしてニムロッドは中本に駄目な飛行機コレクションのメールを日々送ってくる。執筆している小説も送ってくる。
    中本には田久保という彼女がいる。彼女は離婚歴あり。子供をおろした経験もある。
    3人を繋ぐのは中本が左目から流す涙の症状。


    中本とニムロッド、中本と田久保。交互にやり取りが描かれている。その交互の移り変わりにある交差点が文章で表現されている

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    2023年02月15日
  • ニムロッド

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    終始、無機質でドライでモノクロ、虚無の漂う、そして残酷なリアルさがある物語だった。

    読み進めるうちに、実態としての人間が薄らいでいき、何か巨大なものに取り込まれていく危うさを覚えた。

    「人間とは何か」 「すべてを手に入れたとき、人間は幸せになれるのか。人間はなぜ人間として生きていられるのか」
    サクッと読み終えたけれど、後から、じわじわと迫ってくる。

    私たちが生きている世界も、もしかしたらもう既に何か得体のしれない大きなものに飲み込まれつつあるのかもしれない。

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    2022年11月09日
  • 引力の欠落

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    『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘の新作。若くして巨万の富を得て人生をFIREしてしまった行先馨は、マミヤという弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される、そこには秦の始皇帝や自らガソリンを作った本多維富など(を自称する)人たちがカードゲームに興じていた…表紙はかわいいけど文章は難解で全体の世界観は読み終わっても謎だった。

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    2022年08月04日
  • ニムロッド

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    ネタバレ

    昔読んでも心には残らなかった気がする。
    「小難しい言葉を使っていて、よく分からない小説だな。」で終わっていた気がする。

    この歳になったからかは分からないが、
    読んだ直後は久しぶりに自分の考えを頭の中で整理してた。瞑想してた。自分と久しぶりに会話したというか。

    主題が読み手によって変わる本な気がする。
    比喩的で曖昧で物語もフワッと終わる。
    そこが、考えさせられて、面白い。

    私が感じた主題は、「日常の空虚さ」「特別でありたいともがく姿」「実は何もない自分自身」こんな感じ。
    上の言葉はネガティブなイメージはなくて、ただ事実として作者が捉えてる事を描いてる感じ。
    だから、読み手によって受け取り方

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    2022年05月31日
  • ニムロッド

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    『まさか、自分が取り替え不可能だと思ってるの?』
    という問いが印象的
    個として存在する私たちは視点を変えれば大勢の中の一つでしかない。

    この本に出てくる仮想通貨は人間の揶揄であり、
    みんなが価値をつけるからこそ存在できる。裏を返せばそのもの自体には価値はない。
    人間の存在としての空虚さをとてもうまく書いてるなと思った。

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    2022年03月09日
  • ニムロッド

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    切ないというか虚しいというかそんな感じだった。自分が取り替え可能な存在。信じたくはないけどそうなのだろうなと思う。
    どんなに技術や才能があろうが、周りから評価されたり認められてはじめて価値が出るものなんだなぁ〜
    世間の価値観ばかりに合わせて生きていくと息苦しくなるだろうな。

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    2022年01月03日