上田岳弘のレビュー一覧
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P163そうだね、愛していないね、と僕は呟いて、彼女のワイングラスをもぎとって、寝椅子に押し倒してそのまや再び抱いた。妙に興奮していて、言葉は必要なかったから、今度は彼女に何も囁かなかった。抱きながら、もしかしたらそろそろ渚とも終わりなのかなと考えていた。
愛していないがこんなに色っぽいことあるんだ
p231雰囲気を壊すと悪いからといって参加しなかった花火。〜落ちる度に彼女は謝った。九本目、ようやく二つの火球が一つになって、どっちかに移ることもなくそのまま燃え続けた。ぱちぱちぱちぱち、と長く燃え、それから避けられぬ運命をたどるようにして、火花が弱まって、燃え切ってからぽとりと落ちた。彼女は謝 -
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仮想通貨・ビットコインのマイニング(採掘)や実用化に失敗した「駄目な飛行機」たち、そして高くそびえる塔といったモチーフを反射板みたいにつかいながら語られる物語。
デジタルの圧倒的な大波をざぶんと浴びせられ、そののちデジタルの破片をたくさん身体に受けたままアナログの立場で書いた小説、といった感覚でした。なんていうか、乾いていてシンプルで、それでいて割り切れないような生々しい複雑さの結び目のようなものがある。
主人公の中本哲史はIT企業の社員で、新設された採掘課の課長。運営するサーバーコンピュータの空きを使ってのビットコインの採掘を命じられる。主人公の名前はビットコインの創設者とされるナカモト -
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ニムロッド 上田岳弘
中本はサーバー運用会社に勤める。
ある日社長からビットコインの採掘する課の課長を任される。
そんな彼にはニムロッドという同じ会社の名古屋拠点で働く同僚がいる。彼は小説を書いている。そしてニムロッドは中本に駄目な飛行機コレクションのメールを日々送ってくる。執筆している小説も送ってくる。
中本には田久保という彼女がいる。彼女は離婚歴あり。子供をおろした経験もある。
3人を繋ぐのは中本が左目から流す涙の症状。
中本とニムロッド、中本と田久保。交互にやり取りが描かれている。その交互の移り変わりにある交差点が文章で表現されている -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔読んでも心には残らなかった気がする。
「小難しい言葉を使っていて、よく分からない小説だな。」で終わっていた気がする。
この歳になったからかは分からないが、
読んだ直後は久しぶりに自分の考えを頭の中で整理してた。瞑想してた。自分と久しぶりに会話したというか。
主題が読み手によって変わる本な気がする。
比喩的で曖昧で物語もフワッと終わる。
そこが、考えさせられて、面白い。
私が感じた主題は、「日常の空虚さ」「特別でありたいともがく姿」「実は何もない自分自身」こんな感じ。
上の言葉はネガティブなイメージはなくて、ただ事実として作者が捉えてる事を描いてる感じ。
だから、読み手によって受け取り方