【あらすじ】
桜花ゼミナール今年度の6年生最後のイベント、卒塾の会が始まる。和やかに会が進む中、意外な「大物」も遅れて登場!
黒木が子ども達に最後に贈る本音の言葉とは……?もう会うことはないかもしれないからこそあえて言う「またね」。
黒木が怒りに震えた島津くんの申し出と、その真相。ついに明かされるスターフィッシュ設立の物語。佐倉が抱え続けた葛藤。そして起こる、「特別」で「ユニーク」な奇跡。
季節はめぐり一面の桜に彩られ……堂々完結の21集!
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今の時代を生きる子どもたち、そして親たちの一大イベント「中学受験」の最前線を描いた物語です。
私自身が育った地方・時代は、高校まで公立に通うのが王道で、そもそも近所に私立中学はなく、中学受験なんて全く縁のない世界でした。その後、それなりの大学を出て、世間で「大企業」と呼ばれる規模の企業に就職し、子どもを数年育てて初めて知ったこと…それは、都市部を中心に「お受験」をして私立小中学に入学させる流れがどんどん大きくなっていること、そして、優秀な層ほどその傾向が顕著であることです。事実、私の職場は有名大学出身者が多く、その前段の経歴として、県No.1・2の私立中学・高校を出ている方が少なくありません。性格が悪いかもしれませんが、地元の友人で集まって話す内容と比較すると、「なんだこの差は…」と感じてしまいます。こんなにも乖離した世界があるのか、と。
現時点ですらここまでの格差があるのだから、今後時代が進んだ未来の日本社会では深刻な格差が生まれるに違いないと考えます。いや、もう既にその域に入っているかも。優秀な層は、優秀な層が多く所属する組織に加わり、優秀な層同士で結婚し、子どもにも優秀な層に入れるよう教育をする…逆に、そうでない層は真逆の流れを続ける…これが戦後、3〜4世代目の今の子どもたちに起こっている現実だと思います。もちろん勉強だけで人生が決まるわけではありませんが、多くの人間が企業に所属することになるこの国では、勉強・受験・学歴は所得と直結することであり、決して無視できない要素であるのは間違いないです。問題なのは、深刻な格差によって、生まれた家庭次第で最初からどのルートに乗るかが概ね決まってしまうことです。冗談抜きで「親ガチャ」が明確に存在してしまうようになるのです。かと言って、我が子の将来のために教育熱心になること自体は、全く異論はありませんし、国としても優秀な人財を輩出するために必要不可欠です。格差は、競争と成長の副産物なのです。
以上を踏まえ、私はこの国の「自己責任論」に警鐘を鳴らしたいです。もはや、個々人の努力云々で埋められるような格差ではなくなってきているのです。努力でどうにもならない格差が存在する国で何が起きてきたか、それは歴史が証明しています。「頑張らなかった奴が悪い」ではなく「努力ではどうにもならない差がある」という前提で、日頃から課題解決の糸口を探さなくてはならないと思いました。これは優秀な層に所属している人間に必要な心構えだと思います。