Posted by ブクログ
2013年03月31日
普通の会社員の飯田好実が、会社で仕事をしたあと、家でおとりよせの食べ物を食べて幸せに浸る……という内容で、ゼノンらしくない草食系男子の絵柄から、よしながふみの『きのう何食べた?』みたいなものかなぁと思っていたら、そういう雰囲気はあるけれども全然違った新しい要素のある漫画だった。
新しいなぁと感じ...続きを読むたのは、今までありそうでなさそうだった『キュレーション』を強く意識している漫画だということ。レポート漫画やエッセイ漫画でオススメのスポットやオススメの食べ物を紹介するものや、グルメ漫画で美味しいレストランや料理を紹介するものはあっても、ちゃんとその道の通が、実際にある商品を厳選して魅力を紹介するという話はあまりなかったように思える。これに一番近いのは、『神の雫』のようなソムリエ漫画かもしれない。テイストは全く違うけれども。
また、飯田良実が実際にツイッターをしていて、おとりよせ商品を紹介しているのも漫画と現実のリンクの仕方として面白いし、キュレーションの今を強く意識したものになっている。草食系男子の密かな楽しみ、というスタンスもゼノンの読者層とは違う方向を狙っていて、どんぴしゃで命中しているし、あと、ここに漂うビジネスの香りも良くて、テレビドラマ化されるというのも納得の作品じゃないかなぁと思った。
また、題材としても尽きることのない「おとりよせ」なので、ネタに困りそうな気配もないし、ストーリー的には王道の一話完結の「昼の顔と夜の顔が違う男の話」で、『クッキングパパ』みたいなものだから、どれだけでも話を転がせるところも興味深い。現在のところ「隙がない」という表現が一番似合う漫画だと思う。