丘沢静也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は1949年に出版されたブレヒトの『暦物語』を2016年に光文社の古典新訳文庫として刊行したものだ。1898年生まれのブレヒトはドイツの劇作家、演出家、詩人である。彼は1917年、19歳の時ミュンヘン大学に入学する。主に演劇のゼミに参加していた。翌1918年、20歳の時には第一次世界大戦終了までの1ヶ月間をアウクスブルク陸戦病院で衛生兵として働く。その後1933年まで、ドイツにて多くの劇作品や詩を発表する。この年、ナチスが政権を掌握した後、北欧に亡命する。1941年にはさらにアメリカへ亡命する。そして1949年、第二次大戦後再びドイツに戻って来る。その年、出版されたのがこの本だ。全部で17
-
Posted by ブクログ
最後のことばは「語ることができないことについては、沈黙するしかない」と訳されている。従前これは「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」などと訳されてきた。
「せねばならない」は禁欲的でありそれゆえ戒律的で「自己」が見えるが、「するしかない」は事実を端的に述べている。ウィトゲンシュタインの本来はこっちではないのだろうか。淡々と事実を述べ、そうであるしかない結論に至る。もう否定しようがない事実が「示されている」のに、「せねばならない」などとご託宣を述べて屋上屋を架す理由はないわけだ。
「世界は、私の意思に依存していない」「倫理の命題も存在することができない」「倫理を言葉にすることはできない」 -
Posted by ブクログ
思春期の少年が特定の(特殊な)環境に置かれることで
内面に生じる様々な「混乱」が描かれています。
だけど、これ、帯の売り文句がいただけないなぁ。
古典の新訳なので新たな読者層を獲得したいという意図は
理解できるんだけど、
「ボーイズラブの古典」という一言に喰いつく人と同じくらい、
逆に、そのフレーズにげんなりして
購入をためらう人も多くいるのでは?
――なんて、余計な心配をしたくなってしまった。
主人公たちは半人前の分際で娼館へ女を買いに通ったりしてて、
とても同性愛者とは思えない。
精神的な愛とは別に、性的な衝動が存在し、
年頃や特殊な環境のせいで、後者が暴力的に弾ける、
ってことなんじゃな -
Posted by ブクログ
光文社古典新訳文庫のほうでもよんでみました。
岩波文庫より感覚的に理解できるのではと思った。
気持ちよくながれるように読めた。
内容は自分的には好きだけど、これ実践していったら、世間一般の幸せから遠ざかるだろうなあと思います。まあだから超人なのだろうけど・・・。
そして俺の精神レベルでは、「この世のあらゆることをあるがまま受け入れ、苦悩の果てに死んでいけ!」という風に感じてしまいます。
まあ、なんとなく理解できるが自分の言葉で説明しようとすると出来ないところが結構あるので、理解に程遠い思います。
なのでまた読み直したい。てか、経験が足りないからちゃんと理解できないのか・・・。
そいえば、あ -
Posted by ブクログ
「人間万事塞翁が馬」
真理には善も悪もない。
哲学を超えた視点から言えば、分別心や分離感が悪、愛や慈悲が善と言えないこともないかもしれないがどうなんでしょう。
哲学者が思考で奮闘し導き出した答えは果たして説得力があるのだろうか。
自分は仏教とか禅に影響を受けたから、その辺を気にしてしまう。
西洋のニーチェが東洋のお釈迦様や老子とかの覚者と対峙したらどんな展開が待っているかと妄想が勝手に膨らみますね。
自分は坐禅や瞑想を始めてからは、哲学的なことは有限な思考のお遊びで時間の無駄のように思ったりもしましたが、最近は哲学にも有益な部分がありなかなかおもしろいと思うようになってきました。