丘沢静也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ある日目が覚めたら虫になっていた。
頭の中はまだサラリーマン。
4時の電車に乗らなくちゃ。
何本もの足をもにょもにょ動かす。
家族はみんなで虫を避ける。
悲しんでいるのか哀れんでいるのか避けているのか嫌悪しているのか、あるいはそれら全てなのか。
悲しいような辛いような、
はたまたゾッとするような、
温かいのか冷たいのか、
わかるようでわからない。
カフカの「変身」。
深いようで、
意味があるようでないのか、
作者はなにかを意図しているのか、意図していないのか。
不思議で
不気味でもないが、不気味ともとれる
悲しさを感じつつも悲しさに落ちきらずに変なところに着地する感。
なんだこれ -
Posted by ブクログ
この本は難しい。なんて今さら言うまでも無いが。
まずは当時、未だ主流だったキリスト教の価値観を否定する。曰く神は死んだ、と。まあ、それは良いとして、次は世のあらゆる価値観も否定し始める。徳も善も愛も正義も、等々。まあ、それもキリスト教を元に作られた価値観だから否定の対象になるのは仕方ないかもしれない。しかし、最後はツァラトゥストラ、つまり自分自身も否定し始める。それを聞いて弟子は怒る。当然、読者も怒る。全ては一時代人に過ぎない人であり神であるツァラトゥストラを絶対化させないために、なのか。そうやってひたすら否定しながら、最後は再び孤独に帰り、思索の時間を過ごす、というところで上巻は終わり。
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Posted by ブクログ
名言で埋め尽くされた人生論プラス詩、といった感じ。一章は分かりやすいが、二章以降の比喩の部分があまりにも詩的で少し難解だった。
1883~1885年にかかれたものだが、「ツァラトゥストラの前口上」中の最後の人間についての件や、「教養の国について」で、現代人について予言しているが、ほとんど的中している。「教養の国について」で無信仰の人々に対し「君たちは信仰なんてできっこない!」なんて言う場面があるが、自分の価値観が否定されているみたいで恐ろしい。
こういう部分や有名な「神は死んだ!」などのイメージが強く、毒書なんていわれたりもするが、むしろ読んで励まされることのほうが多かった。 -
Posted by ブクログ
"というのも、大人になりかけの人間の最初の情熱とは、ひとりの女にたいする愛ではなく、みんなにたいする憎しみなのだから。自分が理解されていないと思うこと。そして世間を理解していないこと。そのふたつのことは、最初の情熱にくっついているものではなく、最初の情熱のたったひとつの、偶然ではない原因なのだ。"
"人間が生きる人生と、人間が感じ、予感し、遠くから見る人生とのあいだには、狭い門のように、目に見えない境界線がある。できごとのイメージが人間のなかに入っていくためには、その門で圧縮される必要がある。"
"思想が沈黙しているときに、ものごとを見てい -
Posted by ブクログ
古い話だからか意味が分からないところも結構あるけど、話は面白い!
変身はこんな話だったっけ…
最初読んだ時凄い感動した気がしたけど…
自分の中でハードルが上がりすぎてて、その点ではイマイチだったかも
"アカデミーで報告する"は初めて読んだけど、めちゃくちゃ面白かった!
"光栄にもこのアカデミーに招かれ、以前ぼくがサルだったときのことを報告するように依頼されました。"
という書き出しがもうやばい
全部短い話の短編集だから、サクッと読めるのも良いね
巻末の解説ではカフカも訳や編集によって受け取られ方が大分違う、というのが凄く興味深かった。
あと訳者が -
Posted by ブクログ
以前カフカの『変身』を含む短編集を読んだ際、不可解さとともに奇妙に魅力を感じたため別の短編集も読むことにしました。本書はカフカの短編小説が8編も掲載されている薄い本ですが、全体的な感想を述べたのちに各編の感想を書くことにします。
全体を通じて、意味不明な展開を通じて何らかの隠喩を乗せていることは明確なように思われます。しかし、何が何を意味しているかが全く明確ではないので、人それぞれの解釈が生じるタイプの作家なのでしょう。読まれることで、すなわち、読者との相互作用によってはじめて一つの作品として完結するという意味で素晴らしい小説家なのかもしれません。しかしながら、現代の読者としては、メタファ -
Posted by ブクログ
数学は全然好きにならなかったけど、算数や数学の世界に迷い込むファンタジーが子供心にワクワクして何度も読み返しました。
今思えば読書が好きになったきっかけの本だと思います。
祖父に買ってもらってから20年以上経っていますが、今でも大事に持っています。
時々読み返したい章を読んだり、今だったら悪魔が言ってたこと分かるかな?と思って試しに考えてみたりします(笑)
でもやっぱり数学は頭に入ってこないので、空想の世界にどっぷり浸かって帰ってきます(笑)
あと、この本で初めて「ライラック」という色を知りました。
ライラックのチョークがとても好きでした。
実際に数の悪魔が夢に現れたら私は泣きます。笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友達の紹介で変身を読みたくなり購入。どれも一筋縄では読解できない。なんか新しい感覚。たしかに80年前に出版されたとは思えない。
判決は読後何だったのか分からなくて解説を調べてしまった。信用できない語り手この時代からいたのか。
変身はグレーゴムの家族を思う純真な心に胸を打たれた。しかし家族に思いが通じず、酷い扱いを受けるのが不憫だった。本当にグレーゴムは馬鹿でかい虫になったのか?少し疑問が残る。
アカデミーで報告する中の猿の「自由なんか欲しくない。出口さえあればいい」という文章にハッとさせられた。たしかに。同じようで全然違う。自由は全て自分で考えて行動しろという意志を感じるが出口がある状態は行動