丘沢静也のレビュー一覧

  • ツァラトゥストラ(上)

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     登山家のような心理で「あの山にはまだ登ってないな」と、ツァラトゥストラ山の五合目まで登る。大好きな番組『100分de名著』のオープニングで本の見開きが大写しになる。選ばれた書物は『ツァラトゥストラ』だ。
     特段これといって難解な言い回しではないのに、どうにも理解しづらい。
     熱に浮かされて10日で書き上げたという第1部から圧力が伝わってくる。
     引用したくなるくだりも多い。「趣味というのは、秤の分銅であると同時に、秤の皿でもあり、また測る者でもある」。荒巻義雄のSF短篇『大いなる正午』、タイトルの出典は第1部の終りだったのか。
     上巻で判ったこと。ツァラトゥストラは40歳ぐらい。ひげをたくわ

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    2021年12月25日
  • 賢者ナータン

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    舞台はエルサレム。実は会社で暇な時にイスラム教の宗派学派などを調べている。同じ宗教のはずなのに、枝分かれしながら、対立しなければならないのか不思議で。なんか戦いたい。それの理由付けとして宗教を利用しているにしか私には思えなくて。本作。ナータンの養子の娘がスルタンの前にひれ伏して言う。「血のつながりがなんだというのですか。宗教などなんですか。なんとしても、私を父親の元から引き離すのをやめていただきたいのです」スカッとするわね。巡礼するとかしないとか、もー中学生の派閥みたいであの人らの考えは理解できないわ。

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    2021年11月16日
  • 普及版 数の悪魔

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    親しみやすいキャラクターと一緒に算数の考え方を学ぶ事が出来る。私は文系人間なので、数の悪魔というキャラクターへの親近感と反比例して、難しくなってくるチャプターの理解が進まなくなってしまったが、、。
    一度読んだだけでは、もともと、数学に明るい人しか理解できないと思うので、忘れた頃にもう一度読み返したい作品だと思った。

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    2021年08月20日
  • ルイ・ボナパルトのブリュメール18日

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    同時代の事実・事件について、その背景やそこに至るまでの流れを概観し、どうしてそんなことが起こったのかということを考察する場合、筆者の思い込みによるバイアスが資料的裏付けや証言にかかってしまうという困難があると思うのだが、マルクスの記述には(もちろんバイアスはかかっているのだろうが)そんなことを少しも感じさせず、複雑な政治的出来事をきちんと腑分けしてわたしたちの前に提供してくれている。
    目次の後に付けられている「政治党派一覧」と「関連年表」のおかげで、この書物が書かれた時代背景や事件の流れがよくわかった。

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    2021年01月24日
  • 賢者ナータン

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    18世紀のドイツの思想家レッシングの作品。
    第三回十字軍時のエルサレムを舞台に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の相互理解を求めようとする登場人物たちが描かれる。日本人にとって宗教感覚はどうしても肌感覚で理解しきれないところがあるが、自分と異なる他者の中に共通性を見出そうとすることの重要さが語られていると思う。月並みではあるが、意見が先鋭化しやすい今こそこの考え方が必要であろう。

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    2021年01月12日
  • 普及版 数の悪魔

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     帯に謎解きクリエイター東大生、松丸亮吾さんからの「僕を算数好きにしてくれた本!」との推薦のことば。小学生の親として、ついつい買ってしまった。
     著者は数学者ではなく、ドイツの詩人、エンツェンスベルガー。子供の本から評論まで多彩な分野の文筆家。ロートラウト・スザンネ・ベルガーのかわいい挿絵とともに、主人公のロバートの夢の中の「数の悪魔」が数の秘密について、お話をしながら分かりやすく語ってくれる。「1の不思議」「素数の秘密」「パスカルの三角形」「ピタゴラスの定理」「フィボナッチ数」「オイラーの公式」「ゴールドバッハの推測」「エラトステネスのふるい」「無理数」「虚数」「二重ピラミッド」「等比級数」

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    2020年10月26日
  • 変身/掟の前で 他2編

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    頭木さんの「みすず」の連載「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」がすごく面白くて、でも、まだ本体をちゃんと読んだことないよなと思い(恥)とっつきやすそうなこの訳で。

    しかし、初心者にはもしかして、この訳、軽すぎるのかも? と感じました。ところどころ、コミカルさの表現が唐突に感じられたり。もちろん、原文が読めないのでなんともいえないのだけど。
    なので、別の訳でも読んでみよう。とりあえず池内紀さんの訳で、別の短編集を読む予定。

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    2020年10月12日
  • ツァラトゥストラ(下)

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    自らの生きにくさの中で、心の中に湧き上がってくる様々な自分(思考)と格闘する様を、物語仕立てで象徴的に、しかしまた結構赤裸々に語っているように思う。全体的な印象は、なんだか痛々しい。というか、イタい。けれど、だからこそ生きるのに不器用な人々を力づけ続けてきたのだろう。

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    2020年03月28日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    バジーニへのいじめのシーンは途中で本を置けなかった。少年たちと先生たちの生きている世界は違う。お互いの会話は噛み合わないし理解できないからこそ、子供時代は残酷だったことを思い出させてくれた。「ことば」の限界は体験でわかっているのに、それでもなお「ことば」を使って説明し、わかってもらったと思う大人。この先未完の『特性のない男』に手を出そうか悩んでいる。

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    2020年03月12日
  • ツァラトゥストラ(上)

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    今までにもニーチェの著作は2,3冊読んできたが、やはりこれが一番振り切れていて、ニーチェが自分のやりたいことを思いきり解放している感じがする。ニーチェのいわゆる有名な言葉は、ほとんどがここから出ていることも、確認できた。ただ、ニーチェの言いたいことを予めある程度わかっていないと、読むのが苦しい本だと思う。

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    2020年03月11日
  • ツァラトゥストラ(下)

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    上巻に引き続き、さっぱり分からず。
    ただ、「自分は評価されていない!」と思った夜に読んだときは、どこか共感する文面があった気がして、探してみたが分からなくなっていた。

    「お前の隣人を大事にするな!」(新しい石版と古い石版について 4)→「バカとは付き合うな!」に似てる??

    「夢遊病者の歌」の節が大事。

    次は『善悪の彼岸』、『道徳の系譜』、まんが版『ツァラトゥストラ』を読もうか。

    訳者あとがきから引用
    「偉大なものは単純である」フルトヴェングラー
    「人生を重く考えることは、かんたんだ。人生を軽く考えることは、むずかしい」ケストナー

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    2020年02月01日
  • 論理哲学論考

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    古田徹也氏が書いた解説書を読んだおかげで、ようやく本書を読み終えられた。しかし、解説書には省かれている項目もあったため、その項目部分は理解できなかった。また、岩波文庫版の方が語句の定義も載っているし、訳も自然だと言うことに光文社版を買ってから気づいた。失敗。ところで、本書の冒頭部に記載されている、『高校生のための『論考』手前講義』を読んだだけで、論考の内容を理解できる人はいるのだろうか。。「どう考えても高校生向けじゃないだろ!」とツッコミたくなるのは私だけじゃないはず(笑)

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    2019年06月16日
  • 変身/掟の前で 他2編

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    ネタバレ

    クンデラを読んだからか。
    カフカが読みたくなって、古典新訳文庫からこれを探す。

    変身は、昔、新潮ので読んだつもりでいたけど、どうやら一章しか読んでなかったんじゃないかな?二章、三章は記憶になかった。

    これは何の話なのか?
    読んだ誰しもが繰り返し考えてきたのだけども、さてしかし実際、何の話なのだ。

    それぞれのそのときそのときの背景とアナロジーされるのだろう。不条理?んー、というよりも象徴っぽさなのでは?
    構造的なのかもしれない
    「これを自分の環境に置き換えると、、、」
    そこに自分を取り巻く構造が見えてくる。

    好きじゃないのは、死を用いること。死は物語を途端に全部過去にしてしまい、どうでも

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    2019年01月08日
  • 普及版 数の悪魔

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    数の面白さを教えてくれる本。

    算数嫌いのロバートは嫌な夢を見るのも嫌い。ある夜、そんなロバートの夢の中に〈数の悪魔〉が現れ、数について教えてくれた。

    12夜の夢の中で取り扱われるテーマは、1、0、素数、平方根、階乗、フィボナッチ数、パスカルの三角形、順列、組み合わせ、などなど。イラストを交え、わかり易く解説している。

    本書を読んだだけで算数・数学嫌いが好きになるとは思わないが、敷居を下げてくれるのは間違いない。

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    2019年01月03日
  • 普及版 数の悪魔

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    子どもが読むには少し難しいかな?

    数の面白さ、というか不思議さがわかると同時に、人っていろんなことを考えるんだな、と感じた。

    750

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    2018年10月12日
  • 変身/掟の前で 他2編

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    判決
    変身
    アカデミーで報告する
    掟の前で

    の4編を収録。

    カフカの作品といえば、面白くないという印象がある。
    作品の内容は、わけの分からない状況に置かれた主人公が右往左往するのを淡々と描くだけなので、読んでいるこちらも訳が分からす、それが延々と続くので、ただ退屈なだけ。
    評論家はとそれを不条理とかなんとか難しいことを言って高く評価しているけれど、やっぱりただ退屈なだけ。
    あまり読みたくない作家だ。

    しかし、そういうカフカ像を産むに至ったのは、どうやら原典の編集段階に問題があったらしく、また、日本訳にもいろいろ問題があったらしい。

    「史的批判版」に基づく本書は、カフカのそんなイメージを

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    2018年09月18日
  • 普及版 数の悪魔

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    三角の数が美しい~。思わず紙と鉛筆を出してワークに励んでしまった。
    数学の勉強なんて将来何の役に立つの?なんて会話、学生時代にもありましたけど、数学を勉強する動機の根底は、理が常に維持されるその美しさ、面白さ、それが魅力だから、でいいと思うんです。そういう数学のいちばん魅力的な部分を切り出して教えてくれるのがこの本。楽しいよねえ、数学。

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    2018年06月19日
  • ツァラトゥストラ(下)

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    やっと上下巻読み終わり。上巻は本当に何を言っているのか
    難解すぎて意味不明でしたが。
    下巻も意味不明なのは変わりないのですが。読んでいて
    面白いと感じてしまう内容(というか文体)でした。
    読んでいて気持ちがよくなってくるという感じでも
    あります。非常に不思議な内容でした。

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    2018年05月18日
  • ツァラトゥストラ(上)

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    結構時間をかけて読んでしまったせいでまとまった感想を述べることが難しい。理性による啓蒙の時代において、マルクスとは別な形で時代の疎外を体験したニーチェが、全く新しい悟りに近い思想を披歴した決断の書。神の時代から超人の時代へ。精神から身体へ。忍従の美徳からの解放へ。真の人間を求めてツァラトゥストラに語らせるニーチェの福音書。

    正しいか間違っているかはあまり意味がなく、その情熱と時代精神に脱帽。


    17.4.14

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    2017年04月14日
  • 普及版 数の悪魔

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    数学の不思議さを非常にわかりやすく,かつ面白いように工夫して紹介している本だった.高校内容までしっかりと学んでいると大体のことは不思議にならないかもしれないがパスカルの三角形やベルトランの公準,素数の話などで知らない定理を味わうことができる.
    小学生から大人まで誰が手に取っても楽しく読める一冊でした.

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    2016年12月16日