丘沢静也のレビュー一覧
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社会全体の知識や価値観の土台として、神を絶対的な根拠にすることはできない。神は社会全体に通用する絶対的な権威ではなくなった。神の死(価値の崩壊)。世界には目的や終末は存在せず、あらゆる出来事は意味づけを持たないまま生成と変化を続ける。歴史に一定の方向性(目的)はなく、変化のみが存在する。いつか最後の審判で救われる者が選別される、なんてことはない(ゴールはない)▼この人生を肯定し尽くすこと。「いま・ここ」の現実から逃げてはいけない。何かのために生きるのではなく、生きること自体から充足を得よ。超人(価値の創造主体)▼ 仮にこの宇宙で起きるすべての出来事は、まったく同じ形で無限に繰り返されるとしても人生を肯定せよ。この人生を、まったく同じ形で無限に繰り返すとしても。永劫回帰(価値創造が本物かどうかの検証)。フリードリヒ・ニーチェNietzsche『ツァラトゥストラ』1883
〇ツァラトゥストラ。預言者。山での隠遁生活を終えて人間社会に戻り、人々に「超人」の思想を説いて歩く。善悪二元論を説いたゾロアスターのギリシア語が「ツァラトゥストラ」。善悪の道徳(価値基準)を最初に打ち立てた人物こそ、自らその誤りを認め、それを乗り越えることを語るに最もふさわしい。
「善」「悪」「真理」といった概念は普遍的・絶対的なものではなく、歴史や文化、人間の欲望や権力関係の中で生み出されたもの。哲学者たちは純粋に客観的な真理を発見してきたのではなく、自らの価値観や生き方を哲学として表現してきたにすぎない。「善」と「悪」という既存の価値判断を絶対視する立場を超えて、価値そのものを問い直そう。善悪という枠組みの"向こう側"(彼岸)に立って考えよう▼キリスト教道徳が重視する謙虚さ・服従・自己犠牲は、人間の生命力や創造性を抑える価値観。人間の本質は自己を成長させ、困難を乗り越え、新しいものを創造しようとする働き(力への意志)にある▼人は既成の善悪や道徳を無条件に受け入れるのではなく、それらを批判的に見直し、自ら考え、新しい価値を創造する存在になるべき。フリードリヒ・ニーチェNietzsche『善悪の彼岸』1886
*人間は歴史・文化・言語・教育の影響を受ける存在であり、ゼロから価値を作るのは難しい。既存の価値を批判的に吟味し、自らの生との関係の中で再評価・再編成するほかない。
弱者は強者に虐げられ、うっぷんが溜まっている。弱者にとって、ほしくても手に入らない富や権力。強者に一泡吹かせたい。報復したい。しかし、弱いので行動によっては報復できない。そこで精神的に報復する。「富や権力なんて価値はない」「金持ちは強欲で非道なやつらだ」。一方、「弱者は欲がなく正直だ」。「弱さ」こそが価値あるものだ、と弱者は考える。強者がもつ自己肯定や力強さ・気高さよりも、利他心や弱者への思いやりこそ価値があると弱者は考える。この考えを正当化する道徳として、キリスト教が弱者によって受容されてきた。強い者は悪で、弱い者は善という奴隷の道徳だ。与えられた価値(神・道徳)に従うのではなく、価値そのものを創造せよ。フリードリヒ・ニーチェNietzsche『道徳の系譜学』1887 -
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化学や地学は好きだったがずっと数学が嫌いで苦手だった。
恩師から、数学のセンスがないと指摘され文転したくらいには数学が嫌いだった。
そんな私が、大人になってからこの本を読んだ。
特に印象に残ったのはフィボナッチ数列の部分。知識としては知っていたが、なんだがいいなと思ったのは初めてだった。
それはなんでだろうと考えたとき、子供のころの私は今以上に、抽象的なものと具体的なものを結びつけるのができなかったのではないかと思った。数学的センスってこういうことだったのかもしれないなとこの本を読んで感じた。
なので子供向けとあるが、子供のころの私には読んでも響かなかっただろうなと思う。
数学が嫌いな子がこれを読んで数学が好きになることは少ないかもしれないが、数学に興味がある子や、一度数学で挫折した大人が読んだら世界が広がる本だと思う。
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ネタバレニーチェの思想を知りたいと思い買った本ですが、内容は著書に対する補足が主の作品でした。が、作者の考えが詳細に記されているため、作品を読まずともその思想が垣間見えました。これを書いた段階でニーチェは精神崩壊直前だったと触れられています。確かに、自らへの自信、考えの断定、大言壮語友とれる内容が多く、これが精神病によって濃縮されたものなのか、それは他作品を見て検証する他ないですが、「神は死んだ」と主張するニーチェの思想の源泉を確かに感じさせるものでした。自身の作品について「これまでの価値感を転換してその上に創造したものであり、正しく理解できるものを求めている」という主張には驚嘆しました。いつか彼の作品に挑戦したいとも考えさせられました。
以下、自分が興味深いと感じた内容の備忘録です。過激な内容も多いです。
・本との付き合い方⋯文献学者は本をひっかき回し刺激に応えるが、それは他人の主張にイエス、ノーを回答しているだけのことで、自らで考えているわけでない。自らの思想を外に散らすにはマッチのように擦ってもらうほかない。
・ニーチェの対立思想にはコアがある。特定の誰かを対象としない、自身が孤立無援であるとき、相手の名誉を傷つけないとき⋯
・キリスト教はデカダン思考から生まれた宗教である。隣人を愛する、道徳を重んじる=善人と捉えられるが、この考えは人をねじ曲げる。生活の目的を理想(そのような思想、行動により救済が得られる)に据えており、現実が見えていない。また、そうした人々に主体はない。
・自身を健康にコントロールするには、根っからに健康であること。そのためには栄養、土地、気候、保養⋯
・デュオニュソス頌歌 夜の歌
ニーチェは理想を掲げての行動よりも自らを高く保つことで見出したものへこそ価値を感じていたのではないでしょうか。未来を憂い厭世思考に陥る自分にとっては、このような今を大事とする考えは貴重なものと思います。 -
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古い話だからか意味が分からないところも結構あるけど、話は面白い!
変身はこんな話だったっけ…
最初読んだ時凄い感動した気がしたけど…
自分の中でハードルが上がりすぎてて、その点ではイマイチだったかも
"アカデミーで報告する"は初めて読んだけど、めちゃくちゃ面白かった!
"光栄にもこのアカデミーに招かれ、以前ぼくがサルだったときのことを報告するように依頼されました。"
という書き出しがもうやばい
全部短い話の短編集だから、サクッと読めるのも良いね
巻末の解説ではカフカも訳や編集によって受け取られ方が大分違う、というのが凄く興味深かった。
あと訳者が過去の訳を痛烈批判してるのも笑ってしまった。
それも込みで面白かった!おすすめ!
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以前カフカの『変身』を含む短編集を読んだ際、不可解さとともに奇妙に魅力を感じたため別の短編集も読むことにしました。本書はカフカの短編小説が8編も掲載されている薄い本ですが、全体的な感想を述べたのちに各編の感想を書くことにします。
全体を通じて、意味不明な展開を通じて何らかの隠喩を乗せていることは明確なように思われます。しかし、何が何を意味しているかが全く明確ではないので、人それぞれの解釈が生じるタイプの作家なのでしょう。読まれることで、すなわち、読者との相互作用によってはじめて一つの作品として完結するという意味で素晴らしい小説家なのかもしれません。しかしながら、現代の読者としては、メタファーの働きを感じながらも具体的なことを何も感じないことにもどかしさも感じます。人気の理由はわかりますが、私はあまり好みではないです。
◇『インディアンになりたい』
さすがにわかりません。開放感を求める勢いを感じます。
◇『突然の散歩』
「わからない」と言いたいところですが、不思議とわかるような気もします。実家暮らしのころ、何とも言い表せない窮屈さというか、家族といるのに感じる不思議な寂寥感に追い込まれて、意味もなく深夜外を出歩いたことがあります。そういう気持ちを思い起こさせられる一節です。
◇『ボイラーマン』
内容はさておき雰囲気としては一番『変身』と同じものを感じました。あらすじだけ示せばシンプルになるかもしれませんが、登場人物の心情・行動・発言がところどころめちゃくちゃです。文学の専門家であれば何かメタファーを読み取れるかもしれませんが、私には読み取りようがありません。何なんだ?
◇『流刑地で』
状況も何も分かったものではありません。私が買った版の帯には「『?』のエンターテイナー」と書いてありますが、私にはこれがエンターテインメントなのかどうかもわかりません。生理的嫌悪感をもたらす不条理かつ残虐な展開に対して登場人物が妙に達観して納得している点に当然何らかの作為の存在を感じ取るわけですが、それが何なのか簡単には理解できず、確かに「?」が残ります。カフカの作品は面白いのか、面白くないのか、それすらよくわからなくなってきました。
◇『田舎医者』
理不尽度は一番高いかもしれません。どういうこと?何を言いたいの?本感想を書き終わった後に世間の解釈を探してみようかなと思いました。
◇『夢』
夢すぎるでしょこれ。私も意味もなく自分が死んで墓に入る夢をみたことがあります。
◇『断食芸人』
小説としては本作が一番わかりやすいのかもしれません。とはいえ本書はかなり複層的な作品ではあり、シンプルな小説家としてのカフカの技量も感じます。
◇『歌姫ヨゼフィーネ、またはハツカネズミ族』
あまりにわかりみが浅い。そりゃ読んだは読んだよ?だからって何なんだよ? -
Posted by ブクログ
数学は全然好きにならなかったけど、算数や数学の世界に迷い込むファンタジーが子供心にワクワクして何度も読み返しました。
今思えば読書が好きになったきっかけの本だと思います。
祖父に買ってもらってから20年以上経っていますが、今でも大事に持っています。
時々読み返したい章を読んだり、今だったら悪魔が言ってたこと分かるかな?と思って試しに考えてみたりします(笑)
でもやっぱり数学は頭に入ってこないので、空想の世界にどっぷり浸かって帰ってきます(笑)
あと、この本で初めて「ライラック」という色を知りました。
ライラックのチョークがとても好きでした。
実際に数の悪魔が夢に現れたら私は泣きます。笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友達の紹介で変身を読みたくなり購入。どれも一筋縄では読解できない。なんか新しい感覚。たしかに80年前に出版されたとは思えない。
判決は読後何だったのか分からなくて解説を調べてしまった。信用できない語り手この時代からいたのか。
変身はグレーゴムの家族を思う純真な心に胸を打たれた。しかし家族に思いが通じず、酷い扱いを受けるのが不憫だった。本当にグレーゴムは馬鹿でかい虫になったのか?少し疑問が残る。
アカデミーで報告する中の猿の「自由なんか欲しくない。出口さえあればいい」という文章にハッとさせられた。たしかに。同じようで全然違う。自由は全て自分で考えて行動しろという意志を感じるが出口がある状態は行動の範疇を制限されつつ、別の行動も選択できるというニュアンスを感じる。猿が人の言葉を喋って人々が驚いた場面で「汗まみれのからだにキスされたみたい」という表現も状況に少し恥ずかしみを感じるが、嬉しいという感情が明確に伝わってきた。文才すごい。
「掟の前で」が解釈が割れて言及・引用数ナンバーワンの作品だということも納得させられる不思議な物語。
カフカずっと読みたかったが読めてなかった。きっかけくれた友達に感謝。
解説とあとがき翻訳者がめちゃくちゃ自我出してきてめちゃくちゃ面白い。「私は犬になりたい」じゃないよ。こんな解説初めて読んだ。本当にカフカが好きなんだろう。 -
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ネタバレ2025/3/14-17
●判決
ほんとに全く言っていることが分からず…感想がかけない。。
●変身
やばい変身にはめちゃくちゃ考えさせられた…ただの深読みのしすぎかもしれないけど、、
長くなりそうなのでどうでもいい感想から先に↓
1 虫ってこんな気持ちなのかな?と謎に虫視点に立てた
2 家族が同じ状況になったらどうする?って考えさせられた
1 私は虫特にGがこの世で一番大嫌いなのだが、グレーゴルが変身しちゃった虫は勘だけどGなんじゃないかなぁって。周囲の人々の生理的な嫌悪感を見ていても、身体の特徴を見ていても、食べなくてもしばらく平気だというのを見ていても、そう思った。それで、Gの急な方向転換とか突進とかがめちゃくちゃ怖いんだけど、Gも人間から逃げようとして、生き残ろうとして必死に逃げたり戦ってるんだろうなぁって思った(まぁ、それでも嫌いなことに変わりはないけど)。謎に虫視点から物事が見れて、ただ必死に生きているだけなのに暴力振るわれたり追い立てられたり、ちょっと同情した
2 これはむずい問題だなぁと思った。。グレーテの気持ちがめちゃくちゃわかる気がした。そうそう、最初は大好きな家族だから頑張ってお世話をしていても、疲れて限界が来るんだよね。生理的にキモいだけではなく終わりも見えないし、穀粒しだし、いるだけで周囲を暗い雰囲気にしちゃうし。。まして、虫だからね。。巨大な虫だから。自分の立場に立った場合耐えられるかわからないし、自分の家族も耐えてくれるか果たしてわからないなぁと思った。
深読み↓
そしてここからが深読み&めちゃくちゃ考えさせられた部分。穿った見方かもだけど、ここではグレーゴル=病気の人間 その他の家族=それをケアする家族 という印象を強く受けた。最初は甲斐甲斐しく介護するんだけど、終わりは見えない、自分の時間とお金が犠牲になる、相手とうまくコミュニケーションが取れない、などなどのネガティブな要素が積み重なって、結局共倒れしてしまう、、みたいな介護疲れの風刺のように思えたよ。最後グレーゴルが死んで「ほっとしている」シーンは特に介護疲れで、親が亡くなって寂しいよりも安堵が強く出る、みたいな状況を表しているように思えた。特に妹の態度の変わり方がケア疲れを象徴しているように思えたなぁ。「殺す」のではなく「見殺しにする」のもリアル。
あと、グレーゴルがある日「突然」虫になるというのは、うつ病のような精神的な病気を表しているように感じた。私は経験したことがないからわからないけど、精神的な病気はある日突然発症することもあるようなので。まぁグレーゴルはストレスの多い環境下で働きすぎだったみたいなので、それを示唆していると言えなくもない気はする。穿った見方かもしれないけど、間借り人たちの強い嫌悪感?は社会からの拒絶を暗示していそうだし、それによって追い詰められていく家族の実情もリアル。社会的弱者への嫌悪感や差別意識を感じましたとさ。「働けない」状態であることに対してマネージャーを中心に非難の声があがるのも、働けない社会的弱者への非難を暗示しているように見える。今までは大黒柱だったのに、働くことができなくなったらすぐに手のひら返しなのもね。。家族、グレーゴルをATMやと思ってたんか?って感じ
●アカデミーで報告する
何となく啓蒙主義のお話のように感じた。人間ってこういう感じで進化してきたのかな?とか思ったりして
●掟の前で
意味わからなかった。けど、入口は死の世界への入口かな?と思ったり。で、それなら入ろうと全てをかけて頑張ったのは皮肉だなと思った。それと同時に、人間は誰しも死ぬまでの間を生きているだけであって、死んだら手に入れた物体は全て消え去るわけで、門番に渡していた賄賂はそういう意味もあるのかなぁとか思った。生きているうちにうお金を使って、死後の世界には持っていけないような物を必死に手に入れている人間…