若松英輔のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私も利他について勘違いしていました。利己の反対語かと思っていたが、そういう訳では無い。その説明から本書は始まります。利他とは自分を活かし他者も活かすこと。
誰でも場面ごとに自分を変えている時間の方が多いく、思ってもいないことを口にしながら生きることがある。と書かれています。確かにその通りかもしれない。
そのように自分を失ってしまえば、自分を愛することはできない。自分を愛することができなければ、他者を愛することもできない。つまり、利他を実行することができないということ。
著者は自分を深く信頼することが、自分を愛することにつながるとも言います。利他を実行するために信頼できる自分を形成していくようにする。 -
Posted by ブクログ
とても面白かった!普段話したり聞いたりがほとんどで、読むことや書くことは他人とのLINEや仕事でのメールやチャットでしかできていない。仕事は関係なく自分自身について向き合う際に、他人や自分と話す、聞く、読む、書くことについて、それぞれに特徴があってどれも大切だと感じた。詩について知りたいなと安易な気持ちで読み始めたが、意図せず、コミュニケーション全体について深く考えるきっかけとなった。また、言葉以外の非言語コミュニケーションについても触れていて、本当に大切なことだと感じた。茨木のり子さん、岩崎航さんという素敵な詩人を知ったので、機会を見つけて詩集を読めたらいいなと思った。
-
Posted by ブクログ
中3生の模試の国語で、伊藤亜紗さんの『「うつわ」的利他』の一部が題材として出題されていて、興味をもったので読んでみました。
「利他」は「偽善」「自己満足」「押しつけ」と紙一重で、特にネットではそんな言葉で全く関係のない赤の他人から揶揄されたり非難されたりする可能性もあって、最近はうっかり親切な行動もとれないような雰囲気があったりもします。だいたい、「偽善」「自己満足」「押しつけ」をすり抜ける「利他」ってどんなものなんだろう。そんな思いがありました。
伊藤亜紗さんの章は読みやすく分かりやすかったですが、いちばん面白く興味深く読めたのは中島岳志さんの『利他はどこからやってくるのか』でした。志賀直哉の『小僧の神様』、チェーホフの『かき』、モースの『贈与論』に出てくる様々な贈与に関する慣習、「ありがとう」への違和感の話…ポロポロと目から鱗が落ちていく…「ふと」とか「思わず」とか、そういう「オートマティカルなもの」に動かされる。きっとそうなんだろうと思いました。
國分功一郎さんの『中動態から考える利他ー責任と「帰責性」』は非常に難しくて、十分に理解できたとは思えていませんが、ここで述べられている「神的因果性」というのは中島さんの章で出てきた「オートマティカルなもの」と同じようなものかな、ととらえると少し分かる気がします。「中動態」については以前別のところで読んで、「そんな態があるのか!」と驚いたのを覚えています。自分の中で何かが動く状態を指す態。こんなことを思いつくなんて、学者さんて本当に本当に頭がいいんだなあ。
「しよう」と思って善いことをするのも、いいことには違いないけれど、「思わずしちゃった」的にできればよりいいのかな。 -
Posted by ブクログ
ソクラテス、デカルト、アレント、吉本隆明を2時間で理解する本ではなく、それらを題材にして「考える」ということの面白さや、読書をすることの面白さ、またその手掛かりを提示してくれる本。
読書にはいろんな楽しみ方があるけど、本を読むという行為を少し分解して考えてみると、読書とはページに書いてある文字の羅列から情報を読み取ることではなくて、ページに書いてある情報をもとに自分の中で考えをめぐらすこと、ともいえるのかもしれない。
だから極端な話、書いてある内容や情報をそのまま理解しなくてもよくて、読書という行為の主体はあくまでも読者でしかなくて、そういう意味では読書という行為はすごく自由な体験といえるのかもしれない。
ハンナ・アレントの段に「『生命の祝福』は、生きる意味の発見というよりも、いのちのちからをありありと感じることなのかもしれません」という一文があるけど、読書という体験は、まさに、生きる意味の『発見』というよりも、いのちのちからをありありと『感じる』ことのできる体験の一つなのかもしれないと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ遠藤周作の『深い河』にたいへん感銘を受け、この著書に出合いました。
『深い河』の魔力は、霧のようにわたしにまとわり付き、心を浸食していきました。 脆弱な感受性のわたしでさえ、深層のわたしに気づき、救われました。
そして、本書ですが、わたしが読み解くことができなかった数々の遠藤周作の思いを享受できたことが素晴らしく、嬉しい‼︎
キリスト教については、知識の乏しいわたしには難しいところはありましたが、丁寧で分かりやすい解説だと想いました。
その中で、キリスト教作家ベルナノスの言葉は衝撃的です。
『信仰というのは、九十九パーセントの疑いと、一パーセントの希望だ』
そして、『宗教多元主義』の考察も興味深いものがありました。
『深い河』のガンディーの言葉に言及されていますが、わたしがもっとも心惹かれた言葉です。
『私はヒンズー教徒として本能的にすべての宗教が多かれ少なかれ真実であると思う。すべての宗教は同じ神から発している。しかしどの宗教も不完全である。なぜならそれらは不完全な人間によって我々に伝えられてきたからだ』