エドマンド・バークのレビュー一覧
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英国人からフランス革命への強い批判がなされる本書は、保守主義のバイブルとも言われ、時代を超えて読み継がれてきた名著です。
改革とか変革なんていう言葉はいつの時代も持て囃されますが、急激な変化は副作用もとても大きい。
フランス革命といえば、高邁な理想を掲げ圧政を打ち破った民衆の戦い、という理解が一般的かもしれません。
しかしながら、その急進主義は社会に様々な混乱や弊害をもたらし、10年後にはナポレオンによるクーデターで終焉を迎えることとなります。
著者のバークは、革命の終焉を見届けることなく没するのですが、本書で述べられる革命への批判は非常にインパクトの強いものです。
現代社会にも当てはまる教 -
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自然に形成されたものへの信頼、人工的に形成されたものへの警戒。制度の基礎は歴史の知恵(慣習・文化)や伝統。社会は人工的に作られるものではなく、成長するもの。人間は自然に従い家族を形成した。しかし家族と家族を繋げる自然な契機は存在しないので、法を制定し国家を形成した。国家とは死んだ人、生きている人、まだ生まれない人を共に結ぶ協同体▼マグナカルタ・権利請願・権利章典、世代を超えて多くの人々の努力と工夫によって培われてきた制度や慣習こそ英の国体(constitution)であり、安易な改変に慎重であるべき。慣習の中にある観念(すでに判断されたものprejudice)を拠り所とし、慣習にもとづいて権利
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ネタバレ
革命思想にご用心
一部ご紹介します。
・「革新」に憧れる精神とは、身勝手で浅はかなものだ。自分たちの祖先を顧みない者が、自分の子孫のことを思いやるはずがない。
・人は自由や権利を相続財産のように看做せば、「前の世代から受け継いだ自由や権利を大事にしなければならない」という保守の発想と、「われわれの自由や権利を後の世代にきちんと受け継がせなければならない」という継承の発想が生まれることをわきまえる。そしてこれらは「自由や権利を、より望ましい形にしたうえで受け継がせたい」という進歩向上の発想とも完全に共存しうる。
・社会が複雑なものである以上、「多くの目標が不完全に、かつ途切れ途切れに達成される」ほうが、「い -
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保守の前提と革新の前提
自由・平等・博愛といったおめでたい夢幻を掲げ、過去の権威や伝統を根絶やしにして達成されたフランス革命を「保守の父」エドマンド・バーグが痛烈にコキ貶したのがこの「フランス革命の省察」。
新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき
その貶しようは、イギリスの首相ピットに「この罵倒は芸術的だ」と言わしめるほどの内容。
この本は、まだ保守という言葉すらないフランス革命当時に書かれたものですが、人名や党名、地名を現代風にアレンジすれば、現代十分通用する普遍性を備えています。
保守も革新もその目的や手段は時代や洋の東西によって変化していますが、それぞれの前提とな -
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「保守」とはなにか、そんな疑問に答えてくれる名著が本書である。著者エドマンド・バークはイギリス出身で、ホイッグ党所属の政治家として長年政治に携わった。ちなみにホイッグ党とは、議会を重視する政党であり、ゆえに昨今の議会政治のあり方を考えるうえで重要な本である。
エドマンド・バークは「保守主義」としてあるべき条件として、①壊さないこと②今あるものをうまく活かす、この2つが大切である。つまり、「革新」のように、全てを一気に変えるわけではないが、かといって、全てのものを変えないわけではない。重要なのは、変えていくべき箇所は適宜修正すべきであり、もし修正した箇所がある場合、慎重に検討を重ねて実行しな -
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革命勃発後わずか半年の段階で、その後の革命の進展をほぼ正確に予言している洞察力にまず大きく驚く。フランス革命のような世界史出来事を同時代で経験すると、まず熱に浮かされたような興奮に包まれてしまって、冷静にモノゴトを見れなくなりそうなものだが、イングランドの老政治家の人間世界に対する眼力の凄さには敬服しかない。
本は、フランスの青年貴族に当てた書簡の形で進む。(実際に出された手紙が元になって出版されている。)従い、章番号や小見出しは原著にはないが、翻訳版では理解を助けるために追加されている。その見出しから。
P397 予言 — 君主政が復活すれば専制になる可能性がたかい。
P453 -
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保守思想の古典との評価の高い本書について、バークの思想といった形では良く取り沙汰されているので、何となく知識はあるといった状況ではあったが、漸く完読することができた。
まずもって、本書がフランス革命勃発の一年後、1790年に発表されていることに驚かされた。革命が急進化して、国王一家の処刑、反対派の粛清といった恐怖政治に至ったところを批判していたのであろうと勝手に思っていたのだが、そうではなく、かなり初期の段階から、革命に潜む問題状況を洞察していたことを知った。
国民議会の性格や、宗教、司法、財政、軍事に渡る改革について、その問題点を一つひとつ具体的に解き明かしていく各論も鮮やかであるが -
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イギリス人は自由や権利を相続財産のように見なせば「前の世代から受け継いだ自由や権利を大事にしなければならない」という保守の発想と「われわれの自由や権利を後の世代にちゃんと受け継がなければならない」という継承の発想が生まれる。そしてこれらは「自由や権利を一層望ましい形にした上で受け継がせたい」という進歩発想とも完全に共存しうる。
リーダーは往々にして自分が率いる人によって逆に率いられる。指図を受ける側の価値観、能力、あるいは気質といったものが指図の内容そのものに制約を加えるのだ。
文明社会は人間に利益をもたらすために作られる。社会が成立していることによって得られる利益はすなわち人間の権利となる。 -
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性急な革新に反対し,「伝統」として結実した人間の英知に学ぶ「保守」を提唱する。
平等原則を徹底することに対する懐疑的態度や法の支配を重視する思想など,後の「保守」派に受け継がれた思想の萌芽がちりばめられている。
ただし,結論だけが書かれているという印象で,「保守」思想にシンパシーを感じる人でなければ,読んでも不愉快になるだけだと思う。
なお,“prejudice”は,「固定観念」と翻訳されている(「偏見」と翻訳されることが多い。)。
また,砕けた訳文で,よく言えば「親しみやすく,手紙としての本質をよく表現している」が,悪く言えば「品がない」。
抄訳であることを補うための注が丁寧に挿入さ