あらすじ
変革栄えて、国滅ぶ。これは230年前に書かれた「現代日本の省察」だ! 18世紀、自由と秩序のバランスを求めて、華麗な弁舌をふるったイギリスの政治家・文人エドマンド・バーク。保守主義のバイブルと呼ばれる代表作について、刊行当時のインパクトを甦らせるべく、最先端・最高峰の名訳で再構成。理想社会の建設を謳ったフランス革命は、以後のあらゆる変革の原型となった。だが高邁な理念は、凄惨な現実と背中合わせだった! 「自由なら何でも良いのか?」「茶番を続ける国民議会」「すべてを変えるのは無能の証拠」「地方は没落、得するのは都市のみ」「『愛国』税制の浅ましさ」「この革命は、とんでもない疫病かもしれない」――三色旗の向こうに、混乱を重ねる日本の姿が見えてくる。文庫化にあたっては、話題の現代貨幣理論(MMT)とフランス革命との関連も詳しく解明、いっそう画期的な内容となった。気鋭の評論家・中野剛志氏による解説も必読。
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Posted by ブクログ
英国人からフランス革命への強い批判がなされる本書は、保守主義のバイブルとも言われ、時代を超えて読み継がれてきた名著です。
改革とか変革なんていう言葉はいつの時代も持て囃されますが、急激な変化は副作用もとても大きい。
フランス革命といえば、高邁な理想を掲げ圧政を打ち破った民衆の戦い、という理解が一般的かもしれません。
しかしながら、その急進主義は社会に様々な混乱や弊害をもたらし、10年後にはナポレオンによるクーデターで終焉を迎えることとなります。
著者のバークは、革命の終焉を見届けることなく没するのですが、本書で述べられる革命への批判は非常にインパクトの強いものです。
現代社会にも当てはまる教訓が、そこかしこに散りばめられています。
この新訳版は、原著の全訳ではなく抄訳ではありますが、ダイナミックかつ読みやすい翻訳のおかげで、急進主義的な改革が内包する問題点がよく理解できました。
社会の問題はどうやって解決されるべきか、という点において、現代社会にも警鐘を鳴らす一冊だと思います。
Posted by ブクログ
「長年にわたって機能してきた社会システムを廃止するとか、うまくいく保証のないシステムを導入・構築するとか言う場合は、『石橋を叩いて渡らない』を信条としなければならない」という一文が重い。不確かな「改革」を推進する者は、保守主義の父と言われたバークの言葉の意味をもう少し考えた方が良い。
「三色旗の向こうに、混乱を重ねる日本の姿が見えてくる」という謳い文句に偽りなし。
Posted by ブクログ
保守の聖典として歴史的価値を持つ本ではあるが、リベラルを自称する人も読むべき好著。
自国にフランス革命の気風と思想が流れてきたゆえに、一度立ち止まって実践的な現実感覚を取り戻そうとバークは熱烈な弁を立てる。
「自然」という言葉の使い方が今となってはさすがに古い気がする。