三原順のレビュー一覧
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X Day─エックス・デー─ 三原順 白泉社文庫 ISBN4592883802 562円(税別)1999年3月17日初版【ストーリー】収録内容は表題作「X Day」と「今は静かな」。「X Day」(初出1985年):会社を辞めて実家のトマト畑へ夢を繋いで兄の家を訪れたダドリー。彼をその家で出迎えたのは、夫の浮気に苛まれるキッチンドリンカーの兄嫁、慕う母とそりがあわずカウンセラーのやり方に自分を見失いかける長女アデール、表面上は従順でそのくせ疑問を抱え込んで影で憂さ晴らしをしている弟のスコット、さらに、妹の容態が悪く自らの体にも変調をきたす隣家の親戚の子供ニュート。そして、ダドリーの出生と彼の薬
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ムーン・ライティング 三原順 白泉社文庫 ISBN4592883810 581円(税別) 1999年3月17日初版 【ストーリー】新月と半月の中間に豚に変身するトマスと親友D・Dの事件簿色々。収録内容は下記の通り。親友トマスからの奇妙なSOSの手紙で、D・D(ディー)は10年ぶりに彼に会いに彼の経営する湖畔のレストランを訪れる。養豚場のロビンスがトマスは盗っ人だと言い奪われた豚を探しにさかんにねじこんでくるが・・・「ムーン・ライティング」、ある事件(「僕がすわっている場所」参照)がもとで、トマスの血を輸血されたディー。彼も豚に変身してしまうのか・・・?「お月様の贈り物」、ディーのいとこのウィリ
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2巻を読み終えました。
ようやくはっきりストーリーがわかりました…反省。これまでは仕上がらなかった絵柄をよみとけなかったり、三原先生独特のエピソート゚が重ね織りされているような物語の運び方について行けていなかったり、で、なんとなく中途半端な読後感でしたが、今回は本当に読めた気がします。
私もトシを取ったのです…(涙)
とても静かな話でした。
ランスの悲しいエピソードには、胸を打たれました。
また、ビリーは、スーパーナチュラルだったのですね?本物の超能力か、自分自身にそういう力があるかどうかはともかく、こういうことはあると思ってる派です。
番外編「ビリー」のフレディについても今回ようやく理解 -
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初めて読んだのは、最初に刊行された時。私は27歳でしたが、先生があの若さで亡くなるとはまったく考えつかないことで、以来何とも言えない喪失感を抱えて過ごしてきました。
最近ようやく乗り越えたと感じ、20年以上前に購入していた文庫本を読み直しました。
三原先生が描くイノセントゆえの「犯罪」。他の作品にもあるように思うのですが、読むととても胸苦しい気もちでいっぱいになる…数年前までそうでした。が、私自身が既に三原先生の亡くなった年をはるかに超え、逆に直視しなければ、と思えるようになったのです。こういうことが実際にもあると。
そしてもう一つ、本作の場合は主人公にとって理不尽で機能不全な家族、クラスメ -
購入済み
初めての三原順漫画
三原順先生の作品を初めて読みました。
短編集なのでその中で1作でも当たりがあればいいなと思い購入しました。
1話目の家族と主人公の家族内での居心地の悪さは読んでいくうちにラストはどう締めくくるのか気になりながら読みました。
3話目の看護師さんが玉の輿狙うストーリーは良くある話なのに楽しめて読めました。
こういう作品を描く漫画家さんは、可愛い女の子が描きたいとか恋愛が描きたいとかより、こういうストーリーが描きたいというのが先に立つのでしょうか。
あと、この時代は海外への憧れが強いのですかね。舞台が海外なのがなんで?と終始引っかかってました。 -
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全編通して、自分の事は自分がよく知っている、自分だけが自分を愛していると思い込んでいる人間に対する皮肉に満ちている気がする。あの頃、友達は『はみだしっ子』の世界に夢中だったが、私はハマらなかった口だった。悲劇を喜劇に変換し、独自の世界に飛び立って行く登場人物たちの表現に自己陶酔と言う言葉を見ていたからかもしれない。作者の独特な表現方法に馴染めなかったのだ。その感触はこの作者最後の短編集を読んでも変わらなかったが(アダルトチルドレンと言うものがどう言うものであるのか、理解できて無かったんだろう)『はみだしっ子』を今だから読み返したいと思った。
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東京駅の丸善で注目作品扱いされてたので購入。こんな名作を今までしらなかったなんて、漫画好きとしてはずかしすぎる。児童福祉に明るい方はみなさんご存知なんだろうか、この漫画。
小さなコマの一瞬の子供たちの表情や、ひとつひとつのセリフにまで、何度もはっとさせられた。子供を持つことの意味を考えはじめ、その流れで自然と他人の子供や世界の子供が置かれた環境に目がいくようになってきたこの時期に出会えてよかった。
「ぼくたちの為のティーカップはなく、僕たちには手紙も来ない
気付くと笑いも忘れてじっとしている」
笑顔、空元気、おふざけ、悪態、反抗・・・いろんなやり方で寂しさとか辛さを耐えようとする子供の、その -
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生前、最後の短編集。
彼女の頂点。
表題作は、ちょっとオチは見えていたかなぁと思います。
でも、どうすりゃいいねんと思いますよねぇ。そして、それをずっと考えてきたのが、三原 順だったんだなぁと。
特に後期は、この本に書かれたような軽快な悪意が、この人の中で大きな問題だったのかなぁと感じました。
自分にはあまり悪意がないのに、ものすごく人を傷つける(心理的にだけではなくて、本当に生存権も脅かすほどね)こともある。
「帽子物語」と「夢の中 悪夢の中」は、まったく逆のことを書いている。
人とふれあってわかり合うためには、ぶつかっちゃうこともある。でも、ある程度それを受け入れていかないといけない