あらすじ
新月の頃、豚に変身する美しき青年トマス。事故に会い、親友トマスより輸血を受けたため、新月が近づくと狼の尻尾が生えてしまうD・D。多くのファンを魅了したあの二人が帰って来た! 舞台を少年時代に移して、「Sons ムーン・ライティング・シリーズ」が文庫で誕生。少年の日の二人、運命の出会いから出生の秘密までが、いよいよ明らかに…。謎のベールが外される瞬間に、待ち受けているものは一体、何!?
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自らの生い立ちのせいで、周りに気遣われながら暮らすことのうっとうしさ。自分が声を荒げれば、優しい人を傷つけてしまうのではないかと悩み、嫌っている人と自分がよく似ていることに戸惑う。
男の子の成長物語・・・主人公のD.Dは、誰と誰の子供という枠から、ひとりの男になっていきます。彼がそこを上手く通過できたかは、「ムーン・ライティング」でわかります。。。
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三原順の最高傑作。「はみだしっこ」より数段読みやすい。主人公には出生の秘密があり、自分を取り巻く愛し護ってくれる善良な人々や徳とされる行動などに対する違和感を軸に、アメリカの田舎の村に起こる事件を追っていく。キャラクタリゼイションが深く巧みで、嫌なヤツはたくさん出てきても、それぞれに何かを抱えていて、でも結局理解しあえることは少ない。とは言え、満月の夜にイノシシに変身してしまうおじさんとかも出てきて、ファンタジーや笑いも盛り込まれ今読み返すとずいぶん明るい作品に仕上がっているなぁと思う。本作の前編にあたる「ムーンライティング」(作品発表はこちらが先だが、時系列的には「Sons」の方が子供時代)併せて読まれたし。どちらから読んでも楽しめる。
Posted by ブクログ
わたしはDDのように数奇な生い立ちでは全くないけれど、それでも彼らの苦悩には共感できる部分が多いし、信じたい・愛したい家族を思うように愛せないこと、自分に近しいという意味でウィリアムのようなまごうことなき悪党を信頼してしまう、と同時に信頼されたい、と願う気持ちもよく分かる。
子供の頃はロージーのように、完全に消えてしまうことを夢みたりもしたっけ。その後彼女は、居場所を見つけることができたんだろうか。
Posted by ブクログ
「はみだしっ子」の三原順の、あまり知られていない長編作が文庫になっています。
少年の純粋さと残酷さと、それに自ら気づき苦しむ姿を個々まで描ききれる才能を思うと、作者の夭折が本当に惜しまれます…。